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看護師が辞めたいと思ったときの対処法|理由別に選ぶ4つの出口と判断の順番

ナースの休憩室 編集部12分で読めます
目次

「辞めたい」と思っている看護師は79.2%です。つまりその気持ちがあること自体は、辞めるかどうかの判断材料になりません。決め手になるのは「何がつらいか」で、理由によって効く出口は4つに分かれます——①今の職場で条件を変える、②部署を変える、③職場を変える、④まず休む。この記事では、理由と出口の対応表、判断を間違えないための順番、そして状況別の個別記事への入口をまとめます。

「辞めたい」と思っているのは8割。あなたの感覚は多数派です

夜勤明けの帰り道や、日曜の夜。「もう無理かもしれない」と思う瞬間があって、そのたびに「甘えかな」と打ち消していませんか。

日本医療労働組合連合会「2022年 看護職員の労働実態調査」(回答35,933人)によると、仕事を辞めたいと「いつも思う」が24.0%、「ときどき思う」が55.2%。合わせて79.2%が、辞めたいと思いながら働いています。「思わない」は16.6%にとどまりました。

「仕事を辞めたい」と思いながら働いている看護師(いつも24.0%+ときどき55.2%)79.2%

日本医療労働組合連合会「2022年 看護職員の労働実態調査」(回答35,933人)(2022年)

一方で、実際に職場を離れる人はそこまで多くありません。日本看護協会「2025年 病院看護実態調査」(2024年度データ・2026年3月公表)によると、正規雇用看護職員の離職率は11.0%です。「辞めたい」は8割、実際に辞めるのは年に1割。この差が意味するのは、迷いながら働き続けている人のほうが圧倒的に多いということです。決めきれない状態は、例外ではなく標準です。

そして「辞めたい」の強さは、その人の性格よりも勤務形態に引っ張られます。

日勤のみの17.4%に対し、夜勤が16時間以上ある二交代では27.3%。同じ資格・同じ業務内容でも、1.6倍の開きがあります。あなたが感じている限界は、根性の量ではなく、シフトという外側の条件がつくっている可能性が高い。だからこそ、精神論ではなく「どの条件を変えるか」で考えたほうが早く解けます。

辞めたい理由10項目を「どの出口につながるか」で仕分ける

同じ調査で「仕事を辞めたい主な理由」(3つまで選択)を聞いた結果を、自分の努力で動かせる範囲まず試すべき出口で仕分けし直したのが下の表です。割合はすべて同調査の実測値です。

辞めたい理由割合自分の努力で動く範囲まず試す出口
人手不足で仕事がきつい58.1%ほぼ無い(人員配置の問題)③転職 / ②異動
賃金が安い42.6%ほぼ無い(給与規定)③転職
思うように休暇が取れない32.6%小(申請の仕方で多少変わる)①現職で交渉 → ③転職
夜勤がつらい23.6%中(勤務形態の変更)①現職で交渉 → ②異動
思うような看護ができず達成感がない23.1%中(配属領域で変わる)②異動
職場の人間関係20.1%中(距離の取り方・相談)②異動 → ③転職
家族に負担をかける13.3%中(シフト調整)①現職で交渉
医療事故が不安だから9.3%中(経験と体制で減る)②異動(体制の整った部署へ)
医療・介護の高度化についていけない6.9%中(教育体制で変わる)②異動 → ③転職
患者・家族からのクレーム6.6%小(組織対応の問題)①組織に対応を求める

出典: 日本医療労働組合連合会「2022年 看護職員の労働実態調査」問39(3つまで選択・回答35,933人)。「自分の努力で動く範囲」「まず試す出口」は本サイトによる整理です。

この表の読み方はひとつだけです。上位3項目(58.1%・42.6%・32.6%)は、どれも個人の頑張りでは動かない「組織の設計」に属します。 人員配置も給与規定も、一看護師が変えられるものではありません。多数派の「辞めたい」が我慢で解消しないのは、そもそも我慢の効かない領域だからです。

