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転職ガイド

看護師の年収が高い都道府県は?1位滋賀585万円・地域差150万円の理由

ナースの休憩室 編集部2026年9月7日 更新12分で読めます
目次

看護師の年収は、住む都道府県によって最大150万円ほどの差があります。厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査」(2026年3月公表)によると、1位は滋賀県の585.3万円、最下位の47位は高知県の434.8万円で、全国平均は524.7万円でした。前年まで1位だった東京を滋賀が抜いたのが今回の目立った変化です。この差は、地域手当・施設規模・需給バランス・物価・夜勤回数という5つの要因が重なって生まれます。

同じ仕事なのに、年収が150万円も違う

「隣の県で働く同期のほうが、なんだか給料がいいらしい」「思いきって都会に出れば、年収は上がるのかな」。看護師同士で給与の話になると、地域による差はよく話題にのぼります。

その感覚は、データでもはっきり裏づけられています。厚生労働省の「令和7年賃金構造基本統計調査」(2026年3月公表、2025年6月分の賃金が対象)では、看護師の年収は都道府県によって最大150.5万円の開きがありました。1位の滋賀県は585.3万円、最下位の高知県は434.8万円。同じ国家資格を持ち、同じように夜勤をこなしていても、勤務地が違うだけでこれだけの差が生まれています。

ただ、ここで立ち止まって考えたいのは「では年収の高い地域に移れば得なのか」という点です。この記事では、まず最新の地域差の実態を押さえ、背景にある5つの要因を分解したうえで、年収データを転職の判断にどう使えばいいのかまで一緒に整理していきます。

全国平均は524.7万円、上位と下位で150万円の差

看護師の全国平均年収は、全給与所得者の平均を上回る水準です524.7万円

厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査」(2025年)

令和7年(2025年)の看護師の全国平均年収は524.7万円でした。内訳は、毎月きまって支給される現金給与額が約36.6万円、そこに年間賞与など約85.6万円が加わる計算です。平均年齢は42.1歳。

注目したいのは、前年からの順位の入れ替わりです。前年の令和6年調査では東京都が568.9万円で1位、上位と下位の差は142万円でした。ところが令和7年は滋賀県が585.3万円で東京を抜いて1位に立ち、地域差も150万円に広がっています。「都市部が一番高い」という思い込みが、必ずしも当てはまらなくなってきたわけです。

看護師の年収ランキング:高い都道府県トップ5

看護師年収 上位5県と全国平均(令和7年)

滋賀県
585.3万円
東京都
578.5万円
山梨県
555.5万円
栃木県
553.8万円
奈良県
548.4万円
全国平均
524.7万円

出典: 厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査」(2025年)

上位には滋賀・東京・山梨・栃木・奈良が並びます。大都市の東京だけでなく、滋賀・山梨・栃木といった地方県が食い込んでいるのが最近の特徴です。大規模病院や特定機能病院の立地、夜勤体制、地域手当の設定など、その土地ならではの事情が積み重なって順位を押し上げています。

看護師の年収ランキング:低い都道府県5県

看護師年収 下位5県と全国平均(令和7年)

高知県
434.8万円
宮崎県
443.3万円
青森県
452.5万円
福島県
454.3万円
岩手県
454.4万円
全国平均
524.7万円

出典: 厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査」(2025年)

下位には高知県(434.8万円)を最下位に、宮崎・青森・福島・岩手が続きます。九州や東北の一部に、全国平均を大きく下回る地域が見られる形です。

1位・滋賀県と47位・高知県の差。勤務地を変えるだけで年収がこれだけ動く可能性があります150.5万円

厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査」(2025年)

なぜ150万円もの差が生まれるのか?5つの要因

地域差は「その県の看護師の頑張りの差」ではありません。制度や需給といった、個人の努力の外側にある要因が重なった結果です。主なものを5つに分けて見ていきます。

要因1:地域手当の存在

公務員看護師や公的病院に勤める場合、基本給に「地域手当」が上乗せされます。東京都特別区は人事院規則九―四九(地域手当)で最上位の1級地に区分され、支給割合は基本給の20%。月額にすると数万円、年間では30〜50万円規模の差につながります。都市部の年収が高く出る大きな理由のひとつです。

