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ノウハウ

ナースセンターの届出(とどけるん)とは|努力義務・業務従事者届との違い・手順

ナースひとやすみ 編集部約13分で読めます
目次

ナースセンターへの届出は、看護職が離職したときなどに住所・氏名・免許の登録番号などを届け出る制度で、努力義務です。届け出なくても罰則の規定はありません(看護師等の人材確保の促進に関する法律 第16条の3)。2015年10月に始まり、方法は届出サイト「とどけるん」、窓口への届出票、退職する病院による代行(本人の同意が前提)の3つです。

働いている看護職が2年ごとに出す業務従事者届は、別の制度です。こちらは保健師助産師看護師法で義務とされ、違反には罰金の規定があります。

退職の手続きで届出票を渡され、出さないと困るのか、個人情報を預けて大丈夫か、求人の連絡が来続けないかで迷う方へ。ブランク中で届けるか迷っている方にも、対象・状況別の届け方・手順・実績を、2026年10月時点の公式資料で整理します。

届出は努力義務|業務従事者届とは別の制度

項目ナースセンターへの届出(とどけるん)業務従事者届
根拠看護師等の人材確保の促進に関する法律 第16条の3保健師助産師看護師法 第33条
対象離職した人、看護の仕事に就かなくなった人、免許を取ってすぐには就業しない人業務に従事している保健師・助産師・看護師・准看護師
時期離職したときなど(決まった期限は無い)。届け出た内容が変わったときも2年ごと(偶数年)の12月31日現在の状況を、翌年1月15日まで
届出先現住所の都道府県ナースセンター(「とどけるん」は中央ナースセンター経由)就業地の都道府県知事
義務の強さ努力義務。罰則の規定なし義務。違反は50万円以下の罰金(第45条)

出典: 看護師等の人材確保の促進に関する法律 第16条の3、保健師助産師看護師法 第33条・第45条、同法施行規則 第33条(2年ごとの年は昭和57年を初年とする各年)、厚生労働省「看護師等免許保持者の届出制度」

  • 働いている人の届出は、業務従事者届です。 届出の義務は本人にあります。2026年分は、2026年12月31日現在の状況を2027年1月15日までに届け出ます。職場でとりまとめて出す場合も、自分の分が出ているかは確認してください
  • 辞めた人や働いていない人を把握するのが、ナースセンターへの届出です。 業務従事者届だけでは就業していない人を把握できなかったため、つくられた制度です(厚生労働省)

届出の対象と、届け出る項目

対象になる人

看護師等の人材確保の促進に関する法律施行規則 第3条が定める対象は、次の3つです。

  1. 病院、診療所、助産所、介護老人保健施設、訪問看護事業所などの病院等を離職した場合
  2. 保健師・助産師・看護師・准看護師の業に従事しなくなった場合(1を除く)
  3. 免許を受けたあと、すぐに業に従事する見込みがない場合

日本看護協会は、2015年10月1日の時点ですでに仕事をしていなかった人や、進学・留学で免許取得後に就業しない人も対象としています。

状況別の届け方

状況ごとの届出の要否と、必須項目「就業に関する状況」の選び方です。

あなたの状況届出「就業に関する状況」の選び方ポイント
退職する。次の職場は決まっている対象就業中・就業予定(看護師等)離職する時点で対象で、再就職先が決まっていても外れない
退職する。次はこれから探す対象就業していないが求職中職業紹介を使うかは、ステップ3で選ぶ
退職して、しばらく働く予定がない対象就業していない職業紹介は任意なので、選ばなくてよい
看護以外の仕事に就いている対象就業中・就業予定(看護師等以外)看護職として働いていないため
辞めて何年も経ち、まだ届けていない対象(今、看護の仕事をしていなければ)今の状況(就業していない、求職中など)辞めた年数ではなく、今の状況で決まる
進学する対象学生免許を取ってもすぐには就業しない見込みのため

