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看護師のブランク復職|データで見る「決まりやすい戻り方」の順番
目次
「ブランクがあると戻れないのでは」と考える方へ。都道府県ナースセンターに登録している求職者のうち、51.0%は求職時に看護職として働いていない人です。半数がブランクのある状態から探しています。そして年齢が上がるほど就職は決まっています。決まりやすさを分けているのは、ブランクの長さではなくどの雇用形態・どの施設から戻るかでした。この記事は、その順番を数字で示します。
ブランクのある求職者は、少数派ではありません
ナースセンター求職者のうち「未就業または看護職以外で就業中」の割合(n=68,724)51.0%
日本看護協会 中央ナースセンター「2024年度 ナースセンター登録データに基づく看護職の求職・求人・就職に関する分析報告書」(2024年)
日本看護協会 中央ナースセンターの分析によると、2024年度にナースセンターへ登録した求職者68,724人のうち、求職時の就業状況が「未就業または看護職以外で就業中」だった人は51.0%。「就業中(看護職)」は45.3%でした。看護職として働きながら次を探している人より、いったん現場を離れている人のほうが多いというのが実態です。
年齢別に見ると、この割合が最も高いのは60歳以上の57.7%、次いで35〜39歳の52.6%、30〜34歳の51.5%でした。子育て期にあたる30代と、定年前後の60代に山が2つある形です。
求人の側も見ておきます。2024年度のナースセンターの求人倍率は2.51倍で、2023年度の2.22倍から0.29ポイント上がりました。求職者1人に対して2.51件の求人がある計算です。
なお、この統計はブランクの長さ別の数字ではありません。公表されているのは「求職時に就業していたかどうか」で、「ブランク10年の人の就職率」を示した公的なデータは見当たりませんでした。ですので本記事では、「何年空いたら難しい」という線引きはしません。代わりに、実際に就職が決まっている人の入り口の選び方を見ていきます。
決まりやすさを分けているのは、「入り口」の選び方
ナースセンターの登録データは、求職者がどの雇用形態・どの施設を第1希望にしたかによって、就職の決まり方が大きく違うことを示しています。
まず雇用形態です。単位の違う3つの指標を1枚にまとめます。
| 第1希望の雇用形態 | 求職就職率 | 求人採用率 | 求人倍率 |
|---|---|---|---|
| 常勤 | 6.4% | 2.1% | 3.00倍 |
| 非常勤 | 10.4% | 4.7% | 2.21倍 |
| 臨時雇用 | 56.4% | 66.5% | 0.85倍 |
出典:日本看護協会 中央ナースセンター「2024年度 ナースセンター登録データに基づく看護職の求職・求人・就職に関する分析報告書」図2・図11。求職就職率=雇用形態別の求職者数に対する就職者数の割合。求人採用率=求人数に対する採用者数の割合。
ここに逆転が起きています。求人倍率がいちばん高いのは常勤(3.00倍)なのに、実際に就職が決まる割合がいちばん低いのも常勤(6.4%) です。求人はあるのに決まらない。一方、臨時雇用は求人倍率0.85倍と求人のほうが少ないのに、求職就職率は56.4%(求職者7,665人に対し就職者4,326人)に達します。
施設の種類でも同じ構図が見えます。
| 施設種類(第1希望) | 求職就職率 |
|---|---|
| 救護(イベント等) | 39.3%(求職7,997人/就職3,140人) |
| 病院(20〜199床) | 7.4%(求職12,177人/就職905人) |
| 訪問看護ステーション | 6.5%(求職4,586人/就職299人) |
| その他社会福祉施設 | 6.4%(求職3,168人/就職202人) |
| 病院(500床以上) | 2.9% |
出典:同報告書 図12。
救護(イベント等)と500床以上の病院では、決まる割合が13倍以上違います。
この差を「大病院は狭き門だから諦めよう」と読む必要はありません。読むべきは順番です。いきなり大病院の常勤を第1希望にすると、応募から採用までの道のりが長い。単発の救護業務や中小病院の非常勤から入るほうが、統計上ははるかに早く現場に戻れる。 そして一度戻れば、「ブランクあり」ではなく「直近で看護業務に就いている人」として次を探せます。
どの入り口から戻るか、一緒に整理してみませんか
非常勤・短時間・単発など、条件を落とさずに戻れる求人の探し方から相談できます。
「ブランクがあるから、まずは慣らしで大きな病院の教育体制の整ったところへ」という考え方が、いちばん時間を失います。500床以上の病院の求職就職率は2.9%、求人採用率は1.5%。教育体制が整っているぶん採用のハードルも高く、決まるまでに月単位の時間がかかります。その間、ブランクはさらに延びます。もうひとつ、「常勤でないと生活が成り立たない」という理由で常勤だけに絞るケース。常勤の求職就職率は6.4%です。急がば回れで、非常勤(10.4%)や臨時雇用(56.4%)で数か月の実務経験を積んでから常勤に移るほうが、結果的に早く常勤に着地することがあります。非常勤から常勤への登用制度がある求人もあるので、応募時に「正職員登用制度の有無」を確認してください。
