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刑務所(矯正施設)の看護師の求人|採用の探し方・仕事内容・給与
目次
刑務所など矯正施設の看護師の求人は、決まった時期の採用試験ではなく、通える範囲の施設や矯正管区への問い合わせが入口です。法務省矯正局の職員採用情報に、看護師の試験は載っていません(2026年10月5日確認)。
国の常勤職員として採用される看護師の給与は、国家公務員の給与表の一つ、医療職俸給表(三)で決まります。この俸給表が適用される職員の平均給与月額は390,461円(2026年4月、平均48.4歳、賞与は別)でした。ただし医療職(三)は、病院や療養所、検疫所などで働く看護職も対象で、矯正施設の看護師だけの平均ではありません。
病院とは違う場所で看護をしたい、公務員として働く道も考えたい——そう考えて調べ始めても、募集の出方も仕事の実態も見えにくく、迷うのは自然です。この記事は、法令と公的な資料で確かめられたことと、応募先に聞かないと分からないことを分けて書きます。
矯正施設の看護師とは——被収容者の医療を担う
刑事収容施設法56条は、刑事施設が「社会一般の保健衛生及び医療の水準に照らし適切な保健衛生上及び医療上の措置を講ずる」と定めています。矯正施設には規模や機能に応じて医務部・医務課などがあり、次の職員が医療を分担しています。
- 矯正医官:施設の常勤の医師
- 看護師・准看護師:看護や医療の業務にあたる。刑務官として働きながら准看護師養成所で資格を取った職員も、医師の指示を受けるなどして医療事務に従事すると、法務省の資料に書かれています
- 処遇職員(刑務官など):被収容者の日常に接する立場で、受診の必要性の判断にかかわる
法務省の有識者検討会の報告書(2014年)は、被収容者の受診の必要性や診療の優先順位が、処遇職員と看護師・准看護師などの判断を介して決まると説明しています。病院の看護師と違うのは、患者が自分で受診を決められず、処遇職員と看護職の判断がその入口になる点です。
雇用の形には幅があります。同じ報告書は、常勤医師の確保が難しい5施設(2013年4月時点)が矯正医療を外部の医療機関に委託していると記しています。看護師の雇用主が国とは限らない施設がありえますし、求人に非常勤の募集が含まれる可能性もあります。この記事の給与の話は、国の常勤職員として採用される場合のものです。
データで見る矯正施設——刑事施設173庁、収容4万人
働く場所の数と規模を、法務省の「令和7年版 犯罪白書」で確かめます。
| 項目 | 数 | 時点 |
|---|---|---|
| 刑事施設(本所) | 74庁(刑務所59・少年刑務所7・拘置所8) | 2025年4月1日 |
| 刑事施設(支所) | 99庁(刑務支所8・拘置支所91) | 2025年4月1日 |
| 医療を集中させた施設 | 13庁(医療専門施設4・医療重点施設9) | 白書に時点の記載なし |
| 矯正医官 | 288人(定員の約9割) | 2025年4月1日 |
| 年末収容人員 | 40,544人(うち受刑者33,745人) | 2024年末 |
出典:法務省「令和7年版 犯罪白書」第2編第4章(法務省矯正局の資料、矯正統計年報による)
刑事施設(刑務所・少年刑務所・拘置所)は本所と支所で173庁あります。このうち医療機器や医療専門職員を集中的に配置しているのは13庁で、次の施設です。
- 医療専門施設(4庁):東日本・西日本の成人矯正医療センター、岡崎・北九州の医療刑務所
- 医療重点施設(9庁):札幌・宮城・府中・名古屋・大阪・広島・高松・福岡の各刑務所、東京拘置所
応募先がこの13庁か、それ以外の施設かで、看護の中身は変わると考えておくと、施設を選ぶときに迷いにくくなります。
収容人員は2006年の81,255人から減り、2024年末は40,544人とほぼ半分になりました。ただし、中身は変わっています。
2024年の入所受刑者のうち65歳以上の割合(2,049人)。2005年より9.0ポイント上がった。慢性疾患の管理や認知症への対応は、応募先で確かめたい論点13.8%
法務省「令和7年版 犯罪白書」(2024年)
2024年の入所受刑者は14,822人で、このうち65歳以上が2,049人、70歳以上が1,370人です。70歳以上は2005年(597人)の約2.3倍になりました。刑の執行開始時に65歳以上の人などには認知症のスクリーニング検査が行われ、2024年は2,086人が検査を受け、284人が医師の診察を受け、132人が認知症と診断されました。白書が示すのはここまでで、看護の仕事がどう変わったかまでは書かれていません。
仕事内容と「きつい」と言われる理由
「刑務所の看護師はきつい」と検索する人がいます。体験談ではなく、2014年の報告書が挙げている事情から整理します。報告書が主に述べているのは矯正医官の負担ですが、「矯正医官を含む医療従事者は、非常な緊張を強いられている」とも書いています。
- 患者も医療者も選べない:被収容者は外部の医師を原則として選べず、矯正医官も診療を断れません。報告書は、この逃げ道のなさが一般の医療にはないストレスを生むと指摘しています
