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転職ガイド

訪問看護に未経験から転職するには|何年目から・給料・オンコールの実際

ナースの休憩室 編集部10分で読めます
目次

訪問看護ステーションは5年で12,393か所から18,042か所へ、約1.5倍に増えました(厚生労働省「令和6(2024)年 介護サービス施設・事業所調査の概況」)。未経験の受け皿が広がった一方、法令が定める人員基準は看護職員が常勤換算で2.5人以上。つまり応募先の多くは十数人規模の小さな組織で、教育体制は事業所ごとにばらつきます。この記事では、何年目から行けるのか、オンコール手当はいくらか、最初の3か月で何を埋めるのかを、一次資料と面接の質問文で整理します。


求人が増えているのは事実——5年で約1.5倍

厚生労働省「令和6(2024)年 介護サービス施設・事業所調査の概況」によると、2024年10月1日時点の訪問看護ステーションは18,042事業所。前年から1,619事業所、9.9%の増加です。

同じ訪問系のサービスで比べると、訪問介護は1.0%増、訪問入浴介護は1.4%減。2桁で伸びているのは訪問看護だけです。

この数字が未経験者にとって意味するのは、選考の間口が広がっているということです。母数が毎年2桁ペースで増えれば、「臨床経験◯年以上」と書けるほど応募者を選べない事業所も出てきます。一方で、増えた分だけ体制が整っていない事業所も混ざる、という副作用もセットです。

応募先の多くは「十数人の会社」——法令が決めている職場の規模

訪問看護ステーションの人員基準は法令で決まっています。「指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準」(平成11年厚生省令第37号)第60条は、指定訪問看護ステーションに置くべき看護職員(保健師・看護師・准看護師)を常勤換算方法で2.5以上と定め、理学療法士・作業療法士・言語聴覚士は「実情に応じた適当数」としています。管理者は原則として専任・常勤で、保健師または看護師であることが第61条で求められます。

常勤換算2.5人。これが、ひとつの事業所を開くために法令が求める最低ラインです。実際の平均はもう少し大きく、同調査の従事者数200,229人を18,042事業所で単純に割ると1事業所あたり約11人になります(従事者数の集計からは介護予防のみを行う事業所などが除かれるため、実際はこれよりやや多い可能性があります)。

見落とされがちなのは、リハビリ専門職が4人に1人近くを占めることです。理学療法士・作業療法士・言語聴覚士を合わせると44,501人(22.2%)。訪問看護ステーションは「看護師だけの職場」ではなく、リハ職と同じ事業所で利用者を分担する職場です。カンファレンスの相手も、記録を読む相手も看護師とは限りません。

開設主体にも偏りがあります。同調査の表5では、訪問看護ステーションの66.8%が営利法人(会社)、医療法人は18.2%にとどまります。病院に併設された訪問看護部門をイメージして応募すると、実際には親会社が医療法人ではない独立系だった、ということが普通に起こります。これは良し悪しの話ではなく、教育予算・back upの体制・給与テーブルの決まり方が法人ごとに違うという意味です。

小規模事業所の教育体制は、求人票からは読めません

同行訪問の回数、夜間の相談先、リハ職との分担——中身は事業所ごとにまったく違います。内部を知る担当者に同じ質問を投げて、回答の具体性で選んでください。

「何年目から」に、制度上の答えはない

「訪問看護は3年目から」「5年は病棟を経験してから」とよく言われますが、前出の第60条にも第61条にも、スタッフの臨床経験年数を定めた規定はありません。管理者に「保健師または看護師であること」と「必要な知識及び技能を有する者であること」が求められるだけです。

つまり「何年目から」は法令ではなく、事業所が自分の体制に合わせて決めている条件です。したがって、問うべきは「私は何年目だから足りているか」ではなく、「この事業所は何年目の人をどう支える設計になっているか」になります。面接ではこう聞けます。

  • 見本: 「入職から単独訪問までの期間と、同行訪問は何件くらい組んでいただけますか」
  • 見本: 「訪問先で判断に迷ったとき、日中と夜間それぞれ誰に、どの手段で連絡することになりますか」
  • 見本: 「直近1年で、病棟からの転職者は何人入職して、何人続いていますか」

