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お悩み相談

病院が閉院・倒産するとき看護師が確かめること|解雇予告・未払賃金の立替払・失業保険

ナースひとやすみ 編集部約18分で読めます
目次

「◯月末で閉院します」。朝礼や説明会でそう告げられると、まず浮かぶのは「給料はちゃんと出るのか」「次の職場は間に合うのか」ではないでしょうか。患者さんの転院調整に追われながら、自分のことは後回しになりがちな時期です。

先に結論です。病院が閉院・倒産するとき、看護師が押さえておく制度は、解雇予告・未払賃金の立替払・失業保険です。 どれを使えるかは、「閉院の形」と「病院に賃金を払う力があるか」で変わります。最初に確かめるのは次の3つです。

  • 閉院の形: 経営者が自ら病院を閉じるのか、別の法人に引き継ぐのか、破産などの倒産なのか
  • 辞め方: 病院からの解雇か、退職を勧められての退職か。予告は30日前にあったか
  • お金: 最後の給料と退職金が払われる見込みがあるか

給料や退職金が払われないまま病院が閉じた場合は、国が未払賃金の8割を立て替える制度があります。使えるのは、法律上の倒産か、労働基準監督署長が認定した「事実上の倒産」(中小企業のみ)の場合です。この記事では、閉院の形ごとに何が起きるか、何をいつまでにするかを、法令と公的機関の資料で整理します。個別のケースで解雇が有効か、いくら請求できるかは、この記事では判断できません。最後に相談先を載せています。

告知を受けた今週にやることは、後半の「閉院を告げられてから、最終日までにすること」にまとめています。この整理は2026年10月時点の法令にもとづき、民間の病院に雇われている人を前提にしています。国や自治体が直接運営する病院で働く公務員の人は、扱いが異なる部分があります。

病院が閉じるのは、珍しいことではない

1年間に廃止された病院の届出件数(2024年10月〜2025年9月、移転に伴う廃止を含む)。開設の52施設を上回り、病院の数は減り続けている。閉院は自分の病院だけに起きたことではない101施設

厚生労働省「令和7年医療施設(動態)調査」(2025年)

厚生労働省「医療施設(動態)調査」によると、2025年10月1日時点の病院は8,001施設で、1年前より59施設減りました。2024年10月からの1年間に、新たに開設した病院は52施設、廃止した病院は101施設です(ほかに再開が3施設、休止が13施設)。その後も減少は続き、2026年7月末の概数では7,942施設になっています。

ここでの「廃止」は医療機関が出した届出の件数で、施設の移転に伴う旧施設の廃止も含みます。閉院や倒産の件数ではありません。ただ、1年で59施設の純減ということは、病院が閉じるのは「自分の病院だけに起きたこと」ではない、と読めます。

倒産によって給料が払われなかった人の実績は、国の未払賃金立替払事業で見られます。

年度立替払をした企業支給を受けた人立替払額
2022年度1,285件14,203人48億56百万円
2023年度2,132件24,300人86億21百万円
2024年度2,623件30,591人110億46百万円
2025年度(全業種)2,223件28,987人118億85百万円
2025年度のうち保健衛生業181件3,466人15億9百万円

出典: 厚生労働省「令和7年度の未払賃金立替払事業の実施状況」(表1・表4・表5)、労働者健康安全機構「未払賃金立替払事業の実施状況について」

2022年度から2025年度で、支給を受けた人は約2倍、立替払額は約2.4倍です。2025年度は件数・人数が前年度より減りましたが、金額は約8%増え、1人あたりは約36.1万円(2024年度、当サイト算出)から約41.0万円になりました。倒産で払われなくなる賃金と退職金は、数十万円の単位になりうる、という目安です。

業種別では、病院・診療所を含む「保健衛生業」が2025年度に3,466人で、前年度の2,822人から644人増え、立替払額は商業・製造業に次ぐ3番目でした。病院だけの内訳は公表されていないので、全員が病院の職員というわけではありません。1人あたりは約43.5万円(当サイト算出)で、全業種の平均41.0万円をやや上回ります。立替払は、保健衛生業(病院・診療所を含む区分)でも実際に使われている制度です。


