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50代看護師のパート転職|時給1,933円の相場と、年収がどう動くかの計算

ナースひとやすみ 編集部約11分で読めます
目次

50代でパートに切り替えることは、「もう第一線を退く」という意味ではありません。短時間労働者として働く看護師の平均年齢は50.9歳で、全国に277,530人います(厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査」)。つまりパート看護師の標準的な像は、すでに50代なのです。時給は1,933円で、短時間労働者全体の平均1,518円の約1.27倍。この記事では、切り替えたときに年収がいくらになるのかを実際に計算し、65歳以降も働けるかを法律で確認します。

50歳以上の看護師は約44万人——就業看護師の32.1%

短時間労働者として働く看護師の平均年齢50.9歳

厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査」短時間労働者・職種小分類(2025年)

年齢構成を見ると、50代以上が薄い層ではないことがわかります。

年齢階級就業看護師数構成割合
45〜49歳186,529人13.7%
50〜54歳164,077人12.0%
55〜59歳129,202人9.5%
60〜64歳84,049人6.2%
65歳以上59,432人4.4%
50歳以上 合計436,760人32.1%

出典: 厚生労働省「令和6年 衛生行政報告例(就業医療関係者)の概況」表3(2024年末現在)。合計は人数・割合とも各階級の公表値の合算(実数から再計算した割合は32.0%)

就業看護師1,363,142人の約3人に1人が50歳以上です。雇用形態で見ると、正規雇用が81.8%(1,115,543人)、非正規雇用が17.8%(242,085人)、派遣が0.4%(5,514人)。非正規で働く看護師は24万人を超えています(同調査 図1)。

パート看護師の相場を分解する

まず、時給の位置づけです。

短時間労働者の1時間当たり所定内給与額(職種別)

保健師
1,945円
看護師
1,933円
准看護師
1,624円
短時間労働者 全体平均
1,518円
介護職員(医療・福祉施設等)
1,361円

出典: 厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査」短時間労働者・職種小分類第1表(企業規模計10人以上・男女計)および同 結果の概況 第11表

看護師1,933円は、短時間労働者全体の平均より415円高い水準です。ただし「時給が高い」だけでは生活の設計になりません。同じ調査には、実際の働き方の平均も載っています。それを掛け合わせると、年収が出ます。

項目値計算
1時間当たり所定内給与額1,933円—
1日当たり所定内実労働時間数6.0時間—
実労働日数13.8日/月—
月の所定内給与額約160,052円1,933×6.0×13.8
年間賞与その他特別給与額110,700円—
年収の目安約203万円160,052×12+110,700

出典: 厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査」短時間労働者・職種小分類第1表(看護師・企業規模計10人以上・男女計)。月収・年収は同表の平均値から当サイトが算出

週3日強・1日6時間で年約203万円。これが平均的なパート看護師の姿です。「時給2,000円近い」という印象と、「年収200万円台前半」という現実の両方を、同じ表から読み取れます。日数や時間を増やせば比例して増えますが、増やした先に何が待っているかは、次の節で正社員側の数字と並べると見えてきます。

時給だけでなく、勤務日数と賞与まで条件を出してもらう

パート求人は「時給」しか載っていないことがよくあります。希望を伝えて、年収ベースで比較できる求人を集めてもらいましょう。

正職員を続けた場合、年収は何歳がピークか

パートに切り替えるかどうかの判断材料として、正職員(一般労働者)のまま働いたときの年収カーブを見ておきます。

年齢階級きまって支給うち所定内年間賞与年収
45〜49歳387,000円353,900円967,800円561.2万円
50〜54歳394,900円362,500円1,038,200円577.7万円
55〜59歳393,000円361,700円1,019,300円573.5万円
60〜64歳359,900円339,800円709,900円502.9万円
65〜69歳308,300円294,100円540,900円424.1万円

出典: 厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査」一般労働者・職種小分類第5表(看護師・企業規模計10人以上・男女計)。年収は「きまって支給する現金給与額×12+年間賞与その他特別給与額」で算出

看護師の年収のピークは50〜54歳の577.7万円です。40代でも、60代でもありません。いま50代前半なら、生涯でいちばん高い時期に立っていることになります。

そして60〜64歳で502.9万円へ、74.8万円(12.9%)落ちます。ここで大事なのは何が落ちているかです。所定内給与額(基本給など、時間外・深夜・休日・宿日直・交替手当を除いた額)は362,500円から339,800円へ22,700円の減少にとどまるのに対し、年間賞与は1,038,200円から709,900円へ328,300円も減っています。

つまり60代の減収は、能力の評価が下がるからではなく、賞与の算定基盤と夜勤・残業が外れるから起きています。「きまって支給する現金給与額-所定内給与額」で計算できる超過労働給与額は、50〜54歳の32,400円から60〜64歳の20,100円、65〜69歳の14,200円へと段階的に消えていきます。