年齢が上がるほど、就職は決まっています
「もう年齢的に遅い」という不安にも、データで答えが出ています。
年齢別の求職就職率(2024年度・ナースセンター登録データ)
出典: 日本看護協会 中央ナースセンター「2024年度 ナースセンター登録データに基づく看護職の求職・求人・就職に関する分析報告書」図10(2024年)
※値の幅が狭いため、グラフの起点は0%ではありません。最低の25〜29歳9.2%と最高の60歳以上18.2%の差は9.0ポイントです。
求職就職率は年齢が上がるほど高くなります。最も低いのは25〜29歳の9.2%、最も高いのは60歳以上の18.2%。全体平均は13.2%(求職者68,724人に対し就職者9,100人)です。
これは「高齢のほうが優遇される」という意味ではありません。60歳以上は臨時雇用や非常勤を第1希望にする人が多く、前掲の「入り口の選び方」の差が年齢別の数字に表れていると読むほうが自然です。ただし少なくとも、年齢が上がると決まらなくなる、という傾向はこのデータには表れていません。40代・50代の求職就職率は、20代を上回っています。
就業看護師の年齢構成そのものは看護師は何歳が多い?年齢構成と転職しやすさで扱っています。
戻る手順は、届出 → 研修 → 入り口の順
ステップ1:ナースセンターに届け出る(所要10分)
看護師等の人材確保の促進に関する法律(平成4年法律第86号)第16条の3第1項は、こう定めています。
看護師等は、病院等を離職した場合その他の厚生労働省令で定める場合には、住所、氏名その他の厚生労働省令で定める事項を、厚生労働省令で定めるところにより、都道府県センターに届け出るよう努めなければならない。
この届出制度(通称「とどけるん」)は、2015年(平成27年)10月1日から施行されています。免許を持ちながら看護の仕事に就いていない方が対象で、努力義務です。届け出ると、都道府県ナースセンターが個々の状況に応じて復職への働きかけを行い、情報発信・相談、復職研修、職業紹介といった支援につながります。
- 手順:①「とどけるん」のサイトで利用者登録 → ②免許番号・氏名・住所などを入力 → ③届出完了後、都道府県ナースセンターから連絡が来る
- 見本:ナースセンターに相談するとき、伝えると話が早い3点は「離職した時期」「最後にいた診療科と経験年数」「今すぐ働ける曜日・時間帯」です
ステップ2:復職研修を受ける
同法第15条は、都道府県ナースセンターの業務として「訪問看護その他の看護についての知識及び技能に関し、看護師等に対して研修を行うこと」(第2号)と「看護師等について、無料の職業紹介事業を行うこと」(第5号)を定めています。研修も紹介も、法律に業務として書かれているものです。
研修の内容・日程は都道府県ごとに違うので、お住まいの都道府県のナースセンターのサイトで「復職支援研修」「再就業支援研修」の案内を確認してください。採血や与薬などの技術演習、電子カルテの操作、最近の医療安全の考え方などを扱うものが一般的です。
ステップ3:臨時雇用・非常勤から入り口をつくる
前掲のデータのとおり、第1希望を常勤に固定すると求職就職率は6.4%です。まず臨時雇用(56.4%)や非常勤(10.4%)で実務に触れ、そこから条件を上げていくほうが、統計的には早く戻れます。
⚠️ つまずきやすい落とし穴届出だけして、そのあと動かない人がかなりいます。届出は努力義務であって、届け出れば自動的に仕事が来るものではありません。届出後にナースセンターから連絡が来たら、「まだ具体的には考えていないので」と保留にせず、その場で復職研修の日程を聞いてください。研修は年に数回しか開催されない地域もあり、次回まで半年空くこともあります。もうひとつ、ナースセンターに登録したうえで民間の転職サービスも併用すると、求人の見える範囲が変わります。ナースセンターの求人倍率は2.51倍ですが、これはナースセンターに登録された求人だけの数字です。同じ地域でも、ナースセンターに出ていない求人は当然あります。復職の時期を早めたいなら、窓口はひとつに絞らないほうが現実的です。
条件は「給与」ではなく「勤務時間」から決める
もうひとつ、ナースセンターのデータが教えてくれることがあります。求職者が重視すると答えた条件と、実際に就職した人が重視していた条件を並べると、順位が入れ替わります。
| 就職の際に重視する条件(上位3つまでの複数回答) | 求職者全体(n=68,724) | 就職した人(n=9,100) |
|---|---|---|
| 勤務時間 | 22.6% | 19.9% |
| 給与 | 18.1% | 14.7% |
| 通勤時間 | 16.5% | 14.9% |
| 看護内容 | 16.5% | 14.3% |
| 休暇 | 10.6% | 8.1% |
出典:同報告書 図8。