出典: 厚生労働省「看護師等免許保持者の届出制度」FAQ

法律上は努力義務ですが、厚生労働省は対象の人に届出を呼びかけています。届け出ると、状況に応じた情報の受け取りや復職研修、職業紹介などの支援を受けられます。働いていて辞める予定がない人は、ナースセンターへの届出は対象外です(任意で届け出ることは可能で、業務従事者届は別に義務です)。

届け出る項目

区分項目
法律で定められた項目(施行規則 第4条)氏名・生年月日・住所/電話番号・メールアドレスなどの連絡先/保健師籍・助産師籍・看護師籍・准看護師籍の登録番号と登録年月日/就業に関する状況
ナースセンターが設けている任意の項目職歴/離職年月/復職の意向/ナースセンターの無料職業紹介への登録希望

出典: 看護師等の人材確保の促進に関する法律施行規則 第4条、日本看護協会「離職時等の届出制度」

任意の項目は、書かなくても届出は成り立ちます。特に無料職業紹介への登録希望は、届出とは別の選択です。

届け出る手順

ステップ1: 必要な情報をそろえる

届出サイト「とどけるん」で届け出る前に、次をそろえておくと迷いません。

  • 免許証(籍の登録番号と登録年月日を確認するため)
  • 連絡を受け取りたい電話番号・メールアドレス
  • 今の就業の状況(「状況別の届け方」の表で選ぶ項目を決めておく)
⚠️ つまずきやすい落とし穴

免許の「籍の登録番号」と「登録年月日」は、国家試験の合格番号や受験番号とは別のものです。免許証に書かれている登録番号と登録年月日を写してください。結婚などで氏名が変わったときは、30日以内に籍の訂正を申請する決まりです(保健師助産師看護師法施行令 第3条。保健師・助産師・看護師は厚生労働大臣、准看護師は免許を与えた都道府県知事に申請します)。まだ済んでいなければ、手続きを進めてください。氏名の入力に迷うときは、届け出る前に都道府県ナースセンターへ確認してください。

ステップ2: 本人が届けるか、勤務先の代行にするかを選ぶ

届け出る方法は3つです。

  • 本人が「とどけるん」で届け出る: パソコンやスマートフォンからIDを取得して入力します。情報は現住所の都道府県ナースセンターに送られます
  • 本人がナースセンターの窓口に届出票を出す: インターネットを使えない人向けです。東京都ナースプラザの案内では持参か郵送で、届け先は住所地のナースセンターです
  • 退職する勤務先が代行する: 病院などが本人の同意を得て、本人に代わって届け出ます
⚠️ つまずきやすい落とし穴

代行は本人の同意が前提です。同意するかどうかは自分で決められ、同意せずに自分で届け出ることもできます。勤務先が「とどけるん」へ登録した時点で届出は完了し、その後の連絡は勤務先ではなく自分の連絡先に届きます。必須項目の「就業に関する状況」は、勤務先から離職後の予定を聞かれるので、答えを決めておいてください。代行でも書面でも、情報は現住所の都道府県ナースセンターに送られます。退職前に、いつ届け出るのか、済んだら教えてもらえるのかを勤務先に確かめておくと安心です。

ステップ3: 任意の項目と、職業紹介への登録を選ぶ

復職の意向や、無料職業紹介への登録希望は任意です。「希望する」を選ぶと、届け出た情報が自動的に無料職業紹介サイト「eナースセンター」にも登録され、「とどけるん」と同じIDで求職機能を使えます。

⚠️ つまずきやすい落とし穴

「希望する」を選ぶと、届出の情報がそのままeナースセンターに登録されます。すぐに働く予定がないなら、選ぶ必要はありません。希望しなくても、ナースセンターからの情報は、状況に応じて届くことがあります。届け出た人の62%は職業紹介を希望していませんが、代行届出を含む全届出者の集計で、本人が選んだ割合とは限りません。求人の連絡が心配なときは、「希望しない」を選んだうえで、届け出る前に都道府県ナースセンターへ問い合わせてください。

