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パート看護師の扶養内は週何時間まで?106万円の壁の撤廃と178万円を時給で換算
目次
- 012026年に動いた線と、動かなかった線
- 02時給1,933円なら、週何時間でどの線を超えるか
- 03106万円の壁の撤廃で、看護師のパートは何が変わったか
- 04家族の扶養(130万円)は「これから1年の見込み」で見る
- 05税の線は2026年分から136万円・178万円・207万円に
- 06自分の上限を決める3つの手順
- 1. 勤務先の法人規模と、契約上の週の時間を確かめる
- 2. 年収の見込みを、賞与と手当を入れて計算する
- 3. 超えるなら「どの保険に入るか」で比べる
- 07失敗例・よくあるNG
- NG① 時給が上がったのに、週の時間を据え置く
- NG② 掛け持ちの見込みを、1か所ずつで判断する
- NG③ 夜勤のパートを、回数だけで少ないと考える
- 08Q&A
- Q. 106万円の壁が撤廃されたら、扶養内で働ける時間は増えますか?
- Q. パート看護師が扶養内で働けるのは週何時間までですか?
- Q. 178万円まで働けば扶養内ですか?
- Q. 残業が増えて130万円を超えそうです。すぐに扶養から外れますか?
- Q. あとから、さかのぼって保険料を請求されることはありますか?
- 09まとめ
師長から来月のシフトを増やせるか聞かれて、「106万円の壁がなくなったなら、増やしてもいいの?」と迷っている人へ、先に結論です。扶養内(年収130万円未満)に収まるのは、賞与や手当がなければ、看護師の平均時給1,933円で週12.9時間までです。2026年10月1日に撤廃されたのは、社会保険の「月額8.8万円(年約106万円)」という賃金の線だけです。家族の扶養の年収130万円と、勤務先の社会保険に入る週20時間(被保険者51人以上の法人などの場合)の2本は残ります。1,933円は、短時間で働く看護師の平均時給です(厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査」)。
税の線は2026年分から上がり、本人に所得税がかからない上限は178万円、配偶者控除の上限は136万円になります(12月の年末調整で反映)。前提は、配偶者が会社員や公務員として勤務先の健康保険・厚生年金に入っていることです。制度の内容は2026年9月25日時点の公表資料で確認しています。
2026年に動いた線と、動かなかった線
短時間で働く看護師の平均時給(准看護師は1,624円)。130万円の扶養に収まるのは週12.9時間まで1,933円
厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査」短時間労働者・職種第1表(企業規模10人以上・男女計。週の時間は当サイト算出)(2025年)
「扶養内」の線は制度ごとに別々で、超えたときに起きることも、年収の数え方も違います。
| 線 | 超えると何が起きるか | 年収・時間の数え方 | 2026年の変化 | 時給1,933円での目安 |
|---|---|---|---|---|
| 月8.8万円(旧106万円) | 勤務先の社会保険に加入 | 契約上の月の所定内賃金 | 10月1日に撤廃 | 週10.5時間 |
| 130万円 | 家族の健康保険の扶養と、国民年金の第3号から外れる | これから1年の見込み(賞与・諸手当込み) | 額は据え置き。4月から契約書でも判定 | 週12.9時間 |
| 136万円 | 配偶者が配偶者控除を受けられなくなる | 1〜12月の給与収入 | 2025年分の123万円から引き上げ | 週13.5時間 |
| 178万円 | 本人に所得税がかかり始める | 1〜12月の給与収入 | 2025年分の160万円から引き上げ | 週17.7時間 |
| 週20時間 | 被保険者51人以上の法人など(後述)で、勤務先の社会保険に加入 | 契約上の週の所定労働時間 | 据え置き(法人規模は2027年10月から36人以上) | 年約201万円 |
| 207万円 | 配偶者特別控除がなくなる | 1〜12月の給与収入 | 2025年分の201.6万円から引き上げ | 週20.6時間 |
