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診療看護師(NP)になるには|臨床5年・大学院2年・認定試験の流れと、協議会調査で見るNPの働き方

ナースひとやすみ 編集部約14分で読めます
目次

診療看護師(NP)になるには、臨床経験5年以上のあと、協議会認定の大学院(2年)を修了し、NP資格認定試験に合格します。大学院は、日本NP教育大学院協議会が認定した修士課程(NPコース)で、資格の認定も同協議会が行い、5年ごとに更新します。国家資格ではありません。

2026年4月時点のNP資格認定者は1,118人です。特定行為研修の修了者(14,266人、2026年3月)と比べると、ずっと少ない人数です。

「国家資格でもないのに、2年も大学院に通う意味はあるのか」「特定行為研修の先を、まだ学ぶ必要があるのか」「NPになったら給料は上がるのか」。臨床5年目が見えてきて、そんな迷いが出てきた方に向けて、なるまでの道のりを公式資料で確かめ、協議会の調査から働き方と給与の形を整理します。

診療看護師(NP)とは|国家資格ではなく、協議会の認定資格

日本NP教育大学院協議会は、トップページとよくある質問で、診療看護師(NP)を次のように定義しています。

日本NP教育大学院協議会が認める NP 教育課程を修了し、本協議会が実施するNP資格認定試験に合格した者で、患者の QOL向上のために医師や多職種と連携・協働し、倫理的かつ科学的根拠に基づき一定レベルの診療を行うことができる看護師

この定義から、押さえておきたい点が2つあります。

  • 法律上は看護師です。 診療看護師(NP)という名前の国家資格や、法律で定められた独自の業務範囲はありません。看護師が手順書で行える医行為は、保健師助産師看護師法 第37条の2の特定行為で、行う看護師はその区分の特定行為研修を受けなければなりません
  • 医師のように独立して診断・処方する資格ではありません。 「一定レベルの診療」は、医師や多職種との連携・協働のもとで行うものとして定義されています。どこまで任されるかは、勤務先の体制と手順書によって変わります

診療看護師(NP)と特定行為研修の違い

いちばん迷うのは「特定行為研修を修了すれば足りるのでは」という点です。違いを並べました。

項目診療看護師(NP)特定行為研修修了者
根拠日本NP教育大学院協議会の認定保健師助産師看護師法 第37条の2・厚生労働省令
法律上の位置づけ法律上は看護師。NPという名前の国家資格や、独自の業務範囲はない法律上は看護師。修了した区分の特定行為を、医師の手順書により行える
学ぶ場協議会が認定した大学院修士課程(2年)。協議会の会員校は21大学院厚生労働大臣が指定した指定研修機関(505機関、2026年3月)
入る条件看護師としての臨床経験5年以上(協議会が入学要件として示すもの)指定研修機関ごとの募集要項による
修了後に得るもの修士の学位と、試験合格によるNP資格(5年ごとに更新)修了した特定行為区分の修了証
人数資格認定者1,118人(2026年4月1日)修了者14,266人(2026年3月)

出典: 日本NP教育大学院協議会「NP資格認定者」「よくある質問」、厚生労働省医政局看護課調べ「特定行為区分別の特定行為研修を修了した看護師数」「特定行為研修を行う指定研修機関の状況」(厚生労働省の2資料は令和8年3月現在)。「21大学院」は協議会トップページの記載

特定行為研修の側の費用や使える支援は、特定行為研修のメリット・デメリットで整理しています。

  • 2つは対立するものではありません。 協議会は、特定行為研修の指定研修機関で修得した単位の一部を、NP教育課程の既修得単位として認める方針を出しています。上限は6単位(協議会が示す修了要件は55単位以上)で、修士論文・課題研究・実習の単位は含まず、各課程が試験をしたうえで判断します
  • 学べる場所も、人数も、NPのほうがずっと少ない。 特定行為研修の指定研修機関が505機関なのに対し、NPの協議会会員校は21大学院で、住まいの近くに課程があるとは限りません。人数もNPは特定行為研修修了者の13分の1ほどです(基準日が違い、重複もありうるので目安です)