つまずきやすい落とし穴:地域手当を当てにして上京したが、家賃で相殺されたケース

「都市部に移れば地域手当で年収が上がる」という見込みは、家賃や生活費を計算に入れないと大きく外れます。地域手当で月3〜5万円増えても、地方から出てワンルームを借りれば家賃だけで月4〜7万円の追加負担が生じることは珍しくありません。求人票に高い年収が並んでいても、住居費・交通費・食費の上昇分を引いた「可処分所得」で比べると、地方の求人と差がほとんどなくなる場合もあります。数字は額面ではなく「手取りから生活費を引いた月の余裕」で見ておくと安心です。

要因2:施設規模の違い

大規模な病院ほど年収が高くなる傾向があります。

企業規模別 看護師の平均年収

10〜99人
455.8万円
1,000人以上
521.7万円

出典: 厚生労働省「令和6年賃金構造基本統計調査」(2024年)

1,000人以上の規模と10〜99人規模では、年収におよそ66万円の差があります(企業規模別の内訳は令和6年調査の値)。東京や大阪をはじめとする都市部には大規模病院が集中しているため、その地域の平均年収が押し上げられる構造になっています。

要因3:看護師の需給バランス

都市部は病院数が多く、看護師の確保をめぐる競争が激しいため、給与が自然と高くなりやすい環境です。人材を集めるには、近隣の病院より少しでも良い条件を出す必要があるからです。反対に医療機関の少ない地域では採用競争が穏やかで、給与水準が上がりにくい傾向があります。ただし過疎地域では、逆に「来てもらうため」の好待遇を用意する病院もあり、需給の影響は一律ではありません。応募先の地域で看護師が足りているのか不足しているのかは、求人の出方(常時募集か、急募が多いか)からもある程度読み取れます。

要因4:物価水準の反映

東京をはじめとする都市部の消費者物価は全国平均を上回ります。とりわけ住居費の差が大きく、その生活コストを補う形で給与が上乗せされている面があります。裏を返せば、都市部の高い年収は「高い生活費とセット」だということ。同じ手取りでも、家賃の安い地域のほうが実際に使えるお金は多く残ることもあります。年収が高くても支出も大きい、という関係は見落とせません。

要因5:夜勤回数の違い

大規模病院ほど夜勤シフトが多くなりがちで、夜勤手当の積み上げが年収に反映されます。1回あたりの夜勤手当は二交代制で平均11,815円(日本看護協会「2024年度 看護職員の賃金に関する実態調査」)。月に4回の差があれば、それだけで年間およそ57万円の開きになります。年収の高さは、夜勤という負担と背中合わせであることも覚えておきたいところです。

年代別に見る年収:経験を重ねるほど上がる

年齢階級別 看護師の平均年収

20〜24歳
427.7万円
25〜29歳
486.7万円
50〜54歳
582.4万円

出典: 厚生労働省「令和6年賃金構造基本統計調査」(2024年)

看護師の年収は年齢とともに上がり、50代前半がピークになります(年齢階級別の内訳は令和6年調査の値)。20代前半と50代前半では150万円以上の開きがあり、看護師が経験年数で評価されやすい職種であることがうかがえます。転職のタイミングを考えるときは、いまの自分の年齢帯の相場を押さえておくと、提示された条件が妥当かどうかを判断しやすくなります。

なお、同じ調査では男性看護師の平均が約534.8万円、女性が約517万円で、男女差は約17万円でした。この差の背景には、大規模病院での勤務割合や勤続年数の違いがあると考えられます。