3問目に具体的な数字が返ってこない事業所は、未経験者を受け入れた実績そのものが薄い可能性があります。

オンコール手当は「3種類」ある——合算して初めて年収がわかる

訪問看護の収入を求人票の月給だけで判断できないのは、オンコールの扱いが事業所ごとに違うからです。日本看護協会「2024年度 看護職員の賃金に関する実態調査」(訪問看護ステーションの施設調査、有効回答1,377事業所)は、オンコール手当を3つに分けて集計しています。

手当の種類手当がある事業所の平均額「0円」と回答した事業所
待機のみ(1晩あたり)2,353円3.2%
電話対応があった場合(1回あたり)2,287円29.3%
緊急訪問をした場合(1回あたり)3,527円16.6%

出典: 日本看護協会「2024年度 看護職員の賃金に関する実態調査」図表30(2025年1月支給分、有効回答1,377事業所)

オンコールの電話対応をしても、1回あたりの手当が「0円」と回答した訪問看護ステーションの割合29.3%

日本看護協会「2024年度 看護職員の賃金に関する実態調査」図表30(有効回答1,377事業所)(2024年)

読み取ってほしいのは平均額より「0円」の列です。待機そのものに手当を出さない事業所は3.2%と少数ですが、電話で対応しても追加の手当が出ない事業所は29.3%——約3割にのぼります。「オンコール手当あり」という求人票の一文は、待機手当だけを指している可能性がある、ということです。

確認のしかたは単純です。「待機」「電話対応」「緊急訪問」の3つそれぞれについて、いくら出るかを分けて聞く。そのうえで月の当番回数を掛ければ、年収の見込みが出ます。なお訪問看護と病院の給与総額の差がどこから生まれるかは、訪問看護を辞めたいと感じたらで基本給と手当に分解して検証しています。

未経験が最初の3か月で埋める3つのギャップ

1. 「その場で完結する」判断の手順を決めておく

病棟では、迷えば隣にいる先輩に聞けます。訪問先では、判断してから相談することになります。

  • 手順: ①訪問前に「今日、報告が必要になりうる変化」を1つ決めておく → ②現場では観察と記録を優先し、判断は暫定でよいと割り切る → ③帰路または訪問直後に、決めておいた1点を必ず連絡する
⚠️ つまずきやすい落とし穴

未経験者ほど「こんなことで連絡していいのか」と迷い、報告のタイミングを逃します。そして事業所側は「連絡がないから問題なし」と受け取るため、次の訪問まで誰も気づきません。防ぎ方は、判断の是非を相談するのをやめて、事実を定時に共有する運用に変えることです。訪問直後に3行だけ送る、と決めてしまえば「連絡すべきか」を考える時間そのものが消えます。入職時に「報告は何を・いつ・どの手段で出すのが標準ですか」と聞き、その型に自分を合わせてください。

2. 利用者の生活に合わせて、手技の前提を組み替える

在宅には滅菌された処置台も、すぐ出てくる物品もありません。同じケアでも、家にあるもので成立させる設計が必要になります。

  • 見本: 初回訪問で「処置に使うスペース」「手洗いの場所」「ごみの分別ルール」「同居家族の在宅時間」の4点を確認し、次回からの動線を決めておく
⚠️ つまずきやすい落とし穴

病棟の手順を持ち込んで、家庭にない物品を家族に買わせてしまう失敗がよく起きます。本人が困っていなくても、費用と手間は確実に家族へ移り、それが数か月後の「もう来なくていい」につながります。在宅では、ケアの正しさと生活の継続性を同時に成り立たせる必要がある、ということです。判断に迷ったら「この方法を家族が半年続けられるか」を基準にしてください。続けられない方法は、どれだけ教科書的に正しくても在宅では機能しません。

3. リハ職・ケアマネとの分担を、最初に言葉にする

従事者の22.2%がリハビリ専門職という構成は、同じ利用者を複数の職種で分担することを意味します。

  • 見本: 担当替えの初回に「私が見る範囲は◯◯まで、それ以外で気づいたことは記録に残します」とチーム内で宣言しておく
⚠️ つまずきやすい落とし穴

「看護師なのだから全部把握しておくべき」と抱え込むと、リハ職が見ている領域まで確認しようとして訪問時間が延び、件数をこなせなくなります。一方で分担を曖昧にしたまま放置すると、誰も見ていない領域が生まれます。必要なのは、範囲を狭めることではなく境界を口に出して共有することです。ケアマネジャーへの報告経路も同じで、「誰が、いつ、何を伝えるか」が決まっていない事業所では、報告の重複と漏れが同時に起きます。入職直後に一度確認しておくだけで、その後の消耗が大きく変わります。