診療看護師(NP)になるまでの4ステップ

ステップ1: 看護師として5年以上の臨床経験を積む

協議会は、NP教育課程への入学に、看護師として臨床経験5年以上があることを入学要件としています。経験年数の数え方(非常勤期間の扱いなど)は、大学院ごとの募集要項で確かめます。

⚠️ つまずきやすい落とし穴

入学要件の5年を、出願時点で満たす必要があるのか、入学時点でよいのかは大学院によって違う可能性があります。また、大学院の入学には原則として学士の学位が必要です。専門学校や短大の卒業で学士がない場合は、大学院が行う個別の入学資格審査(22歳以上)などで、大学を卒業した者と同等以上の学力があると認められる必要があります(学校教育法施行規則 第155条第1項第8号)。文部科学大臣が指定した専修学校の専門課程(修業年限4年以上などの基準を満たすもの)の修了者は、審査なしで認められる場合もあります(同項第5号)。どれに当たるかは、志望校の入試担当に問い合わせてください。審査は出願より前に締め切られることがあるので、募集要項は出願の1年前には読んでおくと安全です。

ステップ2: 協議会が認定した大学院のNPコースを選ぶ

協議会の会員校は21大学院です(協議会のトップページの記載)。ただし21は会員校の数で、受験資格になるのは、協議会が教育課程認定を行った課程の修了者です。会員校基本調査(2024年度を対象)によると、1学年の定員は2名から25名まで大学院によって大きく違い(定員が少ない課程は席が限られるので、志望校が複数あるなら定員と出願時期を募集要項で並べて比べます)、領域はプライマリ・ケア(老年・小児など)とクリティカルに分かれます。開講は、昼間のみの課程もあれば、夜間や週2〜3日、オンデマンドを組み合わせる課程もあります。

選ぶときは、次の4点を募集要項と説明会で見ます。

  • 協議会の教育課程認定を受けているか。会員校は協議会の「会員校紹介」ページで一覧でき、各課程の認定の有無は募集要項か協議会への問い合わせで調べる
  • 領域(プライマリ・ケアかクリティカルか)と、自分が働きたい場
  • NPコースの修了で特定行為研修の修了証も得られるか(協議会の資料には記載がなく、本記事では確認できていません。各大学院に問い合わせる)
  • 学費と、勤務先の支援(休職・修学資金・復職後の配置)。協議会の資料に学費の一覧はなく、本記事では水準を確認していません
⚠️ つまずきやすい落とし穴

開講日だけ見て「週2〜3日なら働きながら通える」と判断すると、実習の時期に行き詰まることがあります。NPコースには、講義のほかに演習や長期の臨床実習があり(協議会の細則別表では、修了要件のうち実習は15単位以上)、その間は平日の日中に拘束されます。勤務先に相談しないまま入学し、実習の時期にシフトを組めずに退職や休学を迫られる形が起こりえます。入学前に、実習がある時期を大学院に問い合わせ、休職や勤務調整の可否を、書面で勤務先と合意しておいてください。

ステップ3: NP資格認定試験に合格する

試験は年1回の筆記試験です。2026年度の第17回は2027年2月28日(日)に行われます。2025年度の第16回から、領域別の試験をやめて全問共通の統一試験になりました。出題の割合は、クリニカルアセスメント30%、クリニカルマネジメント30%、病態機能学15%、臨床薬理学10%などです。クリニカルアセスメントとクリニカルマネジメントで6割を占めます。

受験資格は、協議会が教育課程認定を行った大学院修士課程の修了者・修了見込みの者と、海外のNP資格の取得者(日本の保健師・助産師・看護師のいずれかの免許を持つ人)です。合格基準は年度ごとに協議会の評価委員会が決め、不合格でも翌年度以降に再受験できます。合格率や受験者数は、確認した範囲では見つかりませんでした。

⚠️ つまずきやすい落とし穴

出願は本人ではなく大学院を通して行い、試験は年1回です。願書は各大学院がまとめて協議会の事務局に送る形で、第16回の受付期間は2026年2月1日〜6日の6日間でした。大学院の案内や学内の締切を見落として出願を逃すと、次の受験は翌年度になり、修了後の進路や職場への復帰もずれます。提出書類には履歴書、検定料の振込控え、修了証明書または修了見込証明書などがあります。修了年度の早い時期に、学内の締切と必要書類を大学院に問い合わせておきます。受験料と認定証の発行料は「受験の手引き」に載っていて、金額は本記事では確認していません。