この構造がわかると、判断の軸が変わります。夜勤をやめた時点で、正職員でいても収入は下がる。だとすれば「夜勤をやめる」と「パートにする」を同時に決める必要はなく、別々に検討できます。

定年後も働けるのか——法律が保証している範囲

「60歳で定年、その先は不安定」というイメージは、現在の制度とはずれています。

年齢事業主に課されていること具体的な措置
65歳まで義務(高年齢者雇用確保措置)①定年制の廃止 ②65歳までの定年の引き上げ ③希望者全員の65歳までの継続雇用制度の導入——のいずれか
70歳まで努力義務(高年齢者就業確保措置、2021年4月〜)①70歳までの定年の引上げ ②定年制の廃止 ③70歳までの継続雇用制度(再雇用・勤務延長)の導入 等

出典: 厚生労働省「高年齢者雇用安定法の改正」(65歳までの雇用確保措置/70歳までの就業機会確保)

65歳までの措置については、労使協定で継続雇用の対象者を限定できた経過措置が2025年3月31日で終了しました。2025年4月1日以降は、上の3つのいずれかを講じる必要があります。ただし「65歳定年」が義務になったわけではなく、③の継続雇用制度を選んでいる職場では、60歳でいったん退職して再雇用という形になります。待遇が変わるのはこのタイミングです。65歳以上の看護師が59,432人いるという数字は、その先も働き続けられることを示しています。

切り替えを決める前の3つの手順

1. 辞める前に、いまの職場の短時間勤務制度を調べる

  • 手順: ①就業規則で「短時間正職員」「育児・介護以外の理由で使える短時間勤務」の規定があるか確認 → ②あれば適用条件(申請時期・最低勤務時間・賞与や退職金の扱い)を読む → ③人事に「制度の直近の利用実績は何人か」を聞く → ④なければ、勤務日数を減らす相談が可能かを師長に確認する
⚠️ つまずきやすい落とし穴:「パートになるには辞めるしかない」と思い込んで退職を先に決める

同一法人内で雇用形態を変えられる職場は少なくありません。制度を使えば、勤続年数が途切れず、退職金の算定期間も継続します。外部に転職してパートになると、勤続はゼロからのやり直しです。さらに、長く勤めた職場では業務の全体像が頭に入っているため、時間を減らしても戦力として扱われやすい。まったく新しい職場でパートから始めると、人間関係と業務の把握に半年前後かかり、そのあいだ賃金は低いままです。退職届を出す前に、就業規則の該当条文を自分の目で確認し、人事に利用実績を聞く。この2つだけは済ませてください。「うちにはそんな制度はない」と現場で言われても、規程上は存在していることがあります。

2. 求人票の時給を、自分の生活時間に当てはめて年収にする

  • 手順: ①求人の時給×1日の勤務時間×月の勤務日数で月収を出す → ②賞与の有無と支給月数を確認する → ③交通費の支給上限を確認する → ④現職の直近12か月の源泉徴収票の支払金額と並べる

記入見本(面接・面談で聞く形): 「週3日・1日6時間を希望しています。その場合の月収と、賞与の実績支給月数、交通費の上限を教えていただけますか」

⚠️ つまずきやすい落とし穴:時給の高さだけで選んで、勤務日数が確保できない

パート求人は「時給2,200円」といった数字が目立つように書かれています。ところが実際に入ってみると、シフトに入れるのが週2日だけだった、という食い違いが起きます。前掲の平均像は「1日6.0時間・月13.8日」で年約203万円。日数が月8日に減れば、同じ時給でも年収は6割弱になります。判断すべきは時給ではなく、時給×時間×日数の掛け算の結果です。面談では「最低保証の勤務日数はあるか」「シフトはいつ確定するか」「希望日が通らなかった実績はどれくらいか」を必ず確認してください。求人票に書かれていない条件ほど、入職後の収入を左右します。

3. 65歳以降の扱いを、いまの職場の就業規則で確認しておく

  • 手順: ①就業規則の定年と継続雇用の条文を読む → ②継続雇用後の職種・勤務時間・賃金の決め方が書かれているか確認 → ③書かれていなければ人事に「直近で継続雇用に移った方の勤務形態」を聞く → ④70歳までの就業確保措置を導入しているかも併せて確認する
⚠️ つまずきやすい落とし穴:「65歳まで働ける」を「65歳まで今の条件で働ける」と読んでしまう