- 詐病などへの対応:刑務作業から逃れるために病気を装う例などがあることを、対応の難しさとして挙げています
- 人と設備:看護師などの医療従事者の数も十分とはいえず、一部の施設を除いて設備が老朽化していると指摘しました(2014年時点)
報告書は、2012年10月時点で被収容者67,637人のうち患者が45,424人(67.2%)で、高血圧などの循環器系疾患(10,305人)と、覚醒剤後遺症などの精神及び行動の障害(6,088人)が多かったと報告しています(矯正統計年報による)。2012年の数字ですが、どんな健康課題が多いかの目安になります。
この報告書は2014年のもので、その後、矯正医官は2013年4月の260人から2025年4月の288人に増えました。看護師の体制や設備が今どうなっているかは、今回確認した公的な資料からは分からないので、応募先で聞く必要があります。身の安全や戒護の体制(看護師だけで被収容者に接する場面があるか、職員が同席するか)も、今回確認した公的資料では分かりませんでした。面接や問い合わせで、遠慮せずに聞いてください。
給与——医療職俸給表(三)で決まる
国の常勤職員の給与は、法律で決まります。人事院規則九―二(俸給表の適用範囲)の第14条は、医療職俸給表(三)を「病院、療養所、診療所等の医療施設、刑務所、拘置所等の矯正施設、検疫所及び学校等に勤務し、保健指導又は看護等に従事する保健師、助産師、看護師及び准看護師である職員」に適用すると定めています。
この俸給表が適用される職員の給与を、人事院の調査でほかの俸給表と比べます。
医療職(三)の調査対象は1,757人、平均経験年数は22.7年です。医療職(三)の平均給与月額は、行政職(一)より37,990円、公安職(一)より約25,000円低くなっています。ただ、行政職(一)と比べると、俸給(基本給)はほぼ同じで、差の大半は次の3つの手当にあります。
| 項目 | 医療職(三) | 行政職(一) |
|---|---|---|
| 俸給(基本給) | 343,846円 | 342,178円 |
| 地域手当等 | 24,378円 | 45,912円 |
| 俸給の特別調整額 | 971円 | 12,583円 |
| その他 | 3,849円 | 11,747円 |
| 平均給与月額(扶養手当・住居手当を含む合計) | 390,461円 | 428,451円 |
差の大きい項目の抜粋で、上の行を足しても合計にはなりません。出典に理由は書かれていないので、ここから先は読み取れません。
見るときの注意が2つあります。
- 平均給与月額には、期末・勤勉手当(ボーナス)が入っていません。年収にするにはこれを足す必要がありますが、矯正施設の看護師だけの年収は、今回確認した公的な資料では分かりませんでした
- 2026年4月の値で、同年8月の人事院勧告を受けて法律が改正されると変わります
公務員看護師の給与の決まり方は公務員看護師の年収と採用で、初任給の比べ方は看護師の初任給で整理しています。
採用・求人——看護師の試験区分は無く、施設や矯正管区に確かめる
刑務官には国家公務員の採用試験がありますが、看護師の試験は法務省矯正局の「職員採用情報」に載っていません。載っているのは、刑務官の採用試験と選考採用、法務省専門職員(人間科学)の採用試験、法務技官(作業)(作業専門官)の選考採用などです(2026年10月5日確認)。関東矯正管区のページには、刑務官、法務教官、法務技官、医師、医療スタッフ、福祉専門官などを募集すると書かれていますが、看護師の個別の募集要項は載っていませんでした。
矯正施設の看護師の求人を探す手順は、次の4つです。
- 通える範囲にある刑務所・拘置所などと、その地域を管轄する矯正管区を、法務省の「全国の矯正管区・矯正施設・矯正研修所一覧」で確かめる
- 矯正管区や施設に、看護師の募集の予定と、募集をどこで公表するか(施設や管区のサイト、ハローワークなど)を問い合わせる
- 募集があれば、選考の方法(書類・面接など)、常勤か非常勤か、勤務先が医療専門施設・医療重点施設か一般の施設か、夜間や休日の勤務の有無を確かめる
- 採用時の俸給の級と号俸の見込みを聞く
問い合わせの見本:
⚠️ つまずきやすい落とし穴:決まった時期の試験を待ち続ける「病院で看護師として◯年働いています。貴施設(貴管区)で看護師の募集の予定はありますか。募集はどこで公表されますか。常勤か非常勤か、勤務時間と夜間の体制も教えていただけますか」
刑務官や法務教官のように採用試験があると思い、法務省の採用試験のページだけを見続けると、募集に気づかないまま時間が過ぎます。そのページに看護師の試験は載っていませんし、矯正管区のページにも看護師の個別の募集要項は載っていませんでした。看護師の募集は欠員などが出たときに応募する形と考えられるので、待つのではなく、通いたい地域の矯正管区と近隣の刑務所・拘置所に、自分から問い合わせます。聞くのは、看護師の募集の予定があるか、募集をどこで公表するか、常勤か非常勤かの3点です。一度で終わらせず、数か月後にもう一度確かめると、見逃しを減らせます。