「年収が高い地域=いい転職先」とは限らない

年収の高い東京で働けば手取りが増える。これは半分正しく、半分は当てはまりません。

東京は家賃が高く、ひとり暮らしのワンルームでも月7〜10万円が目安です。地方なら3〜5万円で収まる地域も多く、通勤時間の長さや保育料の高さも含めれば、生活コスト全体で考える必要があります。

大切なのは「年収」ではなく「可処分所得(手元に残るお金)」で見る視点です。地方で年収450万円でも、生活コストが低ければ、東京の550万円より暮らしにゆとりが出ることもあります。地域差のデータは「高い場所に移ろう」ではなく、「自分の暮らし方に合う場所はどこか」を考える材料として使うのが現実的です。

手取りで考える:可処分所得のシミュレーション

「額面ではなく手取りの余裕で比べる」と言葉で言うのは簡単ですが、いざ求人を前にすると、額面の大きさに引っ張られがちです。そこで、簡単な試算をしてみましょう(金額は考え方を示すための一例です)。

たとえば、都市部の病院で年収560万円、地方の病院で年収470万円の求人があったとします。額面では90万円の差です。ここに生活コストを重ねてみます。

  • 家賃:都市部はワンルームで月9万円、地方は月4万円。年間で60万円の差。
  • 通勤・食費など:都市部のほうが年間15万円ほど高くつくと仮定。

額面の差90万円から、住居費の差60万円と生活費の差15万円を引くと、手元に残る差は15万円ほど。月にならすと1万円強です。家賃を抑える、実家から通うなど条件次第で結果は変わりますが、「額面90万円アップ」が「毎月の余裕1万円」に縮むことは珍しくありません。

コツは、この計算を求人ごとに自分の生活で置き換えてみることです。手取りの目安は額面のおおよそ75〜80%。そこから家賃・水道光熱費・通信費・食費を引いた「毎月自由に使える額」で並べると、どの求人が本当に自分にプラスなのかが見えてきます。

年収データを転職判断にどう使うか

地域や施設規模の差がわかったら、次は自分の応募先選びに落とし込みます。押さえておきたいポイントは3つです。

1. 施設規模を意識する

同じ地域でも、小規模施設と大規模施設では年収に差が出ます。年収を優先軸にするなら、大規模病院を候補に入れるだけでも条件は変わってきます。

2. 夜勤手当の条件を具体的に確認する

夜勤手当の金額は病院によって幅があります。月4回の夜勤で年間50万円以上の差が出ることもあるため、「夜勤手当は1回いくらで、月に何回か」を面接前に確認しておきましょう。

3. 地域相場と照らし合わせてから応募先を絞る

同じ都道府県内でも、施設規模や賞与月数によって年収は変わります。いまの年収と希望年収を先に整理し、地域相場と求人条件を照らし合わせてから応募先を選ぶと、入職後の「思っていた条件と違う」を防ぎやすくなります。

4. 自分の相場を3ステップで確認する

「この求人は高いのか低いのか」を判断するには、比較のものさしになる自分の相場を持っておく必要があります。次の3ステップが目安です。

  1. 年齢帯 × 地域の平均を押さえる — この記事の都道府県別・年齢別データが出発点です。自分の年齢帯と勤務地(希望地)の水準を、まずざっくり頭に入れます。
  2. 施設規模で補正する — 同じ地域でも大規模病院と小規模施設で差が出ます。応募先の病床規模を求人票で確認し、規模が大きいほど平均は上振れすると見込みます。
  3. 賞与と夜勤の条件で最終確認する — 年収は賞与月数と夜勤回数で大きく動きます。「賞与◯ヶ月・直近実績」「夜勤1回◯円・月◯回」を面接で確認し、提示年収の内訳を分解します。

この3ステップを踏むと、求人票の年収が相場に対して高いのか低いのかを、自分の言葉で説明できるようになります。エージェントに相談するときも、「私の年齢・地域・規模ならこのくらいが相場のはず」と土台を持って話せると、条件の交渉が進めやすくなります。