ステップ4: 住所や連絡先が変わったら届け出る

届け出た内容が変わったときも、変更を届け出る努力義務があります(第16条の3第2項)。届出の際に取得したIDで「とどけるん」にログインし、マイページの内容を変更します。結婚で名字が変わったときや、再就業して就業状況が変わったときも同じです。すぐ引っ越す予定のときは、今の住所地のナースセンターに届け出て、転居後に変更を入力します。

⚠️ つまずきやすい落とし穴

ナースセンターからの連絡は、届け出た連絡先に届きます。引っ越しやメールアドレスの変更をそのままにすると、復職研修などの案内が届きません。代行で届けた場合も、変更は代行ではできず、自分で「とどけるん」にログインして入力します。インターネットを使えず変更が難しいときは、届け出た都道府県ナースセンターに連絡できます。IDは、届け出た直後にメモして保管してください。転居や機種変更の手続きをするときに、ナースセンターの届出も変更する項目のリストに入れておくと、変更し忘れません。

届け出たあと、ナースセンターをどう使うか

都道府県ナースセンターは、都道府県看護協会が運営していて、日本看護協会の2025年11月のリリースによると全国に89か所(うちサテライト・支所42か所)あります。法律が定める業務は、無料の職業紹介のほか、研修、情報提供・相談、就業の促進などです(第15条)。

求職したいときは、ステップ3で職業紹介を「希望する」にしていれば、eナースセンターで求職を進められます。相談員に相談したいときは、届け出た都道府県ナースセンターに電話するか、窓口で伝えます。復職の支援は「就業に関する状況」に応じて行われるので、まだ働く予定がなければ、届出だけで足ります。

職業紹介の実績は、日本看護協会の2024年度の分析で次のとおりです。

  • 求職者68,724人に対し、求人172,522人。求人倍率は2.51倍で、施設別では訪問看護ステーションが4.54倍ともっとも高い
  • 応募した18,514人のうち、就職したのは9,100人(応募就職率49.2%)。求職者全体に対する就職者の割合は13.2%

応募すれば約半数は就職に結びついている一方、求職者のうち実際に応募まで進む人は3割に届きません。ナースセンターとハローワーク、直接応募の使い分けは、看護師が転職サイトを使わない転職で整理しています。ブランクから戻るときの順番は、看護師のブランク復職を参考にしてください。

届出の実績|累計22.4万人、2021年度以降は減少

中央ナースセンターの事業報告書によると、2015年10月から2025年3月までに「とどけるん」へ届け出た人は累計224,129人です。

2024年度に「とどけるん」へ届け出た人(概算値)。ピークの2016年度(26,946人)の約65%まで減少17,503人

日本看護協会 中央ナースセンター「2024(令和6)年度 中央ナースセンター事業報告書」(2024年)

2021年度の25,603人から2024年度の17,503人へ減っていますが、資料には理由の説明がありません。年間の離職者数も資料にないため、届出が離職者のどれだけをカバーしているかは、この数字からは言えません。

届け出た人(n=224,129)の内訳です。

項目内訳
届出の手段パソコン100,794人(45%)、スマートフォン59,581人(27%)、勤務先による代行届出63,754人(28%)
届出時の就業状況(上位3区分)就業中・就業予定(看護師等)82,731人(約37%)、就業していないが求職中57,121人、就業していない51,321人。残り32,956人は看護師等以外・学生・その他・未選択
復職の意向すぐに13%、いずれ22%、未定7%、ない3%、未選択55%
無料職業紹介(eナースセンター)への登録希望する37%、希望しない62%、詳しい説明を聞きたい1%

出典: 日本看護協会 中央ナースセンター「2024(令和6)年度 中央ナースセンター事業報告書」

読み取れることは2つです。

  • 累計の約28%は、勤務先の代行で届け出ています。 退職のときに病院から同意を求められるのは、この代行届出です
  • 復職の意向を選んだ人の約8割は、戻る意向です。 意向を選んだのは約45%で、うち「すぐに」「いずれ」が35ポイントです。未選択の55%は任意項目の未回答で、代行届出も含むため、意向の有無は読めません