| 週30時間 | 法人の規模に関係なく勤務先の社会保険に加入 | 通常の職員の4分の3以上(例: 週30時間かつ月15日) | 変化なし | 年約302万円 |
出典: 官報(令和8年9月11日 政令第275号)、日本年金機構、国税庁タックスアンサー No.1191・1195・1199と「源泉所得税の改正のあらまし」、財務省、厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査」。時給1,933円での目安は当サイト算出(年収÷1,933円÷52週)。1,933円は所定内給与額の時給で、通勤手当を含み、夜勤や残業の手当と賞与を含まない
見落としやすいのは、年収の数え方が税と社会保険で違うことです。税は1〜12月に実際に受け取った給与収入で、非課税の通勤手当は入りません。社会保険の130万円は、これから1年の見込み額で、賞与や諸手当も含めて見ます。
時給1,933円なら、週何時間でどの線を超えるか
時給1,933円で働いた場合、各線は週何時間にあたるか
出典: 当サイト算出(線の年収÷1,933円÷52週)。1,933円は厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査」短時間労働者の看護師の1時間当たり所定内給与額(通勤手当を含み、夜勤・残業の手当と賞与を含まない)。線の金額は官報・日本年金機構・国税庁
家族の扶養(130万円未満)に収めるなら、平均的な時給で週12時間台が上限の目安です。そして被保険者51人以上の法人などで働く場合、週13時間から20時間未満は、130万円を超えて家族の扶養から外れるのに、勤務先の保険にも入らない帯になります。この帯では、国民健康保険と国民年金に自分で入ります。
時給が違えば線の位置も動きます。
| 時給 | 130万円に届く週の時間 | 週20時間で働いた年収 |
|---|---|---|
| 1,624円(准看護師の平均) | 15.4時間 | 約169万円 |
| 1,933円(看護師の平均) | 12.9時間 | 約201万円 |
| 2,000円 | 12.5時間 | 208万円 |
| 2,500円 | 10.0時間 | 260万円 |
出典: 平均時給は厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査」短時間労働者・職種第1表。時間と年収は当サイト算出(52週で計算、賞与を含まない)
同じ調査の看護師の平均像は1日6.0時間・月13.8日で、週に直すと約19.1時間です。月の所定内給与は約16.0万円、年間賞与11.07万円を足すと年約203万円になります(当サイト算出)。平均的なパート看護師は、130万円も178万円も超えたうえで、週20時間のすぐ手前で働いていることになります。これは扶養内の人も勤務先の保険に入っている人も含めた平均値で、働き方のばらつきは分かりません。扶養内を目指すなら、平均より短い働き方になると考えてください。
106万円の壁の撤廃で、看護師のパートは何が変わったか
社会保険の賃金要件(月額8.8万円・いわゆる106万円の壁)が撤廃された日。看護師の時給では影響はほとんどなく、実質的な境目は週20時間のまま2026年10月1日
官報 令和8年9月11日 政令第275号/日本年金機構(2026年)
短時間労働者が勤務先の健康保険・厚生年金に入る要件のうち、「所定内賃金が月額8.8万円以上」が2026年10月1日に撤廃されました(官報 令和8年9月11日 政令第275号)。厚生労働省は、令和7年度の地域別最低賃金が全都道府県で時給1,016円を超え、週20時間働けば月8.8万円に届くようになったことを理由に挙げています(最低賃金の減額特例の対象で月8.8万円未満の人は、原則として加入しません)。
看護師の時給では、この撤廃で変わることはほとんどありません。1,933円なら月8.8万円には週10.5時間で届き、週20時間働けば月約16.8万円です。撤廃の前から、看護師にとっての実質的な境目は8.8万円ではなく週20時間でした(当サイト算出)。
撤廃後も残る主な要件は、週の所定労働時間が20時間以上(原則として、実際に働いた時間ではなく契約上の時間)、学生でないこと、そして次のいずれかの職場で働いていることです(日本年金機構)。
- 特定適用事業所: 厚生年金の被保険者が51人以上の法人。数えるのは同じ法人番号の全事業所の合計で、個人の事業所は事業所ごと。短時間労働者は人数に入れません