よくある失敗例

年収アップを目的に動いたのに、結果的に手元が苦しくなったパターンを整理します。自分に当てはまるものがないか確認してみてください。

高年収地域に移ったが、生活コスト上昇で手取りが実質減った

ランキング上位の都市部へ転職し、求人票どおりに年収は上がったのに、家賃・交通費・外食費の増加で毎月の余裕が地方勤務時より減ったケースです。「年収が上がった=生活が豊かになった」とは限りません。転職前に「現在の月次収支」と「転職後の想定収支(家賃・交通費込み)」を並べて比べる作業をおすすめします。

大規模病院を選んだが、夜勤回数が増えて疲弊した

施設規模が大きいほど年収が高いというデータを重視して急性期の大規模病院に移った結果、夜勤が月6回以上になり心身が消耗したケースです。年収の高さと夜勤手当の積み上げは連動しているため、「年収を取るか、夜勤負担を減らすか」はトレードオフになりがちです。転職理由が労働環境の改善なら、年収より夜勤回数や残業の実態を優先軸に置くほうが後悔しにくくなります。

地元の相場を調べずに転職し、前職より低い年収で入職した

「どこでも同じくらいだろう」と思い込み、近隣の病院へ転職したところ、前職より年収が下がっていたケースです。同じ都道府県内でも施設規模・夜勤条件・賞与月数によって年収の幅は大きく変わります。現在の年収と希望額を最初に整理し、地域相場と求人条件を照合してから応募先を絞る手順が有効です。

よくある質問

Q. 看護師の年収が一番高い都道府県はどこですか?

A. 令和7年賃金構造基本統計調査(2026年3月公表)では、滋賀県が585.3万円で全国1位です。次いで東京都578.5万円、山梨県555.5万円と続きます。前年は東京都が1位でしたが、令和7年で滋賀県が逆転しました。

Q. 看護師の年収が低いのはどの地域ですか?

A. 同じ調査で最も低いのは高知県の434.8万円です。宮崎県443.3万円、青森県452.5万円など、九州・東北の一部が下位に並びます。1位の滋賀県との差は150.5万円です。

Q. 年収の高い都道府県に転職すれば手取りは増えますか?

A. 必ずしもそうとは限りません。都市部は家賃や生活費も高く、可処分所得(手元に残るお金)で見ると地方との差が縮まることがあります。求人票の年収額だけでなく、家賃・交通費を差し引いた「毎月の余裕」で比較することをおすすめします。

Q. 全国平均の524.7万円はどの調査の数字ですか?

A. 厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査」(2026年3月公表、2025年6月分の賃金が対象)の看護師の値です。毎月の給与と年間賞与を合算した金額です。

Q. 看護師の年収は賞与でどのくらい変わりますか?

A. 令和7年の全国平均524.7万円のうち、年間賞与などは約85.6万円を占めます。賞与は病院の経営状況や賞与月数によって差が出るため、求人を比べるときは「賞与◯ヶ月分」と直近の支給実績を確認すると、年収の見通しが立てやすくなります。

まとめ

看護師の全国平均年収は524.7万円ですが、都道府県によって最大150万円の差があります。令和7年は滋賀県が東京を抜いて1位になりました。差の要因は、地域手当・施設規模・需給バランス・物価・夜勤回数の5つ。年収の額面だけでなく、生活コストも含めた「可処分所得」で考えることが、後悔しない転職先選びの土台になります。

年収は大切な判断材料ですが、自分に合う働き方は人によって違います。今の働き方を整理したい方は、3分の働き方タイプ診断 も参考にしてみてください。

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参考文献

  1. 厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査 結果の概況」2026-07-14 閲覧)
  2. 厚生労働省「令和6年賃金構造基本統計調査 結果の概況」2026-07-14 閲覧)
  3. 人事院規則九―四九(地域手当)|e-Gov法令検索2026-07-14 閲覧)
  4. 日本看護協会「2024年度 看護職員の賃金に関する実態調査」2026-07-14 閲覧)