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看護師の離職率は高い?2024年度は正規11.0%・新卒8.4%の最新データ

ナースの休憩室 編集部2026年9月7日 更新13分で読めます
目次

看護師(正規雇用)の離職率は、2024年度で11.0%でした。日本看護協会「2025年 病院看護実態調査」(2026年3月公表)によると、前年度の11.3%から改善し、新卒採用者は8.4%、既卒採用者は16.1%です。全産業のフルタイム労働者(11.5%)とほぼ同じ水準で、「看護師は離職率が特別に高い」とは必ずしも言えません。ただし既卒採用者は高めで、転職先のミスマッチが課題として残っています。

「看護師は離職率が高い」は本当?

「看護師は離職率が高い」。転職を考え始めると、一度は耳にする言葉ではないでしょうか。同僚が次々と辞めていくのを見ると、「この業界は人がすぐ辞めるのかな」「自分も辞めていいのかな」と不安になりますよね。

でも、感覚で語られがちな離職率も、データで見ると少し違った景色が見えてきます。ここでは、日本看護協会が2026年3月に公表した最新の「2025年 病院看護実態調査」(対象は2024年度の離職率)をもとに、看護師の離職率の実態を読み解いていきます。

最新データ:2024年度の正規離職率は11.0%

2024年度の正規雇用看護職員の離職率。前年度の11.3%から0.3ポイント改善しました11.0%

日本看護協会「2025年 病院看護実態調査」(2024年度)

2024年度の正規雇用看護職員の離職率は11.0%でした。前年度(11.3%)から0.3ポイント下がり、緩やかな改善傾向にあります。この調査は、2025年10月から11月にかけて全国の病院を対象に実施され、3,502施設から有効回答を得たものです。

まず押さえておきたいのは、この11.0%が「病院を辞めた人の割合」であって「看護師をやめた人の割合」ではない点です。ある病院を離れても、別の病院やクリニック、訪問看護へ移る人が多く含まれます。離職率の高さが、そのまま「看護師という仕事のつらさ」を表すわけではありません。

全産業と比べて「特別高い」わけではない

離職率を語るときによく引き合いに出されるのが、全産業の平均です。厚生労働省「令和6年雇用動向調査」によると、全産業の離職率は常用労働者全体で14.2%。この数字と並べると、看護師正規雇用の11.0%は低く見えます。

ただ、この14.2%にはパートタイム労働者(離職率21.4%)が含まれています。看護師の11.0%は常勤(正規雇用)の数字なので、比べるならフルタイムどうしが公平です。全産業のフルタイム労働者(一般労働者)の離職率は11.5%。こうして条件をそろえると、看護師の離職率は全産業のフルタイム勤務者とほぼ同じ水準だとわかります。

離職率の比較:看護師と全産業(2024年)

看護師(正規)
11.0%
全産業フルタイム
11.5%
全産業(全体)
14.2%
全産業パート
21.4%

出典: 日本看護協会「2025年病院看護実態調査」・厚生労働省「令和6年雇用動向調査」

つまり「看護師は離職率が特別に高い」はデータ上は当てはまりませんが、「特別に低い」わけでもありません。イメージだけで判断せず、自分がいま働く職場、あるいはこれから応募する職場が実際にどうなのかを見ることが大切です。

「離職率が低い職場」が必ずしも良いとは限らない

離職率の低さは、多くの場合「働きやすさ」の目安になります。ただし、低い理由が前向きなものとは限らない点には注意が必要です。たとえば、周りに他の求人が少なく「辞めたくても移り先がない」地域では、離職率が低く出ることがあります。年功序列が強く、辞めると損だと感じさせる仕組みで人を引き留めている職場もあります。

大切なのは数字そのものより、「なぜ人が辞めないのか」の中身です。教育やサポートが手厚くて定着しているのか、それとも動きにくいだけなのか。見学や面接で「長く働いている方が多い理由」をたずねてみると、その職場の定着が健全なものかどうかが見えてきます。

新卒・既卒で大きな差がある

離職率を見るときに注意したいのが、「新卒」と「既卒(中途採用)」の違いです。

区分別 看護師の離職率(2024年度)