両方で1位は「勤務時間」です。ただし2位が入れ替わります。求職者全体では給与(18.1%)が通勤時間(16.5%)より上ですが、実際に就職した人では通勤時間(14.9%)が給与(14.7%)を上回ります。
復職では、続けられるかどうかが最初の関門です。往復2時間の通勤は、ブランク明けの体力と家庭の事情に直接響きます。条件を1つだけ優先するなら、勤務時間。2つ目は通勤時間。給与はそのあとで比べる——これが、実際に就職に至った人たちの並べ方です。
なお年齢別に見ると、「勤務時間」を挙げた求職者の割合は35〜39歳以上で2割を超えています。子育てや介護と両立する年代ほど、時間を第一条件に置いているということです。夜勤なしで戻る選択肢は子育て中の看護師が夜勤なしで働くには、短時間勤務での戻り方は50代看護師のパート転職も参考にしてください。
⚠️ つまずきやすい落とし穴復職の面接で「ブランクがあるので何でもやります」と答えてしまうのは、避けたい伝え方です。条件を全部open にすると、夜勤ありの常勤として採用され、3か月で続かなくなるケースが起きます。前掲のとおり、実際に就職した人が重視していた条件の1位は勤務時間です。譲れない時間の条件を1つだけ、具体的な数字で伝えてください。見本は「17時までの勤務を希望しています。保育園のお迎えが18時なので、残業がある日があるとしても月に何回くらいか教えていただけますか」。条件を出すと採用されにくくなると感じるかもしれませんが、条件を出さずに入って辞めるほうが、次の求職活動には不利に働きます。
ブランクからの復職でよくある失敗
- 失敗例1:技術が不安だからと、準備が終わるまで応募しなかった → 研修だけで不安が消えることはありません。研修は「思い出すきっかけ」であって、現場の勘は現場でしか戻りません。復職研修の日程を押さえたら、並行して臨時雇用・非常勤の求人を見始めてください。
- 失敗例2:ブランク期間を履歴書でぼかした → 期間を曖昧にすると、面接でそこが論点になります。空白の理由(育児・介護・療養・他業種での就業)を事実として書き、その間に続けていたこと(研修の受講、資格の維持、他業種での経験)を1行添えるほうが読み手に伝わります。書き方は看護師の履歴書の書き方にまとめています。
- 失敗例3:以前と同じ診療科・同じ規模の病院に戻ろうとした → 以前いた環境がそのまま残っているとは限りません。訪問看護ステーションの求人倍率は4.54倍と全体の2.51倍を大きく上回り、健診センターや社会福祉施設など夜勤のない職場も選択肢になります。訪問看護に未経験から転職するには、健診センターの看護師へ転職するにはもご覧ください。
よくある質問
Q. ブランクが10年あります。もう戻れないでしょうか?
A. ブランクの長さ別の就職率を示した公的なデータは見当たらないため、「何年なら大丈夫」という線引きはできません。分かっているのは、ナースセンターの求職者の51.0%が求職時に看護職として働いていないこと、そして求職就職率は年齢が上がるほど高い(60歳以上18.2%、25〜29歳9.2%)ことです。まずは届出と復職研修から始め、臨時雇用や非常勤で入り口をつくる順番をおすすめします。
Q. 潜在看護師の復職支援は、どこが窓口ですか?
A. 都道府県ナースセンターです。看護師等の人材確保の促進に関する法律第15条により、研修の実施(第2号)と無料の職業紹介(第5号)がナースセンターの業務として定められています。まず同法第16条の3の届出制度(とどけるん)で届け出ると、個々の状況に応じた働きかけを受けられます。
Q. パートから始めて、あとで常勤になれますか?
A. 求人によります。応募の段階で「正職員登用制度の有無」を確認してください。ナースセンターの求人票にも正職員登用制度の項目があります。データ上は、常勤を第1希望にした場合の求職就職率が6.4%、非常勤が10.4%なので、非常勤から入って実務経験を積み直すルートのほうが現場に戻るまでは早い傾向があります。
戻る時期と条件を決めるところから
勤務時間・通勤時間の条件を先に固めると、探す範囲がはっきりします。無料で相談できます。
まとめ
- ナースセンター求職者の51.0%は、求職時に看護職として働いていない人です。ブランクのある状態から探すのは少数派ではありません。
- 決まりやすさを分けるのは入り口です。 求職就職率は常勤6.4%、非常勤10.4%、臨時雇用56.4%。施設でも救護(イベント等)39.3%と500床以上の病院2.9%で13倍以上の差があります。
- 年齢が上がると決まらなくなる傾向は、データに表れていません。 60歳以上18.2%、50〜54歳13.9%で、いずれも20代を上回ります。
- 手順は届出 → 復職研修 → 臨時雇用・非常勤。 届出も研修も職業紹介も、看護師等の人材確保の促進に関する法律に定められた仕組みです。
- 条件は勤務時間 → 通勤時間 → 給与の順に固める。 実際に就職した人は、給与より通勤時間を重視していました。
転職活動全体の進め方は、親記事の看護師の転職活動の流れ完全ガイドにまとめています。