試験の合格者は増えています。

2025年度のNP資格認定試験の合格者。統一試験になった年で、過去最多。それでも1年に全国で150人ほど147人

日本NP教育大学院協議会「NP資格認定者」(2026年4月1日現在)

2016年度の43人から2025年度の147人へ、合格者は3倍あまりに増えました。冒頭の資格認定者1,118人は、2021〜2025年度の試験合格者573人と、同じ期間に資格を更新した人545人の合計です(協議会の表)。ここ数年の合格者が、現在の認定者の半分ほどを占めます。

ステップ4: 5年ごとに資格を更新する

NP資格は5年ごとに更新が必要です。2025年度は、更新の対象になった277人のうち264人(更新261人・延長3人)が、更新または延長の扱いになっています(協議会の更新ページと「NP資格認定者」の表の区分)。延長は、病気などやむを得ない理由で更新の審査を受けられない人が、認定期間の延長(原則2年、1回のみ)を認められた扱いです。残る13人の扱いは協議会の資料に書かれていません。更新の対象は、資格認定証の発行から5年たった人です。

協議会の「診療看護師(NP)資格更新の手引き」(2026年度)では、申請の要件を次のように定めています。

  • 日本NP学会の正会員で、更新までの5年間の年会費を毎年納めていること
  • 直近の4.5年間に、臨地(教育現場を含む)での実践が2,000時間以上あること
  • 同じ期間に、診療看護師としての社会活動の実績が50点以上あること
  • 更新審査料は1回23,000円
⚠️ つまずきやすい落とし穴

更新の要件は、資格を取ってから5年かけて積み上げるものです。学会の年会費が5年のうち1年でも未納だと、要件を満たしません。社会活動の点数は、学会発表や講演などの実績を証明書類つきで集める必要があるので、資格を取った直後から記録を残しておきます。実践時間は、常勤は法定労働時間、非常勤や短時間勤務は実際の勤務時間で数えます。申請は専用ページからのアップロードのみで、期間外は受け付けられません。

NPの働き方と給料|協議会の調査で見る実態

先に結論です。NPの手当や年収の金額を示した公的な統計は、確認できた範囲では見つかっていません。協議会の調査でわかるのは、給与の形(基本給+手当が65%、看護師と同じ基本給が20%)までです。

日本NP教育大学院協議会は、毎年、資格認定者に活動実態調査を行っています。2025年度の調査(2025年12月、資格認定者984人のうち512人が回答)の結果を1つの表にまとめました。調査の対象984人は2025年12月時点で、冒頭の1,118人は2026年4月1日現在なので、基準の時点が違います。

項目結果(n=512)
勤務先病院(看護部)45%、病院(診療部)33%、病院(その他)9%、訪問看護ステーション3%、診療所2%
雇用上の立場診療看護師(NP)として雇用76%、看護師9%、主任・看護師長6%
働き方日勤のみ60%、日勤+必要に応じて当直10%、日勤+夜勤オンコール10%、2交代制11%
給与看護師の基本給+NPとしての手当65%、看護師の基本給と同じ20%、看護師と別の俸給表8%
NPとしての卒後研修1年の研修を受けた29%、2年28%、研修中14%、研修なし26%

出典: 日本NP教育大学院協議会「2025年度 診療看護師(NP)活動実態調査報告」(2026年1月)

ここから言えることと、言えないことを分けておきます。

  • 言えること: 回答したNPの9割近くが病院勤務で、病院勤務者の約4割は看護部ではなく診療部に所属しています。日勤のみが6割、当直・オンコールありが2割、2交代制が1割です。NPとして雇用されている人は76%で、看護師(9%)や主任・看護師長(6%)として雇用されている人もいます。NPとしての卒後研修なしは4人に1人(26%)です。給与は「基本給に手当を足す」形が3分の2で、5人に1人は看護師と同じ基本給のままです。NPになれば別の給与体系になる、とは限りません
  • 言えないこと: 金額は調査に出ていません。回答率は52.0%で、活動している人ほど回答している可能性もあり、全国のNPの働き方を代表するとは言い切れません