⚠️ つまずきやすい落とし穴:どの施設でも同じ働き方だと思い込む医療専門施設と医療重点施設は13庁です。2014年の報告書の時点で、医療専門施設のうち3施設は医療法上の病院として承認を受けていました。ほかの施設が同じ体制とは限りません。医療刑務所の病棟の看護を思い描いて応募したのに、配属先ではそれと違う仕事だった、ということも起こりえます。応募の前に、勤務先がどの種類の施設か、看護師が何人いて、夜間や休日にどう対応しているかを確かめてください。問い合わせでは、「入院の病棟はありますか」「夜間は看護師が当直しますか」と具体的に聞くと、施設ごとの違いが見えます。
向いている人・向いていない人
| 向いている人 | 向いていない人 |
|---|---|
| 慢性疾患の管理や、精神面の不調を抱える人への看護に関心がある人 | 患者が自分で医療機関を選べる、一般の医療の場で働きたい人 |
| 処遇職員や医師と連携して、施設のルールの中で看護を進めることに抵抗がない人 | 急性期の治療や高度な医療の経験を積み続けたい人 |
| 公務員として、法律で決まる給与で働きたい人 | 民間の病院のように、自分で勤務先や働き方を細かく選びたい人 |
上の表は、被収容者が外部の医師を原則として選べないこと、受診の入口が処遇職員と看護職の判断であること、常勤職員の給与が法律で決まることから整理した目安です。矯正施設の看護は、患者の背景にかかわらず、社会一般の水準の医療を届けることが法律で求められる仕事です。被収容者には精神及び行動の障害のある人も少なくないため、精神科での看護の経験は活かせる場面があります。精神科の働き方については精神科看護師への転職ガイドも参考になります。
矯正施設への転職で起きやすい失敗例
- 失敗例1:管区ページの「医療スタッフを募集」を看護師の求人と受け取る → 関東矯正管区のページの記載は職員全般についての案内で、看護師の募集要項は載っていません。募集の有無は、管区か施設に直接聞きます
- 失敗例2:平均給与月額を自分の月給と受け取る → 390,461円は、平均48.4歳・平均経験年数22.7年の集団の値です。自分の額は、前の職場の経験年数の数え方で変わりえます
- 失敗例3:求人に「矯正施設」とあれば国の職員だと決めてかかる → 非常勤の募集や、診療所の管理を委託された法人の募集である可能性があります。雇用主と雇用の形を、募集の案内か労働条件の書面で確かめます
よくある質問
Q. 刑務所の看護師の求人・募集はどこで探せますか?
A. 通いたい地域の矯正管区や、刑務所・拘置所などの施設に、募集の予定と公表の場所を問い合わせるのが一つの方法です。施設と管轄の矯正管区は、法務省の全国の矯正管区・矯正施設・矯正研修所一覧で確かめられます。
Q. 刑務所の看護師になるのに試験はありますか?
A. 法務省矯正局の職員採用情報に、看護師の試験は載っていません(2026年10月5日確認)。刑務官のような決まった時期の採用試験は確認できないので、募集があったときの選考の方法(書類・面接など)は、募集の案内で確かめてください。
Q. 刑務所の看護師の年収・給料はどのくらいですか?
A. 今回確認した公的な資料では、矯正施設の看護師だけの年収は分かりませんでした。給与は医療職俸給表(三)で決まり、この俸給表の職員の平均給与月額は390,461円(2026年4月、平均48.4歳)で、これに期末・勤勉手当が加わります。ただし病院や療養所、検疫所などで働く看護職も対象で、矯正施設の看護師だけの平均ではありません。
Q. 刑務所の看護師はきついですか?
A. 法務省の有識者検討会の報告書(2014年)は、主に矯正医官について、相手を選べないことや詐病などへの対応が一般の医療にはないストレスになると指摘し、「矯正医官を含む医療従事者は、非常な緊張を強いられている」とも書いています。看護師の負担そのものは、報告書からは分かりません。きつさは施設の種類と体制で変わるので、応募前に、看護師の人数、夜間の体制、被収容者に接するときの職員の同席を確かめると判断しやすくなります。
矯正施設に限らず、ほかの職場の求人も並べて比べる
矯正施設の看護師の募集は、決まった時期に出るとは限りません。問い合わせと並行して、勤務時間や夜勤の有無などの条件で、ほかの職場の求人も並べておくと、選べる幅が広がります。
まとめ
- 看護師の求人は、採用試験の区分がないので、通える地域の矯正管区や施設に、募集の予定と公表の場所を問い合わせる
- 国の常勤職員の給与は医療職俸給表(三)で決まり、平均給与月額は390,461円(2026年4月、ボーナスは別)。矯正施設だけの平均ではない
- 応募の前に、施設の種類、看護師の人数、夜間の体制、常勤か非常勤かを確かめる
状況に合わせて、次の記事も確認できます。
- 国や自治体の病院の身分と給与を比べたい人は:公務員看護師の年収と採用
- ほかの国の機関で働く看護師の道も知りたい人は:自衛隊の看護師(看護官)
- 看護師全体の年収の内訳と比べたい人は:看護師の平均年収
- 応募先の給与の内訳を読み解きたい人は:看護師の求人票の見方
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