高年齢者雇用確保措置が保証しているのは雇用の機会であって、待遇の維持ではありません。継続雇用制度を採っている職場では、60歳でいったん定年退職し、有期契約で再雇用される形が一般的です。このとき、賃金・職位・勤務時間が変わることがあります。賃金構造基本統計調査でも、60〜64歳の年収は50〜54歳のピークから74.8万円下がっています。ここを知らずに「65歳までは今の給与が続く」と住宅ローンや教育費の計画を立てると、60歳で計算が崩れます。50代のうちに、自分の職場の継続雇用後の条件を具体的に確認しておくこと。そのうえで、条件が納得できないなら、50代前半のうちに動くほうが選択肢は多く残ります。

失敗例・よくあるNG

NG①:「50代だから求人がない」と決めつけて探さない

看護職員の有効求人倍率は全国で2.06倍(2024年、保健師・助産師・看護師計、厚生労働省の検討会資料)。短時間労働者として働く看護師の平均年齢が50.9歳であることも、50代が主戦力である職場が存在することを示しています。年齢で最初から絞らないでください。

NG②:夜勤をやめる判断とパートになる判断を、まとめて1回で決める

前述のとおり、収入が落ちる主因は夜勤・残業と賞与です。正職員のまま夜勤を外す選択肢が職場にあるなら、雇用形態はそのままにできます。2つの判断を分けると、取れる手が増えます。

NG③:退職金と社会保険の扱いを確認しないまま雇用形態を変える

勤続年数、退職金の算定、社会保険の加入要件は、雇用形態と労働時間によって扱いが変わります。加入要件は勤務先の規模や所定労働時間で決まるため、変更前に勤務先の人事と年金事務所の両方に確認してください。後から遡って直すことは基本的にできません。

Q&A

Q. 50代の看護師のパート時給はいくらくらいですか?

A. 厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査」によると、短時間労働者として働く看護師の1時間当たり所定内給与額は平均1,933円です(企業規模10人以上・男女計、平均年齢50.9歳)。短時間労働者全体の平均1,518円より415円高い水準です。ただし地域・施設種別・経験によって幅があります。求人票の時給は、勤務時間と日数を掛けて月収に直してから比べてください。

Q. 60代でも看護師として働けますか?

A. 働けます。60〜64歳の就業看護師は84,049人、65歳以上は59,432人います(厚生労働省「令和6年 衛生行政報告例」2024年末現在)。制度面でも、事業主には65歳までの雇用確保措置が義務づけられ(2025年4月1日以降は定年廃止・65歳までの定年引上げ・希望者全員の継続雇用のいずれか)、70歳までの就業確保措置が努力義務とされています。

Q. パートに切り替えると年収はどれくらいになりますか?

A. 平均的な働き方(1日6.0時間・月13.8日)で計算すると、月の所定内給与額は約160,052円、年間賞与110,700円を加えて年約203万円が目安です。正職員の50〜54歳の平均年収は577.7万円なので、単純比較では大きく下がります。勤務日数を増やせば比例して上がるため、必要な年収から逆算して日数と時間を決めるのが現実的です。

「週◯日・年収◯万円」から逆算して探しましょう

希望の勤務日数と年収を先に伝えると、条件の合う求人だけを集めてもらえます。複数のサービスを比べて選んでください。

まとめ

  • パート看護師の標準像は50代: 短時間労働者として働く看護師の平均年齢は50.9歳、277,530人。50歳以上の就業看護師は436,760人(32.1%)です
  • 時給1,933円、平均的な働き方で年約203万円: 1日6.0時間・月13.8日で計算した目安。時給ではなく掛け算の結果で比べてください
  • 年収のピークは50〜54歳の577.7万円: 60〜64歳で502.9万円へ。減っているのは基本給ではなく、賞与(-32.8万円)と夜勤・残業分です
  • 65歳までは雇用が、70歳までは就業機会が制度で支えられている: ただし保証されているのは雇用の機会であって、待遇の維持ではありません

気持ちの整理や続けるかどうかの判断は50代で看護師を辞めたいと感じたときに、年齢構成から見た転職しやすさは看護師は何歳が多い?、全体の段取りは看護師の転職の流れで解説しています。

参考文献

  1. 厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査」結果の概況(短時間労働者の賃金・主な用語の定義)(2026-09-20 閲覧)
  2. 厚生労働省「令和6年 衛生行政報告例(就業医療関係者)の概況」(2025年7月29日公表)(2026-09-20 閲覧)
  3. 厚生労働省「高年齢者雇用安定法の改正~『継続雇用制度』の対象者を労使協定で限定できる仕組みの廃止~」(経過措置は2025年3月31日終了)(2026-09-20 閲覧)
  4. 厚生労働省「高年齢者雇用安定法の改正~70歳までの就業機会確保~」(2021年4月1日施行・努力義務)(2026-09-20 閲覧)
  5. 厚生労働省「看護を取り巻く現状について」第1回 2040年に向けた看護職員の養成・確保の在り方に関する検討会 資料3(令和8年4月10日)(2026-09-20 閲覧)