失敗例・よくあるNG

  • NG①: 協議会の認定を受けていない課程に入学する → 受験資格にならない
  • NG②: 勤務先と合意しないまま入学する → 実習の時期に勤務を続けられず、退職や休学を迫られる
  • NG③: 更新の要件を知らずに資格を取る → 5年後、学会の年会費・実践2,000時間・社会活動50点がそろわず更新できない
  • NG④: 出願の手続きと締切を大学院に確かめない → 願書は大学院経由で受付期間も短く、出願を逃すと次の受験は翌年度になる

NPを目指す人と、目指さないほうがいい人

向いているのは、特定の医行為にとどまらず、アセスメントから治療方針の相談まで診療全体に関わりたい人です。2年間の学びと実習の時間を確保でき、修了後に働く職場の体制も見通せる人です。次の場合は、別の道を先に考えたほうが合います。

  • やりたいことが、特定の医行為を手順書で行うことに絞られている: その特定行為区分の特定行為研修で足りる可能性があります
  • 2年間、実習を含めて学ぶ時間を確保できない: 休職や勤務調整ができないまま入学すると、続けるのが難しくなります
  • 修了後に働きたい職場で、NPの配置や手順書の体制が無い: 資格を取っても、任される範囲は職場の体制しだいです。応募予定の病院にNPがいるか、どこに所属しているかを先に確かめます
  • 特定の看護分野を深めたい: 認定看護師や専門看護師という別の道もあります。人数や取得要件は認定看護師・専門看護師は何人いる?で比べられます

よくある質問

Q. 診療看護師(NP)は国家資格ですか?

A. いいえ。日本NP教育大学院協議会が認定する資格で、法律上は看護師です。NPという名前の国家資格や、法律で定められた独自の業務範囲はありません。

Q. 看護師になってから、最短で何年かかりますか?

A. 臨床経験5年以上(入学要件)に、修士課程の2年を足して、最短でおよそ7年です(入学までの準備期間を除く)。試験は修了見込みでも受験できます。

Q. 専門学校卒でも、NPの大学院に入れますか?

A. 学士がなくても、個別の入学資格審査(22歳以上)や、文部科学大臣が指定した専修学校の専門課程の修了などで、入学資格が認められる場合があります(学校教育法施行規則 第155条第1項第5号・第8号)。どれに当たるかは、志望校の募集要項で確かめてください。

Q. 学費はいくらかかりますか?

A. 学費は大学院ごとに違い、協議会の資料にも一覧はないので、本記事では金額を示せません。募集要項のほか、勤務先の修学支援と、雇用保険の教育訓練給付の対象になる課程か(課程ごとの指定で決まります)も調べます。

Q. NPの給料はいくらですか?

A. 確認できた範囲では、金額を示した公的な統計は見つかっていません。協議会の調査でわかるのは給与の形(基本給+手当が65%、看護師と同じ基本給が20%)までで、手当の金額は応募先ごとに確かめる必要があります。

修了後に働く職場の条件を、いまのうちに整理しておく

NPの配置や手順書の体制、進学・研修への支援は、病院によって違います。進学するかまだ決めていなくても、働きたい職場の条件を先に書き出しておくと判断しやすくなります。

まとめ

  • なるまでの道: 臨床経験5年以上 → 協議会認定の大学院修士課程(2年)→ NP資格認定試験 → 5年ごとに更新。更新には学会会員・実践2,000時間・50点が必要
  • 国家資格ではない: 法律上は看護師で、任される範囲は職場の体制で決まる
  • 人数は少ない: 認定者1,118人に対し、特定行為研修の修了者は14,266人
  • 次の一歩: ①志望校が協議会の教育課程認定を受けているか、②実習の時期と休職・勤務調整を勤務先と書面で合意できるか、③出願の締切と必要書類、の3点を入学前に確かめる
  • 働き方: 回答者の9割近くが病院勤務、日勤のみが60%。給与は基本給+手当が65%、看護師と同じ基本給が20%

状況に合わせて、次の記事も参考にしてください。