訪問看護と相性がよい人・しんどくなりやすい人

逆に「判断は必ず誰かに確認してから動きたい」「物品や環境が揃っていないと不安が強い」という自覚がある人は、いきなりオンコール当番のある小規模事業所に入るより、日中のみの求人や、同行訪問を長めに組める規模の事業所から入るほうが続きやすい傾向があります。向き不向きは技術の問題ではなく、決めてから相談する順番に慣れられるかの問題です。

訪問看護への転職でよくある失敗例

  • 失敗例1: 「オンコールあり・手当支給」の一文で納得した → 待機・電話対応・緊急訪問の3つを分けて確認しないと、実質的な時給が大きく変わります。
  • 失敗例2: 「未経験歓迎」を教育体制があることと同じだと考えた → 法令は経験年数を定めていないため、「未経験歓迎」は受け入れ方針の表明にすぎません。同行訪問の件数と単独訪問までの期間を数字で聞いてください。
  • 失敗例3: 病院併設をイメージして独立系の事業所に入った → 66.8%は営利法人が開設しています。back upの医師が院内にいる前提は、多くの事業所で成り立ちません。
  • 失敗例4: 夜勤がなくなる分の収入減を見積もらなかった → 夜勤手当が消えたうえでオンコール手当がいくら足されるのかを、月額で試算してから決めてください。

よくある疑問 Q&A

Q. 訪問看護は何年目から転職できますか?

A. 法令上の下限はありません。「指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準」は看護職員の員数(常勤換算2.5以上)を定めていますが、経験年数の規定はありません。実際の受け入れ可否は事業所ごとの判断なので、同行訪問の件数と単独訪問までの期間を確認するのが実質的な判断材料になります。

Q. 未経験でも本当に採用されますか?

A. 採用は行われています。事業所数が2020年の12,393から2024年の18,042へ増えており、経験者だけでは埋まらない状況が背景にあります。ただし受け入れ体制は事業所差が大きいため、「直近1年の未経験入職者数と定着人数」を聞くのが確実です。

Q. オンコールは必ずありますか?

A. 全ての事業所にあるわけではありません。日勤のみ・オンコールなしの求人も存在します。ただし24時間対応を掲げる事業所では当番が回るのが一般的です。夜勤のない働き方全般については看護師が夜勤なしで転職する方法もあわせてご覧ください。

Q. 訪問看護の給料は病院より低いのですか?

A. 日本看護協会「2024年度 看護職員の賃金に関する実態調査」では、税込給与総額は病院409,436円に対し訪問看護ステーション383,262円でした。ただしこの差の大部分は基本給ではなく手当(夜勤・当直手当を含む)から生まれています。内訳の検証は訪問看護を辞めたいと感じたらにまとめています。

Q. 訪問看護の経験は、あとで他の職場に活きますか?

A. 生活全体を見る視点と単独での判断経験は、介護保険施設や地域包括ケアの現場で直接評価されます。施設看護の働き方は介護施設の看護師が辞めたいと感じたときで扱っています。

訪問看護は、事業所ごとの差がいちばん大きい領域です

同行訪問の回数、オンコールの当番頻度と手当の内訳、リハ職との分担。聞くべき項目が多いぶん、内部情報を持つ担当者がいると判断が早くなります。相談は無料です。

まとめ

  • 訪問看護ステーションは5年で12,393か所から18,042か所へ約1.5倍。間口は広がっているが、体制の整っていない事業所も同時に増えている
  • 法令が定めるのは看護職員の常勤換算2.5人以上と管理者の資格だけ。「何年目から」は事業所が決めている条件なので、経験年数ではなく支援体制を確認する
  • オンコール手当は「待機」「電話対応」「緊急訪問」の3種類。電話対応に手当が出ない事業所は29.3%ある

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