逆に4位以下の「夜勤がつらい」「達成感がない」「人間関係」は、部署や勤務形態を変えるだけで景色が変わる余地があります。同じ調査の別設問(強いストレスの要因・上位2つ選択)でも、「仕事の量の問題」48.7%、「仕事の質の問題」31.8%、「職場の人間関係」22.2%の順で、量の問題が質や人間関係を上回りました。自分の理由が表の上半分にあるのか下半分にあるのかで、最初に開けるべき扉が変わります。

自分の理由が「転職でしか動かない側」だったら

人手不足や給与規定は、在職のまま交渉しても動きにくい領域です。求人を見るだけでも、今の条件が相場のどこにあるかがわかります。

4つの出口と、それぞれの具体的な進め方

出口1: 今の職場で、条件を「ひとつだけ」変える

いちばん低コストな選択肢です。要望を1つに絞るのがコツです。

  • 手順: ①変えたい条件を1つ決める(夜勤回数/連休の取りやすさ/受け持ちの重さ)→ ②直近3か月の勤務表と時間外記録を印刷して数字にする → ③師長に「相談」として時間をもらう → ④期限つきで頼む
  • 見本: 「この3か月、夜勤が月8回で、明けの翌々日にまた夜勤が入る週が2回ありました。年内だけでも月6回に調整していただけないか、ご相談させてください」
⚠️ つまずきやすい落とし穴

「もう限界です」「しんどいです」という体感だけで相談すると、ほぼ確実に「みんな同じだから」で終わります。師長が動けるのは、勤務表という共通の土俵に数字が載ったときだけです。逆に数字を出すと、今度は「じゃあ誰が代わりに入るの」という話に変わります。ここで引かないために、相談の前に「自分は何なら引き受けられるか」を1つ用意してください。たとえば「夜勤を減らす代わりに、早番は優先的に入ります」。交換条件がないお願いは、悪気なく後回しにされます。

出口2: 部署を変える(異動を申し出る)

同じ病院でも、部署が変われば勤務形態も人間関係も入れ替わります。転職より失うものが少ない選択肢です。

  • 手順: ①希望部署を第2希望まで書き出す → ②「今の部署の何が合わないか」ではなく「次の部署で何をしたいか」に言い換える → ③異動希望調査の時期(多くは秋〜冬)の前に口頭で伝えておく
  • 見本: 「急性期で3年やってきて、退院後の生活まで見届ける関わり方に興味が出ました。外来か訪問看護部門を希望したいです」
⚠️ つまずきやすい落とし穴

異動希望を「今の部署の不満」として伝えると、異動ではなく面談と様子見に流れます。師長にとって、不満の申し立ては解決すべき問題であって、人事の要望ではないからです。さらに厄介なのは、不満を理由にした異動が通っても「逃げた人」というラベルが院内に残りやすいこと。希望先で同じ話が伝わっていると、初日からやりにくくなります。伝えるのは次にやりたいことだけにして、今の部署の話は聞かれたときに事実だけ短く答える。この順番を守るだけで、通り方と迎えられ方の両方が変わります。

出口3: 職場を変える(転職)

理由が人員配置や給与規定にある場合、これがいちばん確実に効きます。市場環境は追い風です。厚生労働省「一般職業紹介状況」によると、2026年3月時点で保健師・助産師・看護師の有効求人倍率は2.33倍(常用・パート除く)。全職業計の1.17倍のおよそ2倍で、求職者1人あたり2件以上の求人がある状態です。

ただし「どこでも同じ」は事実ではありません。日本看護協会「2025年 病院看護実態調査」の病床規模別離職率を見ると、正規雇用看護職員の離職率は99床以下で13.1%、500床以上で10.0%。規模だけでも3.1ポイントの差があります。