- 任意特定適用事業所: 51人未満でも、労使の合意にもとづいて事業主が申し出た職場
- 国・地方公共団体に属する事業所: 被保険者の数にかかわらず対象です
法人規模の線は、2027年10月に36人以上、2029年10月に21人以上、2032年10月に11人以上へ下がり、2035年10月には10人以下の職場も対象になります(厚生労働省)。いま36〜50人の法人で週20時間以上働いている人は、2027年10月から加入の対象に入ります。
つまり、あなたの状況では次のように分かれます。勤務先がどれに当たるかは、人事に確認するのが確実です。
- 上の3つのどれかに当たる職場で、契約が週20時間以上: 原則として年収に関係なく勤務先の社会保険に入ります。130万円未満でも同じです
- どれにも当たらない職場で、通常の職員の4分の3未満: 今は勤務先の保険の対象外です。130万円未満なら家族の扶養、130万円以上なら自分で国民健康保険と国民年金に入ります
- どの職場でも、週の所定労働時間と月の所定労働日数が通常の職員の4分の3以上(一般の職員が週40時間・月20日なら、週30時間以上かつ月15日以上): 規模に関係なく加入します(日本年金機構)
「週何時間・扶養内か」を決めてから求人を探す
勤務先の規模と週の時間で、勤務先の社会保険に入るかどうかが決まります。今の職場で続けるか、条件に合う求人を探すか迷っている場合も、先に条件を決めておくと比べやすくなります。
家族の扶養(130万円)は「これから1年の見込み」で見る
家族の健康保険の被扶養者になれる収入の線は、年間収入130万円未満です。60歳以上なら180万円未満。同居している場合は、配偶者の年収の2分の1未満であることも条件です(日本年金機構)。20歳以上60歳未満の配偶者が入る国民年金の第3号被保険者も、同じ130万円・2分の1の線です。
扶養内で働く人がいちばん気にしているのも、この130万円の線です。厚生労働省の2021年の調査では、配偶者がいる女性のパートタイム労働者の21.8%が、過去1年に年収や労働時間を抑える「就業調整」をしていました。調整した理由(複数回答)で最も多いのは「130万円を超えると配偶者の健康保険・厚生年金の被扶養者から外れ、自分で加入しなければならなくなるから」の57.3%で、「所得税の非課税限度額(当時103万円)を超えると税金を払わなければならないから」49.6%、「配偶者控除がなくなり、配偶者特別控除が少なくなるから」36.4%、「配偶者の会社の配偶者手当がもらえなくなるから」15.4%が続きます(「令和3年パートタイム・有期雇用労働者総合実態調査」。医療・福祉を含む産業全体、個人調査の有効回答13,114人)。税の線は2025年分と2026年分に上がりましたが、いちばん多い理由だった130万円の線は、2026年も額が変わっていません。
ここでいう年間収入は過去の実績ではなく、扶養に入る時点からの1年間の見込みです。給与のほか、失業給付・公的年金・傷病手当金・出産手当金も含まれます。
2026年4月1日以降の認定からは、労働条件通知書などの契約内容で見込む年収が130万円未満で、収入が給与だけなら、原則として扶養と認められるようになりました(厚生労働省通知)。押さえておきたい点は4つです。
- 賃金には諸手当と賞与が含まれます。契約に書かれていない残業代は含みません
- 「シフト制による」など労働時間がはっきりしない契約、契約期間が1年未満の契約、通勤手当の額が書かれていない契約では使えません。その場合は従来どおり、給与明細や課税証明で判定します
- 掛け持ちしている場合は、全ての勤務先の見込みを合算します
- 残業で結果的に130万円以上になっても、社会通念上妥当な範囲の臨時収入なら、それを理由に扶養は取り消されないとされています(厚生労働省の事務連絡)
これとは別に、人手不足による一時的な収入増なら、勤務先が「一時的な収入変動」だと証明することで扶養にとどまれる場合があります。厚生労働省のQ&Aは、同僚の休職や退職で業務が増えたケースを例に挙げています。ただし、同じ人が使えるのは原則として連続2回までで、時給や所定の時間・日数が上がった場合は対象外です。
欠員の補充で勤務が増えやすい職場ほど、実際の働き方に合った内容で、契約書に「シフト制による」ではなく「週◯日・1日◯時間」と書いてもらうことが、この新しい判定を使う前提になります。