正規雇用全体
11.0%
新卒採用者
8.4%
既卒採用者
16.1%

出典: 日本看護協会「2025年 病院看護実態調査」

新卒採用者の離職率は8.4%(前年度8.8%からさらに改善)。一方で、既卒採用者は16.1%と、正規雇用全体のほぼ1.5倍にあたります。

この差が示しているのは、中途で入った看護師が新しい職場になじみにくいという現実です。「転職したけれど、合わなかった」という経験をした人が一定数いるということでもあります。だからこそ、転職先を選ぶときは、給与や勤務地だけでなく、職場の雰囲気や教育体制を事前にしっかり確認しておくことが定着の鍵になります。

既卒採用者はなぜ辞めやすいのか

中途採用の看護師が定着しにくい背景には、いくつか共通したパターンがあります。

  • 「即戦力」として扱われ、教育が手薄になりやすい — 新卒には手厚いプリセプター制度があっても、既卒は「経験者だから大丈夫」と最低限のオリエンテーションで現場に入ることがあります。前職と手順や記録の方法が違うと、それだけで大きな負担になります。
  • すでに出来上がった人間関係に、後から一人で加わる — 新卒が同期と一緒にスタートするのに対し、既卒は既存のチームに途中から入ります。気軽に相談できる相手を見つけにくく、孤立を感じやすい構造です。
  • 前職とのやり方のギャップに戸惑う — 「前の病院ではこうだった」が通じない場面が続くと、自分のやり方を否定されたように感じてしまうことがあります。

裏を返せば、応募の段階で「中途採用者向けの教育やフォロー体制はどうなっていますか」と一言確認するだけでも、ミスマッチの可能性はかなり下げられます。

新卒看護師の離職率は8.4%:コロナ禍から回復傾向

新卒看護師の離職率の推移

2018年度
7.8%
2019年度
8.6%
2020年度
8.2%
2021年度
10.3%
2022年度
10.2%
2023年度
8.8%
2024年度
8.4%

出典: 日本看護協会「病院看護実態調査」各年度

新卒看護師の離職率は、2021〜2022年度に10%台へ上がりました。実習制限などコロナ禍の影響で、入職後に理想と現実のギャップ(リアリティショック)を感じやすかったことが背景にあるとされています。その後は2023年度8.8%、2024年度8.4%と落ち着き、コロナ禍前の水準に戻ってきました。新人を取り巻く環境が、少しずつ回復してきていると読み取れます。

「離職率は低め」でも「辞めたい」と思う人は多い

離職率が全産業並みと聞くと「意外と辞めていないんだ」と感じるかもしれません。ただ、実際に辞める人の割合と、辞めたい気持ちを抱えて働く人の割合は別ものです。

日本医労連「2022年 看護職員の労働実態調査」(回答3万5,933人)では、「仕事を辞めたいと思いながら働いている」人が79.2%にのぼりました(「いつも思う」24.0%+「ときどき思う」55.2%)。辞めたい理由の上位は、1位「人手不足で仕事がきつい」58.1%、2位「賃金が安い」42.6%、3位「思うように休暇が取れない」32.6%です。

「仕事を辞めたいと思いながら働いている」看護職員の割合。理由の1位は人手不足による負担の重さです79.2%

日本医労連「2022年 看護職員の労働実態調査」

離職率という「実際に辞めた結果」の数字は落ち着いていても、その手前には「辞めたいけれど続けている」多くの人がいます。転職を考えるのは、決して特別なことではありません。大切なのは、いまの職場の何がつらいのかを言葉にして、それが職場を変えることで解消できるものかを見極めることです。

「辞めたい」の中身を見分ける

同じ「辞めたい」でも、理由によって、転職で解決しやすいものと、しにくいものがあります。先ほどの調査で挙がった上位の理由を、この軸で整理してみましょう。

  • 人手不足で仕事がきつい(58.1%) — 人員配置基準(7対1・10対1など)や夜勤体制は病院ごとに違うため、職場を変えることで改善する余地が比較的大きい理由です。
  • 賃金が安い(42.6%) — 地域・施設規模・夜勤回数で差が出るので、転職で上がることもあります。ただし額面ではなく手取りで比べる視点は欠かせません。
  • 思うように休暇が取れない(32.6%) — 有給取得率や希望休の通りやすさは職場差が大きく、見学や面接で確認しておきたいポイントです。