  • 手順: ①表で特定した自分の理由を、求人票で確認できる質問に変換する(例:「人手不足がつらい」→「夜勤1回あたりの看護師配置人数は何人ですか」)→ ②2〜3社の転職サービスに登録して条件相場を把握する → ③見学と面接で①の質問を必ず口に出す
  • 見本: 「夜勤帯は看護師何名体制ですか」「直近1年で退職された方は何名ですか」
⚠️ つまずきやすい落とし穴

いちばん多い失敗は、退職理由を曖昧にしたまま動くことです。「人間関係がつらい」と言えずに「スキルアップのため」とだけ伝えると、紹介される求人が急性期の忙しい病棟に寄り、結果として同じ構造の職場に入ってしまいます。もうひとつは、内定が出た安心感で見学を省くこと。求人票に書けるのは制度の有無までで、夜勤帯の実人数や残業の常態化は現地でしか見えません。理由を正直に伝えること、見学を飛ばさないこと。この2つを守るだけで、入職後3か月で「また辞めたい」となる確率は大きく下がります。

出口4: 決める前に、休む・外に相談する

眠れない、食べられない、出勤前に体調を崩す——こうした状態が続いているときは、転職先を選ぶ判断力そのものが落ちています。先に体調を戻すことも、立派な選択肢のひとつです。

職場の外にも、無料で使える公的な窓口があります。

  • こころの耳(厚生労働省の働く人のメンタルヘルス・ポータルサイト): 電話・メール・SNSの相談窓口が案内されています
  • 総合労働相談コーナー(各都道府県労働局): 労働条件やハラスメントの相談を無料で受け付けています
  • 産業保健総合支援センター(各都道府県): 職場の健康管理に関する相談ができます

なお、この記事のチェックリストや解説は状況を整理するための材料であり、医学的な判断に代わるものではありません。体調の不安があるときは、勤務先の産業医や医療機関などの専門家に相談することも選択肢のひとつです。

⚠️ つまずきやすい落とし穴

「つらいから先に辞める」という順番が、後から効いてくることがあります。健康保険の傷病手当金は在職中に支給要件を満たしていることが起点になるため、要件を満たす前に自己都合で退職すると受け取れない場合があります。また退職後の雇用保険の基本手当は「働ける状態にあること」が前提で、療養が必要な間は受給できません(受給期間の延長申請という手続きがあります)。順番を1か月変えるだけで手元に残るお金が変わるので、辞める日を決める前に、就業規則の休職規定と加入している健康保険の窓口を確認してください。詳しい進め方は看護師がうつ・メンタル不調で転職を考えるときの進め方にまとめています。

迷ったときは、この順番で決める

順番は固定でかまいません。

  1. 体調を確認する(不眠・食欲・出勤前の体調不良が続いていないか)→ 続いているなら出口4を先に
  2. 理由を1つに絞る(上の表で、いちばん強い理由に印をつける)
  3. その理由が「組織の設計」側かどうかを見る→ 上半分なら出口3、下半分なら出口1か2を先に
  4. 在職のまま情報だけ集める(辞めることと、選択肢を知ることは別の行動です)

※ このリストは自分の優先順位を知るための材料であり、何かを判定したり診断したりするものではありません。当てはまる数で結論が決まるわけでもありません。

「辞めたい」で動くときによくある失敗

失敗1: 気持ちが最も落ちている週に、転職先を決める

夜勤明けや繁忙期の直後は、条件の比較がいちばん雑になります。「ここでなければどこでもいい」という状態で内定を受けると、給与や夜勤回数の確認が後回しになりがちです。決断は体力が戻っている日に回してください。

失敗2: 理由を特定しないまま「環境を変えれば治る」と考える

理由が「人手不足」なら、同規模・同機能の病院に移っても構造は変わりません。逆に「達成感のなさ」なら、病院より領域を変えたほうが効きます。

失敗3: 退職を言い出す順番を間違える

同僚に先に話してから師長に伝えると、話が先回りして引き止めが長期化しやすくなります。順番は直属の師長が先です。切り出し方と時期の目安は看護師の退職の伝え方完全ガイドに、転職活動全体のスケジュールは看護師の転職活動の流れにまとめています。