失敗例・よくあるNG

  • NG①: 「辞めて何年も経つから、今さら届けられない」と思う → 今、看護の仕事をしていなければ対象。厚生労働省のFAQは、辞めて十数年たった人も対象としている
  • NG②: 再就職したあと、届出の内容をそのままにする → 復職の支援は「就業に関する状況」に応じて行われる。再就業したら変更する

よくある質問

Q. ナースセンターへの届出をしないと、罰則はありますか?

A. 罰則の規定はありません。努力義務です(看護師等の人材確保の促進に関する法律 第16条の3)。届け出ると、状況に応じた情報の受け取りや復職研修、職業紹介などの支援を受けられます。

Q. 業務従事者届とナースセンターへの届出は、どう違いますか?

A. 別の制度です。働いている看護職は2年ごとに業務従事者届(義務)を、離職したときなどはナースセンターへの届出(努力義務)を出します。

Q. 届出に期限はありますか?

A. 決まった期限はありません。離職したときなどに届け出ます。届け出た内容が変わったときも、変更を届け出る努力義務があります(第16条の3第2項)。

Q. 病院から代行届出の同意を求められました。断ってもいいですか?

A. 断れます。代行は、本人に制度を説明して同意を得たうえで行う仕組みなので、同意は本人が決められます。同意せずに自分で届け出ることもできます。代行を頼んだ場合は、届出が済んだかを退職前に勤務先へ確かめてください。

Q. 転職先がすでに決まっていても、届け出る必要はありますか?

A. 届出の対象になります。ただし法律上は努力義務で、罰則の規定はありません。厚生労働省は、次の就職先が決まっている場合も対象になると説明しています。その場合は「就業に関する状況」を「就業中・就業予定(看護師等)」にして届け出ます。法律上は努力義務で、届け出なくても罰則の規定はありません。

Q. 届け出た情報は、何に使われますか?

A. 厚生労働省は、届け出た情報は復職支援のみに使われ、ナースセンターの外部へ提供されることはないと説明しています。ナースセンターの役職員には、業務で知り得た秘密を正当な理由なく漏らしてはならない義務もあります(看護師等の人材確保の促進に関する法律 第16条の4)。

Q. 再就職したあとも、届出の情報は残りますか?

A. 厚生労働省のFAQは、再就業した場合に削除ではなく、「就業に関する状況」の変更を案内しています。「就業中・就業予定」に変えておけば、復職の支援は行われません。連絡の扱いを変えたいときは、届け出た都道府県ナースセンターに相談してください。

届け出たあとに復職や転職先を探すなら、ナースセンター以外の経路も一度見ておく手があります。

ナースセンターと並べて、求人を比べておく

ナースセンターは看護職に特化した無料の窓口ですが、求人の出方は経路によって違います。復職や転職を考えているなら、ほかの経路の求人も並べて見ると、比べる材料が増えます。

まとめ

  • 努力義務で、罰則はない: 離職したとき・看護の仕事に就かなくなったとき・免許を取ってすぐ就業しないときに、現住所の都道府県ナースセンターへ届け出る。次の職場が決まっていても対象
  • 業務従事者届とは別: 働いている人の2年ごとの届出は義務で、2026年分は2026年12月31日現在の状況を2027年1月15日まで
  • 届け出る項目は4つ: 氏名・生年月日・住所、連絡先、籍の登録番号と登録年月日、就業の状況。職業紹介への登録は任意
  • 方法は3つ: 「とどけるん」、窓口の届出票、勤務先の代行。代行は本人の同意が前提で、済んだかは勤務先に確かめる
  • 実績: 累計224,129人。そのうち約28%が代行届出。2024年度は17,503人

状況に合わせて、次の記事も参考にしてください。