130万円を超えて扶養から外れ、勤務先の保険にも入らない場合は、自分で国民健康保険と国民年金に入ります。国民年金保険料は2026年度で月17,920円、年に直すと215,040円です。国民健康保険料は市区町村ごとに異なります。
税の線は2026年分から136万円・178万円・207万円に
税の側は、2026年(令和8年)分の所得税から3つの線が上がります。
- 本人の所得税がかからない上限は178万円: 基礎控除104万円と、給与所得控除の最低額74万円の合計です(給与収入だけで、ほかの控除がない場合)。2025年分は160万円でした。178万円は2026・2027年分の額で、2028年分以後は2年ごとに物価に合わせて見直す仕組みです(国税庁)
- 配偶者控除を受けられる上限は136万円: あなたの給与収入が136万円以下なら、配偶者が配偶者控除を受けられます。2025年分は123万円でした。配偶者本人の合計所得が1,000万円を超えると受けられません(国税庁 No.1191)
- 配偶者特別控除は207万円まで: 136万円を超えても、207万円までは配偶者特別控除があります。控除額が最大の38万円になるのは、あなたの給与収入が169万円までで、配偶者の合計所得が900万円以下の場合です(国税庁 No.1195・「源泉所得税の改正のあらまし」)
改正は2026年12月1日に施行されます。11月までの給与から引かれる源泉徴収は従来の計算のままで、12月の年末調整で1年分をまとめて精算し、多く引かれた分が戻ります。ただし、11月までに退職し、年内にほかの勤務先から給与を受けない人は、新しい控除を年末調整で反映できないため、翌年の確定申告で精算します(国税庁「令和8年度税制改正Q&A」Q1-3・Q7-1)。源泉徴収税額が0円なら、申告しても戻る税金はありません。
178万円は所得税だけの線である点にも注意してください。住民税は所得税より低い収入からかかり、かからない基準は世帯の構成や市区町村によって変わります(総務省)。また、配偶者の勤務先の家族手当(配偶者手当)の支給基準は、会社ごとの給与規程で決まっています。扶養を外れると手当が止まるかどうかは、配偶者に規程を確認してもらってください。
自分の上限を決める3つの手順
1. 勤務先の法人規模と、契約上の週の時間を確かめる
- 手順: ①面接や契約更新のときに、勤務先が特定適用事業所・任意特定適用事業所・国や自治体の事業所のどれかに当たるかを聞く → ②労働条件通知書の所定労働時間を週単位に直す → ③どれかに当たって週20時間以上、またはどの職場でも通常の職員の4分の3以上なら加入する前提で、それ以外なら130万円の見込みで計算する
- 聞き方の見本: 「法人全体で社会保険に入っている職員は51人以上いますか。短時間の職員も労使の合意で加入している職場ですか。週18時間の契約だと、社会保険の加入対象になりますか」
加入は契約上の所定労働時間で判定しますが、例外があります。日本年金機構のQ&Aでは、所定が週20時間未満でも、実際の労働時間が連続する2か月で週20時間以上になり、その状態が続く見込みなら、3か月目の初日から被保険者になります。病棟の欠員補充で「今月だけ」と頼まれた勤務が3か月目に入ると、扶養のつもりが勤務先の保険に切り替わることがあります。穴埋めを引き受けるときは、いつまで続くのかを師長に確認してください。2か月を超えそうなら、実際の勤務時間を週20時間未満に戻すか、加入する前提で手取りを計算し直すかを先に決めておくと慌てません。
2. 年収の見込みを、賞与と手当を入れて計算する
- 手順: ①時給×1日の時間×月の日数×12で給与を出す → ②賞与と、毎月の通勤手当を足す → ③税の線(136万円・178万円)は非課税の通勤手当を除いた額で、社会保険の線(130万円)は通勤手当と賞与を含めた額で比べる
- 記入見本(求人票の時給が1,933円で、通勤手当が別に出る場合。1日4時間・月13日。当サイト算出):
| 項目 | 金額 | 社会保険(130万円) | 税(136万円・178万円) |
|---|---|---|---|
| 給与(1,933円×4時間×13日×12) | 1,206,192円 | 入る | 入る |
| 通勤手当(電車・バス、月5,000円×12) | 60,000円 | 入る | 入らない(非課税) |
| 賞与 | 50,000円 | 入る | 入る |