最初に確かめる:閉院はどの形か

「閉院」と一口にいっても、法的な形はいくつかあり、雇用・給料・使える制度が変わります。説明会や文書で、どれに当たるかを確かめてください。

閉院の形雇用はどうなるか給料・退職金主に関係する制度
経営者が自ら閉じる(廃業)閉院日までに解雇、または退職病院が支払う。払う資力がないまま事業が止まれば、事実上の倒産の認定を受けられることがある解雇予告(労働基準法第20条)、失業保険(特定受給資格者)。払われないときは労働基準監督署へ
別の法人に引き継ぐ(事業譲渡・統合)引き継ぎ先に移るか、条件はどうなるかは個別の取り決めによる引き継ぎ前の分の精算方法を確認移らない場合の離職理由、条件の書面
法律上の倒産(破産・民事再生など)破産では病院の事業が終わるので、雇用も終わるのが一般的払われないときは未払賃金の立替払立替払、解雇予告、失業保険
事実上の倒産(中小企業のみ)事業が止まり、再開の見込みがない賃金を払う能力がなく、労働基準監督署長の認定を受ければ立替払認定申請、立替払、失業保険

どの行に当たるかは、聞こえてくる言葉から見当がつきます。

  • 「破産の申立てをした」「裁判所の手続きに入った」: 法律上の倒産
  • 「経営者の判断で閉院する」「引き継ぎ先が決まった」: 廃業か事業譲渡
  • 「給料の支払いが遅れている」「経営者と連絡が取れない」「事業を止めた」: 事実上の倒産に近い状態。早めに労働基準監督署へ

どれか決められないときは、決められないまま労働基準監督署に相談して構いません。

いちばん大事なのは、立替払の対象かどうかが、閉院の形ではなく病院の状態で決まることです。対象は、法律上の倒産か、中小企業で労働基準監督署長が認定した事実上の倒産です。中小企業に当たる病院なら、自主的な閉院でも、清算活動に入っているだけで事業活動は止まったと扱われ、賃金を払う資産も借入れの見込みもなければ、認定の余地があります。一方で、払う力があるまま閉じる病院の未払いは、病院(経営者)に請求することになります。債務超過というだけでは認定されません(労働者健康安全機構)。

病院の経営が悪く、賞与の減額などがすでに起きている場合は、病院の赤字と賞与減額もあわせて読んでください。


閉院で解雇されるなら、予告は30日前。足りない日数分は手当

閉院で辞めることになるとき、多くは病院からの解雇です。労働基準法第20条は、使用者が労働者を解雇するときは、少なくとも30日前に予告するか、30日分以上の平均賃金(解雇予告手当)を払うことを求めています。平均賃金は、直近3か月間に支払われた賃金の総額を、その期間の総日数で割った1日あたりの賃金です(同法第12条)。予告の日数は、平均賃金を払った日数分だけ短くできます。たとえば平均賃金が1日1万2千円(仮定)の人が閉院の10日前に解雇を告げられたなら、30日に足りない20日分、24万円が手当にあたります。

この予告には例外があります。「天災事変その他やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となった場合」は予告がいりません。ただし、この例外を使うには労働基準監督署長(行政官庁)の認定が必要です(同条第3項が第19条第2項を準用)。経営難による閉院が当然に例外に当たるわけではありません。

「解雇」は病院が一方的に辞めさせることで、「退職勧奨」は、勧められて本人が応じる合意の退職です。解雇予告手当は解雇に付くものなので、合意して退職届を出すと求めにくくなります。解雇の予告を受けたら、退職の日までに、解雇の理由を書いた証明書を病院に請求できます(同法第22条)。解雇だったことを書面に残す手立てです。