反対に、看護という仕事そのものへの向き不向きや、体調・ライフステージに関わる悩みは、職場を変えても解決しないことがあります。まずは自分の「辞めたい」がどのタイプなのかを切り分けると、次の一手を選びやすくなります。

離職率と定着率の違い:求人票の「定着率」をどう読むか

求人票や病院の採用ページでは、離職率ではなく「定着率」で示されることもあります。定着率は、入職した人のうち一定期間のあとも在籍している人の割合で、離職率の裏返しにあたります。たとえば「新卒の1年後定着率」なら、その年度に入職した新卒のうち1年後も残っている人の割合です。

日本看護協会の2024年度の新卒・既卒の離職率を、100%から引く形で定着率の目安に直すと次のようになります。

  • 新卒採用者: 離職率8.4% → 定着率の目安91.6%
  • 既卒採用者: 離職率16.1% → 定着率の目安83.9%

なお、正規雇用全体の11.0%は年間の退職者の割合(退職者数÷平均職員数)で、入職者を追いかける定着率とは分母が違います。そのため、ここでは新卒・既卒の数字だけを換算しています。

つまり、新卒の1年後定着率が9割前後なら全国平均並み、既卒で8割台半ばなら平均的な水準です。求人票の数字を見るときは、次の3点をそろえてから比べてください。

  • 期間: 1年後か、3年後か。同じ入職者を追い続けるので、3年後の定着率は1年後より低くなるのが普通です
  • 対象: 新卒だけの数字か、中途採用も含むか。既卒は新卒より離職率が高いので、混ざると数字は下がります
  • 分母: 看護職員だけか、病院全体の職員か。病院全体の数字だと、看護部の実態は見えにくくなります

定着率が高い職場でも、先ほど見たように「辞めにくいだけ」の場合はあります。数字はあくまで入り口として、見学や面接で「長く続いている理由」を聞いてみてください。

このデータを転職判断にどう使うか

離職率のデータからわかるのは、「転職そのものが悪い」のではなく、「合わない職場に入ってしまうこと」が問題だということです。既卒採用者の離職率が高いという事実は、裏を返せば「事前の見極めで防げるミスマッチがある」という意味でもあります。次の手順を参考にしてみてください。

1. 求人票の「平均勤続年数」を確認する

離職率を直接開示している病院は多くありません。そこで目安になるのが平均勤続年数です。「平均勤続年数が10年以上」であれば、比較的定着しやすい環境と考えられます。

2. 転職エージェントに離職率や退職理由を質問する

エージェントは、取引のある病院の内部情報を持っていることがあります。「直近3年の離職率を教えてもらえますか」「前任者はどんな理由で辞めたか分かりますか」と具体的に尋ねると、求人票には載らない情報を引き出せることがあります。

3. 見学と面接で、現場の空気を自分の目で確かめる

数字や人づての情報だけでなく、可能なら職場見学をお願いしてみましょう。スタッフ同士の会話のトーン、掲示物の内容(急募の張り紙が多くないか)、ナースステーションの慌ただしさなどは、その場に立つと伝わってきます。面接では現場の看護師に「入職後に驚いたことはありますか」「一番大変な時間帯はいつですか」と聞くと、求人票からは見えない実態が浮かび上がります。

つまずきやすい落とし穴:エージェントの「定着率が高いです」を鵜呑みにする

エージェントに離職率を尋ねると「把握していません」と返ってくることがあります。そこで諦めず、「夜勤体制や師長のサポートはどうですか」と角度を変えて聞くと、離職率に直結する情報が出てくることがあります。反対に「定着率が高い」と言われても、それはエージェントが把握している範囲の話です。最後は自分の目と耳で確かめる姿勢が、ミスマッチを防ぐ一番の近道になります。