| 合計 | — | 1,316,192円(130万円を超える) | 1,256,192円(136万円以下) |
上の見本では、税の給与収入は125.6万円で、配偶者控除の136万円に収まります。ところが社会保険の見込みは131.6万円で、130万円を超えています。電車・バスなどの通勤手当は所得税では月15万円まで非課税ですが(国税庁 No.2582。マイカー通勤は距離ごとの限度額)、扶養の判定では収入として数えます。日本年金機構も、通勤手当の額が書かれていない契約書では契約内容による判定が使えないと案内しています。源泉徴収票の「支払金額」には非課税の通勤手当が載らないため、それだけを見て「扶養内」と判断すると、社会保険の線を見落とします。夜勤や残業の手当も、契約に書かれていれば見込みに入ります。夜勤手当の水準は看護師の夜勤手当の相場で確認できます。
3. 超えるなら「どの保険に入るか」で比べる
130万円を超えると、入る保険は「勤務先の健康保険・厚生年金」か「自分で入る国民健康保険・国民年金」のどちらかになります。
| 比べる点 | 家族の扶養にとどまる(130万円未満) | 勤務先の健康保険・厚生年金に入る | 自分で国民健康保険・国民年金に入る |
|---|---|---|---|
| 本人の保険料 | なし | 勤務先と本人で半分ずつ(例: 週20時間・時給1,933円なら厚生年金の本人負担は月15,555円) | 全額自分(国民年金は月17,920円) |
| 病気や出産で休んだときの手当 | 傷病手当金・出産手当金は対象外 | 傷病手当金・出産手当金の対象 | 加入する国民健康保険で確認 |
| 将来の年金 | 老齢基礎年金 | 老齢基礎年金に老齢厚生年金が上乗せ | 老齢基礎年金 |
出典: 日本年金機構、協会けんぽ(傷病手当金・出産手当金、令和8年3月分からの保険料額表〈東京支部〉)。厚生年金の本人負担は月約16.8万円が入る標準報酬月額17万円×9.15%
週12時間台で足り、配偶者の家族手当が扶養を条件にしている人は扶養内に、週20時間以上働けて勤務先が加入の対象になる人は勤務先の保険に入る形を、まず比べてください。
- 手順: ①配偶者の勤務先の家族手当の基準を確認する → ②勤務先の保険に入った場合の保険料を、勤務先の人事に試算してもらう → ③「扶養内(週12時間台)」「週20時間以上で加入」「国民健康保険・国民年金に自分で入る」の3案で、手取りと手当を並べる
- 社会保険料が引かれた後の手取りの計算は、看護師の手取りはいくら?で解説しています
130万円を超えても、勤務先の加入の条件に当たらない働き方なら(51人以上の法人などで週20時間未満、それ以外の職場で通常の職員の4分の3未満)、勤務先の保険には入れません。その場合は国民年金だけで年215,040円、さらに国民健康保険料を自分で払います。たとえば年収129万円と135万円を保険料だけで比べると、135万円から国民年金の215,040円を引いた時点で約113.5万円になり、扶養内の129万円を下回ります(国民健康保険料と税は別)。配偶者の家族手当が扶養を条件にしていれば、その分も減ります。シフトの相談をする前に、上の手順③の3案を手取りと家族手当で比べてください。
失敗例・よくあるNG
NG① 時給が上がったのに、週の時間を据え置く
時給1,933円・週12時間なら年約120.6万円ですが、時給が2,100円に上がると年約131.0万円になり、130万円を超えます(52週で計算)。昇給は、勤務先の証明で扶養にとどまれる「一時的な収入増」にも当たりません(厚生労働省Q&A)。時給が変わったら、週の時間を計算し直してください。
NG② 掛け持ちの見込みを、1か所ずつで判断する
扶養の年収は、全ての勤務先の見込みを合算して判定します(厚生労働省の事務連絡)。A病院で月6万円、B施設で月5万円なら、どちらも単独では130万円に届きませんが、合計は年132万円です。反対に、勤務先の社会保険に入る週20時間の判定は勤務先ごとで、時間を合算しません。
NG③ 夜勤のパートを、回数だけで少ないと考える
夜勤専従などのパートは、回数が少なくても1回が長いため、週の所定労働時間が20時間を超えやすくなります。たとえば休憩を除いて14時間の夜勤を週2回なら、週28時間です。勤務先が加入の条件に当たる職場なら、年収に関係なく勤務先の保険に入ります。