⚠️ つまずきやすい落とし穴: 「退職届を出してください」と言われ、そのまま自己都合の形で出してしまう

閉院が決まった病院では、手続きを簡単にするために、職員に退職届の提出を求めることがあります。言われたまま「一身上の都合により」と書いて出すと、あとで解雇予告手当を求めにくくなったり、離職票の離職理由が自己都合になっていたりと、損をすることがあります。閉院に伴う離職は、失業保険の上では特定受給資格者に当たるのが原則で、離職理由は最終的にハローワークが事実で判断しますが、書類の書き方は争いのもとになります。退職届を求められたら、出す前に解雇予告手当の扱いを文書で確認し、そのうえで出すなら、理由欄には「閉院に伴い」と事実を書きます。迷ったら、出す前に労働基準監督署か総合労働相談コーナーに相談してください。


閉院後に給料・退職金が払われないとき:未払賃金の立替払

条件を満たせば、国が立て替える未払賃金の割合。対象は毎月の給料と退職金で、賞与と解雇予告手当は含まれない。退職時の年齢で上限88万〜296万円8割

労働者健康安全機構「未払賃金の立替払制度」(2026年)

病院が倒産し、給料や退職金が払われないまま辞めた人は、国の「未払賃金立替払制度」を使える場合があります。手続きは独立行政法人労働者健康安全機構が行います(根拠は賃金の支払の確保等に関する法律第7条)。

立替払を受けられる主な条件
  • 勤め先が、労災保険の適用事業として1年以上事業をしていた
  • 勤め先が法律上の倒産(破産・特別清算・民事再生・会社更生の手続きの開始)か、事実上の倒産(中小企業で、事業が止まり、再開の見込みがなく、賃金を払う能力がないと労働基準監督署長が認定)になった
  • 裁判所への破産等の申立て(事実上の倒産は認定の申請)の6か月前の日から2年の間に退職している
  • 未払賃金の額について、破産管財人などの証明か、労働基準監督署長の確認を受けている

中小企業の範囲は、業種ごとの資本金か労働者数の上限で決まっています(労働者健康安全機構)。事実上の倒産の経路では、規模の大きな病院は当たらないことがあるので、自分の病院が当たるかは労働基準監督署で確認してください。

立て替えられる額

対象は、退職日の6か月前の日から請求の前日までに支払日が来ていた「毎月の給料」と「退職金」です。賞与と解雇予告手当は対象外で、未払いの総額が2万円未満のときも対象になりません。立て替えられるのは未払総額の8割で、総額には退職日の年齢による限度があります。

退職日の年齢未払総額の限度立替払の上限
30歳未満110万円88万円
30歳以上45歳未満220万円176万円
45歳以上370万円296万円

出典: 労働者健康安全機構「未払賃金の立替払制度」

たとえば35歳で、最後の2か月分の給料60万円と退職金100万円が払われていなければ、未払総額は160万円で限度の220万円以内なので、立替払は8割の128万円が目安です(実際の額は、証明や確認を受けた未払賃金で決まります)。

請求の期限と手続き

請求できる期間は、法律上の倒産なら破産手続の開始決定日などの翌日から、事実上の倒産なら認定の日の翌日から、それぞれ2年以内です。過ぎると受けられません。流れは倒産の種類で違います。

  • 法律上の倒産: 破産管財人などに未払賃金の証明を申請し、証明書を受け取る。立替払請求書を機構に送る(証明が得られないときは、労働基準監督署長に確認を申請)
  • 事実上の倒産: 労働基準監督署長に認定を申請し、認定通知書を受け取る。続けて未払賃金の確認を申請し、確認通知書を受け取る。立替払請求書を機構に送る
⚠️ つまずきやすい落とし穴: 経営者が破産の手続きをしないまま時間が過ぎ、対象から外れる