こんな転職判断は危険:よくある失敗例

離職率データを正しく使わずに転職してしまうパターンを紹介します。自分に当てはまるものがないか確認してみてください。

「全産業並みだから問題ない」で終わらせる

「看護師の離職率は全産業と同じくらい。だから今の職場も大丈夫」という判断は早計です。全体の平均値は、自分が働く一つの病院の実態を保証してくれません。既卒採用者が16.1%という数字が示すように、雇用区分や職場によって実態は大きく異なります。「業界平均」で安心して個別の職場を調べなかった結果、離職の多い現場に入ってしまう例は少なくありません。

「給与が高いから」だけで転職先を選ぶ

給与の高さだけを見て応募先を決めると、職場の人間関係や業務量の多さに疲れて、再び転職を繰り返すことがあります。既卒採用者の離職率が高い一因は、まさにこうしたミスマッチです。給与だけでなく、教育体制・夜勤回数・人員配置のバランスで職場を評価しましょう。

「大病院なら安心」と細部を確認しない

大規模病院は教育体制が整っていることが多い一方、同じ病院でも診療科や病棟によって環境は大きく変わります。「大病院に受かった」と安心してしまい、配属される病棟の夜勤体制や人員数を確認しなかった結果、想定より過酷な部署に配属されるケースもあります。病院全体の評判だけでなく、配属予定の部署の実態まで確認する習慣をつけましょう。

よくある質問

Q. 看護師の離職率は高いのですか?

A. 2024年度の正規雇用看護職員の離職率は11.0%で、前年度の11.3%から改善しました。全産業のフルタイム労働者(一般労働者)の離職率11.5%(令和6年雇用動向調査)とほぼ同じ水準で、「看護師だけが特別に高い」とはデータ上は言えません。

Q. 新卒看護師の離職率はどのくらいですか?

A. 2024年度の新卒採用者の離職率は8.4%で、前年度の8.8%から改善しています。コロナ禍の2021〜2022年度は10%台に上がりましたが、その後は8%台に戻ってきました。

Q. 既卒(中途採用)の離職率が高いのはなぜですか?

A. 2024年度の既卒採用者の離職率は16.1%で、正規雇用全体(11.0%)より高くなっています。転職先の教育体制や人間関係とのミスマッチが起きやすいことが一因です。応募前に職場の雰囲気や教育体制を確認しておくと、定着しやすくなります。

Q. 病院の離職率は求人票でわかりますか?

A. 離職率そのものを開示している病院は多くありません。ただし「平均勤続年数」や「定着率」は目安になります。平均勤続年数が10年以上なら、比較的定着しやすい環境と考えられます。転職エージェントに直近の離職率や退職理由を質問するのも有効です。

Q. 新卒1年目で辞めるのは早すぎますか?

A. 一概には言えません。2024年度の新卒採用者の離職率は8.4%で、10人に1人弱が1年以内に最初の職場を離れています。決して珍しいことではなく、心身の不調があるなら無理を続けないほうが良い場合もあります。ただ、辞める前に「何がつらいのか」「部署異動や相談で変えられないか」を整理しておくと、次の選択の後悔が減ります。

まとめ

看護師(正規雇用)の離職率は、2024年度で11.0%。全産業のフルタイム労働者(11.5%)とほぼ同じ水準で、「看護師は離職率が特別に高い」とは言えません。ただし既卒採用者は16.1%と高く、転職先のミスマッチが課題です。また、実際に辞める人は落ち着いていても、「辞めたい」と感じながら働く人は約8割にのぼります。

大事なのは「離職率が高いから看護師は大変」ではなく、「どんな職場を選ぶかで定着のしやすさは変わる」という視点です。データを味方につけて、次の職場選びに活かしてみてください。

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参考文献

  1. 日本看護協会「2025年 病院看護実態調査」ニュースリリース2026-07-14 閲覧)
  2. 労働政策研究・研修機構(JILPT)「正規雇用看護職員の離職率は11.0%/日本看護協会調査」2026-07-14 閲覧)
  3. 厚生労働省「令和6年雇用動向調査結果の概要」2026-07-14 閲覧)
  4. 日本医労連「2022年 看護職員の労働実態調査」2026-07-14 閲覧)