Q&A
Q. 106万円の壁が撤廃されたら、扶養内で働ける時間は増えますか?
A. 看護師の平均的な時給では増えません。時給1,933円なら、撤廃された「月額8.8万円」の線には週10.5時間で届くため、撤廃の前から、勤務先の社会保険に入るかどうかの境目は週20時間でした(当サイト算出)。家族の扶養の年収130万円(週12.9時間)と、勤務先の保険に入る週20時間の線は、今回の改正でも変わっていません。
Q. パート看護師が扶養内で働けるのは週何時間までですか?
A. 時給1,933円で、ほかに賞与や手当がない場合、家族の扶養の線(年収130万円未満)は週12.9時間です(当サイト算出)。賞与や通勤手当があれば、その分だけ短くなります。自分の時給なら「130万円÷時給÷52週」で出せます。
Q. 178万円まで働けば扶養内ですか?
A. 違います。178万円は本人に所得税がかからない線(2026・2027年分)です。家族の健康保険の扶養は130万円未満、配偶者控除は136万円以下で、どちらも178万円より手前にあります。
Q. 残業が増えて130万円を超えそうです。すぐに扶養から外れますか?
A. 2026年4月以降に契約内容で扶養の認定を受けていれば、契約に書かれていない残業代は見込みに含みません。社会通念上妥当な範囲の臨時収入なら、結果的に130万円以上になっても取り消されないとされています。人手不足による一時的な増加は、勤務先の証明で扶養にとどまれる場合もあります(原則として連続2回まで)。
Q. あとから、さかのぼって保険料を請求されることはありますか?
A. 2026年4月以降に契約内容で認定された場合、あとで恒常的な残業が分かっても、扶養から外れるのは保険者が確認を行った日以降とされています。ただし、提出した契約書類などに誤りがあった場合は、認定時にさかのぼって取り消されます(厚生労働省の事務連絡)。個別の扱いは、加入している健康保険の保険者に確認してください。
扶養内か、週20時間以上か。条件を決めてから探す
週の時間と日数を先に決めておくと、条件に合う求人だけを比べられます。まだ決めきれない場合も、選択肢を並べておくと判断しやすくなります。
まとめ
- 106万円の壁(月8.8万円)は2026年10月1日に撤廃。看護師の時給では、もともと週20時間が境目でした。被保険者51人以上の法人などで週20時間以上なら、年収に関係なく勤務先の保険に入ります
- 扶養内に収めるなら130万円未満。時給1,933円・賞与なしで週12.9時間が目安で、賞与と通勤手当も入れて計算します
- 税の線は2026年分から136万円・178万円・207万円。精算は12月の年末調整です
- 130万円を少し超えるだけのシフトは、保険料を全額自分で払う帯に入りやすいので、扶養内・勤務先の保険・国民健康保険と国民年金の3案を手取りで比べて決めます
個別の扱いは、加入している(または加入する)健康保険の保険者、年金事務所、税務署で確認してください。
状況別の次の一歩:
- パートの時給相場と年収の計算: 50代看護師のパート転職
- 求人票の基本給・手当・休日の読み方: 看護師の求人票の見方
- 社会保険に入った後の手取り: 看護師の手取りはいくら?