立替払は、退職後6か月以内に、裁判所への破産等の申立てか、労働基準監督署長への事実上の倒産の認定申請がされていないと受けられません。病院が閉じたあと、経営者が「いずれ払う」と言ったまま手続きをせず、気づいたときには6か月を過ぎていた、というのがいちばん避けたい展開です。給料や退職金の支払いが遅れ始めたら、給与明細、雇用契約書、退職金規程の写しを手元に残し、退職から間を置かずに労働基準監督署に相談してください。認定は、退職した人(立替払を請求する人)が申請します。退職者が2人以上いるときは、1人が認定を受ければ、効果はほかの退職者にも及ぶので、同僚と時期をそろえて相談すると説明もしやすくなります。

退職金の計算のしかたは看護師の退職金相場で解説しています。


閉院で辞めたら、失業保険は「特定受給資格者」になるのが原則

倒産や事業所の廃止にともなって辞めた人は、雇用保険の上で特定受給資格者(会社の都合で辞めた人にあたる区分)として扱われるのが原則です(雇用保険法第23条第2項第1号)。自己都合で辞めた人にある給付制限はなく、受給の条件も軽くなります。離職前の1年間に被保険者期間が6か月以上あれば受けられるので(自己都合は2年間に12か月以上)、勤続1年未満の人にも効きます。年齢と被保険者期間によっては、基本手当を受けられる日数も自己都合より長くなります。

被保険者であった期間自己都合など(全年齢)倒産・閉院など 30歳未満倒産・閉院など 30〜35歳未満倒産・閉院など 35〜45歳未満倒産・閉院など 45〜60歳未満
1年以上5年未満90日90日120日150日180日
5年以上10年未満90日120日180日180日240日
10年以上20年未満120日180日210日240日270日
20年以上150日―240日270日330日

出典: ハローワークインターネットサービス「基本手当の所定給付日数」(被保険者期間1年未満と60歳以上の区分は省略)

同じ勤続10年・40歳でも、自己都合なら120日、閉院による離職なら240日です。一方、30歳未満で被保険者期間が5年未満なら、倒産でも自己都合と同じ90日です。その場合の違いは、給付制限がないことです。

⚠️ つまずきやすい落とし穴: 離職票の離職理由を確かめずに、失業保険の手続きをする

閉院による離職なのに、離職票の理由が「自己都合」になっていることがあります。退職届を「一身上の都合」で出した場合や、病院の事務が閉院の対応に追われて書類を定型で作った場合に起こりやすく、気づかずに手続きを進めると、給付制限がつき、年齢と勤続によっては給付日数も短くなります。離職票を受け取ったら、ハローワークで手続きをする前に、離職理由の欄が「事業所の廃止」「倒産」などになっているかを確かめてください。違っていれば、受給資格の決定のときに、閉院を知らせる文書や解雇の予告を受けた記録を添えて申し出ます。理由の判断は最終的にハローワークが事実で行うので、告知の週に集めた書類が、ここで役に立ちます。

基本手当の申請の流れ、健康保険・年金・住民税の手続きは、看護師の失業保険と退職後の手続きにカレンダー形式でまとめています。


閉院を告げられてから、最終日までにすること

やることは、書類を手元に残す・有給と勤務期間を決める・転職活動を並行して始める、の3つです。

1. 告知の直後: 書類と説明を手元に残す

閉院の知らせは口頭のことが多く、あとから内容が変わることもあります。最初の1週間で、次のものを集めてください。

手元に残すもの(チェック項目)
  • 閉院・解散を知らせる文書、説明会の資料(無ければ日付と説明の内容をメモ)
  • 自分の雇用契約書または労働条件通知書、就業規則と退職金規程の写し
  • 直近6か月分の自分の給与明細
  • 自分の勤務記録(タイムカードや勤怠システムの画面)
  • 有給休暇の残日数が分かるもの

あわせて、説明会や面談で次の3点を聞いてください。

  • 見本: 「閉院の形は、廃業・事業の引き継ぎ・破産のどれですか」(使える制度が決まります)
  • 見本: 「私たちは解雇になりますか。予告の日と、解雇予告手当の扱いを書面でいただけますか」(手当と離職票の離職理由が決まります)
  • 見本: 「最後の給料と退職金は、いつ、いくら支払われる予定ですか」(払われないときの請求と立替払の判断材料になります)
⚠️ つまずきやすい落とし穴: 患者さんの転院調整を優先し、自分の書類集めを最終日まで後回しにする