状況別・くわしく知りたい方への個別記事

自分の状況に近いものから読んでみてください。

診療科・職場別 年代・経験年数別 理由・状態別

職場ごとの離職率の実態を知りたい方は看護師の離職率はなぜ高い?データで見る実態もあわせてご覧ください。

よくある質問

Q. 看護師が「辞めたい」と思うのは甘えですか?

A. データ上は多数派の感覚です。日本医療労働組合連合会「2022年 看護職員の労働実態調査」(回答35,933人)では79.2%が「辞めたいと思いながら働いている」と回答しています。さらにその割合は勤務形態で変わり、日勤のみが17.4%であるのに対し夜勤16時間以上の二交代は27.3%でした(「いつも思う」の割合)。個人の資質ではなく働き方の条件が強く影響していることを示す数字です。

Q. 辞めたい理由の1位は人間関係ではないのですか?

A. 同調査(3つまで選択)では1位が「人手不足で仕事がきつい」58.1%、2位「賃金が安い」42.6%、3位「思うように休暇が取れない」32.6%で、「職場の人間関係」は20.1%の6番目でした。人間関係は深刻な悩みですが、全体で見ると人員配置と待遇のほうが多く挙げられています。人間関係が主因の場合の進め方は人間関係で辞めたいと感じたときの対処法を参照してください。

Q. 辞めたい気持ちはあるけれど、動く決心がつきません。

A. その状態が標準です。「辞めたい」が79.2%である一方、正規雇用看護職員の離職率は11.0%(2024年度・日本看護協会)。8割が迷い、1割が動いている計算になります。決心がつかないうちは、在職のまま求人条件を見る・記録をつけるといった「戻れる行動」だけで十分です。情報を集めることと、辞めることは別の行動です。

Q. 辞めるか異動かで迷っています。判断の基準はありますか?

A. 理由が「人手不足」「賃金」のように人員配置や給与規定に属するなら、同じ病院の中で異動しても構造は変わりにくいため転職が効きます。一方「達成感がない」「人間関係」「高度化についていけない」のように配属領域や教育体制で変わるものは、異動で解決する余地があります。本記事の仕分け表で自分の理由がどちらにあるかを先に確認してみてください。

在職のまま、選択肢だけ増やしておく

辞めると決めていなくても、条件の相場を知るだけで判断の精度は上がります。複数のサービスを比べて、自分のペースを尊重してくれる相談先を選びましょう。

まとめ

  • 「辞めたい」は判断材料にならない: 79.2%が同じ気持ちを抱えています。問われるのは気持ちの有無ではなく、その理由が何かです
  • 理由で出口が変わる: 人手不足・賃金・休暇(上位3項目)は組織の設計側の問題で、我慢では動きません。夜勤・達成感・人間関係は異動や交渉で変わる余地があります
  • 順番を間違えない: 体調 → 理由の特定 → 出口の選択 → 在職のまま情報収集。いちばん落ちている日に決めてしまう失敗を避けられます

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参考文献

  1. 日本医療労働組合連合会「2022年 看護職員の労働実態調査」(回答35,933人・問29/問38/問39)2026-09-20 閲覧)
  2. 日本看護協会「2025年 病院看護実態調査」結果(2024年度データ・2026年3月31日公表)2026-09-20 閲覧)
  3. 厚生労働省「一般職業紹介状況(令和8年3月分及び令和7年度分)」参考統計表2026-09-20 閲覧)
  4. 厚生労働省「こころの耳」働く人のメンタルヘルス・ポータルサイト2026-09-20 閲覧)
  5. 厚生労働省「総合労働相談コーナーのご案内」2026-09-20 閲覧)
  6. 労働者健康安全機構「産業保健総合支援センター(さんぽセンター)一覧」2026-09-20 閲覧)
  7. 全国健康保険協会(協会けんぽ)「傷病手当金」2026-09-20 閲覧)
  8. ハローワークインターネットサービス「基本手当について」(受給期間の延長)2026-09-20 閲覧)