- 掛け持ちで働く: 看護師の副業
- しばらく離れていた職場に戻る: 看護師のブランク復職
参考文献
- 官報 令和8年9月11日(号外第203号)政令第275号「社会経済の変化を踏まえた年金制度の機能強化のための国民年金法等の一部を改正する等の法律の一部の施行期日を定める政令」(2026-09-25 閲覧)
- 日本年金機構「短時間労働者に対する健康保険・厚生年金保険の適用拡大」(2026年9月16日更新)(2026-09-25 閲覧)
- 日本年金機構「短時間労働者に対する健康保険・厚生年金保険の適用の拡大」(特定適用事業所・任意特定適用事業所・国等の事業所)(2026-09-25 閲覧)
- 厚生労働省「短時間労働者の社会保険(健康保険・厚生年金保険)の加入拡大のポイント」(令和8年1月)(2026-09-25 閲覧)
- 日本年金機構「短時間労働者に対する健康保険・厚生年金保険の適用拡大 Q&A集(令和6年10月施行分)」問34・問50(2026-09-25 閲覧)
- 日本年金機構 よくある質問「私は、パートタイマーとして勤務しています。社会保険に加入する義務はありますか。」(4分の3基準)(2026-09-25 閲覧)
- 日本年金機構「従業員(健康保険・厚生年金保険の被保険者)が家族を被扶養者にするとき、被扶養者に異動があったときの手続き」(2026-09-25 閲覧)
- 日本年金機構 用語集「第3号被保険者」(2026-09-25 閲覧)
- 日本年金機構「労働契約内容による年間収入での被扶養者の認定の取り扱いについて」(2026年5月)(2026-09-25 閲覧)
- 厚生労働省 事務連絡「労働契約内容による年間収入が基準額未満である場合の被扶養者の認定における年間収入の取扱いに係るQ&A(第2版)」(令和8年3月9日)(2026-09-25 閲覧)
- 厚生労働省「事業主の証明による被扶養者認定Q&A」(2026-09-25 閲覧)
- 日本年金機構「国民年金保険料」(令和8年度)(2026-09-25 閲覧)
- 日本年金機構「厚生年金保険の保険料」(2026-09-25 閲覧)
- 全国健康保険協会「令和8年3月分(4月納付分)からの健康保険・厚生年金保険の保険料額表(東京支部)」(2026-09-25 閲覧)
- 全国健康保険協会(協会けんぽ)「病気やケガで会社を休んだとき(傷病手当金)」(2026-09-25 閲覧)
- 全国健康保険協会(協会けんぽ)「出産手当金」(2026-09-25 閲覧)
- 国税庁 タックスアンサー No.1199 基礎控除(令和8年4月1日現在法令等)(2026-09-25 閲覧)
- 国税庁 タックスアンサー No.1410 給与所得控除(令和8年4月1日現在法令等)(2026-09-25 閲覧)
- 国税庁 タックスアンサー No.1191 配偶者控除(令和8年4月1日現在法令等)(2026-09-25 閲覧)
- 国税庁 タックスアンサー No.1195 配偶者特別控除(令和8年4月1日現在法令等)(2026-09-25 閲覧)
- 国税庁 タックスアンサー No.2582 電車・バスなどの通勤手当の非課税限度額(令和8年4月1日現在法令等)(2026-09-25 閲覧)
- 国税庁「令和8年4月 源泉所得税の改正のあらまし」(2026-09-25 閲覧)
- 国税庁「令和8年度税制改正(所得税の基礎控除の引上げ等関係)Q&A」(令和8年5月)(2026-09-25 閲覧)
- 財務省「特集 令和8年度税制改正(国税)等について」(広報誌ファイナンス 令和8年4月号)(2026-09-25 閲覧)
- 財務省「令和7年度税制改正」パンフレット 1 個人所得課税(課税最低限160万円)(2026-09-25 閲覧)
- 総務省 自治税務局市町村税課「個人住民税の基礎控除等について」(令和8年5月29日)(2026-09-25 閲覧)
- 厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査」短時間労働者 職種第1表(e-Stat)(2026-09-25 閲覧)
- 厚生労働省「賃金構造基本統計調査で使用されている主な用語の説明」(所定内給与額に通勤手当を含む)(2026-09-25 閲覧)
- 厚生労働省「令和3年パートタイム・有期雇用労働者総合実態調査の概況」(表20・表21)(2026-09-26 閲覧)