閉院が決まった病棟は、患者さんの転院先探しや紹介状、物品の整理で、通常より忙しくなります。看護師ほど「患者さんのことが先」と考え、自分の雇用契約書や給与明細の確認を最終日の前後まで後回しにしがちです。ところが閉院後は、事務部門も解散していて、就業規則や勤務記録を出してもらえないことがあります。退職金の規程と、自分の勤務記録(時間外勤務の記録)は、未払いを請求するときの根拠になります。告知を受けた週のうちに、自分の書類だけをスマートフォンで撮影しておけば足ります。患者さんや他の職員の情報が写り込まないようにし、院内の撮影ルールに従ってください。患者さんへの責任と、自分の生活を守る準備は、同時に進めてよいことです。

2. 最終日まで: 有給休暇と働く期間を決める

有給休暇の残日数は、退職すると使えなくなります。最終日までの勤務の割り振りと、残日数の使い方を、早めに師長と相談してください。病院側が「最終日まで全員必要」と考えていることもあるので、希望は書面かメールで伝え、記録を残します。有給の申請のしかたは看護師の有給が取れないときが参考になります。

⚠️ つまずきやすい落とし穴: 転職先が決まったからと、閉院日より前に自分から辞めてしまう

閉院日より前に転職先が決まったときは、閉院日を待たずに辞めることもできます。ただし、自分の都合で辞めると、自己都合の退職として扱われることがあり、離職票の理由や給付制限、解雇予告手当に影響します。解雇の予告を受けたあとに自分の都合で辞めると、解雇理由の証明書も請求できなくなります(労働基準法第22条)。入職日が決まっていて失業保険を受ける必要がないなら、影響は小さくなります。辞める前に、ハローワークで離職理由の扱いを確かめてください。

3. 転職活動は、告知の直後から並行して始める

閉院日が決まっているぶん、探せる時間には限りがあります。最終日を待たず、告知を受けたら求人を見始めるのが現実的です。応募の段階で、退職の理由は「勤務先の閉院のため」と事実をそのまま伝えれば足ります。転職活動の流れは看護師の転職活動の流れ、内定後の条件の確かめ方は看護師の労働条件通知書の見方にまとめています。

⚠️ つまずきやすい落とし穴: 引き継ぎ先からの「そのまま残ってください」に、条件を確かめずに応じる

事業譲渡で別の法人が病院を引き継ぐ場合、給与の額、退職金の通算、夜勤や勤務形態が変わることがあります。口頭の「今と同じ条件で」だけで応じると、入職後に基本給や手当、有給の引き継ぎが違っていても、元の条件を示せません。引き継ぎ先から声がかかったら、新しい労働条件通知書を受け取り、今の条件と見比べてから返事をしてください。残らない場合は、離職票の理由欄が閉院による離職になっているかを確かめます。返事の期限が短いときは、期限を書面で確かめます。


閉院のときにやりがちな失敗例

失敗例1: 「閉院だから、給料が払われなくても国が立て替えてくれる」と思い込む

立替払は、閉院しただけで自動的に始まるものではありません。待つうちに退職後6か月が過ぎると、対象から外れます。未払いが出たら、病院への請求と労働基準監督署への相談を同時に進めてください。

失敗例2: 口頭の説明だけを聞いて、日付も書面も残さない

閉院日、解雇の有無、最後の給料の日は、あとから「そう言った覚えはない」となりやすい項目です。説明会で聞いた内容は、その日のうちに日付つきでメモにし、「わかりました」で終わったときは、書面かメールで同じ内容を送って返事を残します。そのメモが、労働基準監督署に相談するときの根拠になります。


よくある質問

Q. 閉院したあと、給料や退職金が払われないときはどうなりますか?

A. 支払う義務は病院(経営者)にあるので、病院への請求と労働基準監督署への相談を同時に進めます。法律上の倒産か、中小企業で認定を受けた事実上の倒産なら、国の立替払で未払総額の8割(年齢別に上限88万〜296万円)が立て替えられます。対象は給料と退職金で、賞与と解雇予告手当は対象外です。退職後6か月以内に、破産等の申立てか認定申請がされていることが条件です。

Q. 病院の閉院で辞めた場合、失業保険は自己都合と何が違いますか?

A. 特定受給資格者に当たるのが原則で、給付制限がなく、離職前1年間に被保険者期間が6か月以上あれば受けられます。年齢と被保険者期間によっては、給付日数も長くなります(勤続10年・40歳なら、自己都合の120日に対して240日)。離職票の離職理由の欄は、受け取ったら確かめてください。

Q. 閉院の1週間前に知らされました。解雇予告手当はもらえますか?

A. 解雇であれば、30日に足りない日数分の平均賃金(解雇予告手当)が支払われるのが原則です(労働基準法第20条)。1週間前なら23日分が目安です。例外は労働基準監督署長の認定がある場合などに限られます。払われない場合は、労働基準監督署に相談してください。

Q. 次の職場の当てがある人も、求人を見ておいたほうがいいですか?

A. 引き継ぎ先に残る人や、入職先がもう決まっている人は、急ぐ必要はありません。決まっていない人は、閉院日までの時間が限られるので、条件を比べる材料として求人を見ておくと、選ぶ余裕ができます。

閉院までの時間で、次の職場の候補をそろえておく

次の職場がまだ決まっていなくても、条件に合う求人を比べておくと、閉院日までの動き方を判断しやすくなります。


まとめ

  • 閉院の形と、賃金を払う力を確かめる: 使える制度が変わります
  • 解雇なら30日前の予告か手当: 退職届の書き方に注意してください
  • 未払いが続くなら、立替払の対象かを確かめる: 法律上の倒産か、認定を受けた事実上の倒産が前提で、退職後6か月以内の申立て・認定申請が条件です
  • 失業保険は特定受給資格者が原則: 離職票の離職理由を確かめます
相談先
  • 解雇予告・未払賃金・事実上の倒産の認定: 勤務地を管轄する労働基準監督署
  • 解雇や退職の条件をめぐる相談: 各都道府県労働局の総合労働相談コーナー
  • 立替払の請求手続き: 労働者健康安全機構(未払賃金立替払相談コーナー)
  • 失業保険と離職理由: 住所地を管轄するハローワーク
  • 法的な判断や請求の代理が必要なとき: 弁護士、法テラス

ここまでは一般的な制度の説明で、個別のケースの法的な判断ではありません。自分の場合にどうなるかは、上の相談先で確認してください。

状況別の次の一歩:

参考文献

  1. 厚生労働省「令和7(2025)年医療施設(動態)調査・病院報告の概況」(2026-10-04 閲覧)
  2. 厚生労働省「医療施設動態調査(令和8(2026)年7月末概数)」(2026-10-04 閲覧)
  3. 厚生労働省「令和7年度の未払賃金立替払事業の実施状況」(2026-10-02 閲覧)
  4. 労働者健康安全機構「未払賃金の立替払制度」(2026-10-04 閲覧)
  5. 労働者健康安全機構「未払賃金立替払事業の実施状況について」(2026-10-02 閲覧)
  6. ハローワークインターネットサービス「基本手当の所定給付日数」(2026-10-04 閲覧)
  7. ハローワークインターネットサービス「基本手当について」(2026-10-04 閲覧)
  8. e-Gov法令検索「労働基準法」(昭和22年法律第49号)第12条・第20条・第22条(2026-10-04 閲覧)
  9. e-Gov法令検索「雇用保険法」(昭和49年法律第116号)第22条・第23条(2026-09-25 閲覧)
  10. e-Gov法令検索「賃金の支払の確保等に関する法律」(昭和51年法律第34号)第7条(2026-09-25 閲覧)