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准看護師から看護師になるには|3ルートの入学者7,319人と年収97.2万円差の現在地

ナースひとやすみ 編集部約13分で読めます
目次

准看護師から看護師になるルートは3つあり、2025年度の入学者は合わせて7,319人でした。そして3ルートとも競争率は1.0〜1.1倍——応募すればほぼ全員が入れる状態です(厚生労働省「令和7年度 看護師等学校養成所入学状況及び卒業生就業状況調査」)。「進学は狭き門」というイメージがあるなら、データはその逆を示しています。むしろ難しいのは、入学試験ではなく「2年間通い続ける生活設計」のほうです。この記事では、3ルートの実数、通信制の要件(2026年9月時点で実務経験5年以上)、そして看護師との年収差97.2万円の中身を整理します。

准看護師は10年で10万人減った

就業准看護師(2024年末)233,022人

厚生労働省「令和6年 衛生行政報告例(就業医療関係者)の概況」(2024年)

まず、いま自分がどんな集団の中にいるのかを数字で確認します。

就業准看護師数の推移(各年末現在)

平成26年(2014)
340,153人
28年(2016)
323,111人
30年(2018)
304,479人
令和2年(2020)
284,589人
4年(2022)
254,329人
6年(2024)
233,022人

出典: 厚生労働省「令和6年 衛生行政報告例(就業医療関係者)の概況」表1

※ 差が見えるようグラフの起点は0人ではありません。最大と最小の差は107,131人です。

10年で107,131人減(-31.5%)。直近2年でも21,307人減(-8.4%)です。同じ期間に看護師は1,086,779人から1,363,142人へ、27万人以上増えました。准看護師だけが減り続けているのが、いまの構図です。

年齢構成を見ると、その理由がわかります。

年齢階級准看護師看護師
25歳未満4,616人(2.0%)112,853人(8.3%)
55〜59歳37,959人(16.3%)129,202人(9.5%)
60〜64歳38,397人(16.5%)84,049人(6.2%)
65歳以上44,314人(19.0%)59,432人(4.4%)
55歳以上の合計120,670人(51.8%)272,683人(20.0%)

出典: 厚生労働省「令和6年 衛生行政報告例(就業医療関係者)の概況」表3(2024年末現在)。合計は当サイトが算出

准看護師は2人に1人が55歳以上。看護師の20.0%に対して2.6倍です。25歳未満はわずか2.0%。減っているのは離職が多いからではなく、新しく入ってくる人が少なく、上の世代が引退していくからだと読めます。

この構図は、進学を考えるときの前提条件になります。あと20年働くつもりなら、自分は「少数派になっていく側」に立っている——それを踏まえて選択するかどうか、という話です。

年収差は97.2万円。ただし平均年齢は准看護師のほうが9.7歳上

厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査」(企業規模10人以上・男女計・産業計)から、2つの職種を並べます。

項目看護師准看護師差
平均年齢42.1歳51.8歳准看護師が9.7歳上
平均勤続年数9.8年13.6年准看護師が3.8年長い
きまって支給する現金給与額365,900円303,200円62,700円
所定内給与額333,200円279,400円53,800円
年間賞与その他特別給与額856,400円636,800円219,600円
推定年収(月額×12+賞与)524.7万円427.5万円97.2万円

出典: 厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査」(職種)第1表 職種(小分類)別きまって支給する現金給与額、所定内給与額及び年間賞与その他特別給与額(産業計・企業規模計10人以上・男女計)。年収は当サイトが「きまって支給する現金給与額×12+年間賞与その他特別給与額」で算出

この表でいちばん重要なのは、いちばん下の行ではなく上2行です。准看護師のほうが平均年齢は9.7歳上、勤続年数は3.8年長い。それでも年収は97.2万円低い。 同じ年齢・同じ勤続で比べたわけではないので「資格の差=97.2万円」とは言えませんが、年齢と勤続で不利な条件がついていない側が低く出ている以上、年齢を重ねても埋まりにくい差であることは読み取れます。

差の内訳も見ておきます。97.2万円のうち、賞与の差が21.96万円、月額の差(62,700円×12=75.24万円)が残りです。賞与は基本給に連動することが多いため、月額の差がそのまま年間の差を広げる構造になっています。

看護師になるルートは3つ。どれも競争率1.0〜1.1倍

准看護師が看護師国家試験を受けるための道は、保健師助産師看護師法21条4号に書かれています。免許を得た後3年以上業務に従事している准看護師、または高等学校・中等教育学校を卒業している准看護師が、大学・学校・養成所で2年以上修業した場合、というのが条文です。

この「2年以上修業」の形が3つあります。2025年度の実績を並べます。

ルート学校数1学年定員入学者数競争率充足率40歳以上の割合(当サイト算出)
2年課程(全日制)1206,446人4,070人1.1倍63.1%42.4%(1,726人)
2年課程(定時制)652,222人1,319人1.1倍59.4%17.7%(233人)
2年課程(通信制)152,780人1,930人1.0倍69.4%70.4%(1,359人)
合計20011,448人7,319人———

出典: 厚生労働省「令和7年度 看護師等学校養成所入学状況及び卒業生就業状況調査」第13表・第16表・第19表(2025年度入学)。40歳以上の割合は同調査の年齢階級別入学者数から当サイトが算出

2年課程3ルートの1学年定員と入学者数(2025年度)

全日制 定員
6,446人
全日制 入学者
4,070人
通信制 定員
2,780人
通信制 入学者
1,930人
定時制 定員
2,222人
定時制 入学者
1,319人

出典: 厚生労働省「令和7年度 看護師等学校養成所入学状況及び卒業生就業状況調査」第13表・第16表・第19表

3ルートとも定員を満たしていません。充足率は59.4〜69.4%で、全国で4,129人分の席が空いたままです(11,448人の定員に対し入学者7,319人)。就業准看護師233,022人に対して年間7,319人ですから、進学するのは毎年およそ3.1%という計算になります。

ルートによって集まる年齢層がはっきり分かれているのも特徴です。全日制は40歳以上が42.4%と20〜24歳が18.4%に二極化し、定時制は20〜24歳が40.7%と若年層中心。通信制は40歳以上が70.4%で、24歳以下の入学者はゼロで、25〜29歳も74人(3.8%)にとどまりました。あとで見るように、通信制には実務経験の要件があるためです。

進学と転職、どちらが先かを整理しませんか

実習先や通学時間の都合で、進学を機に職場を変える方は少なくありません。学びやすい勤務条件の求人があるかどうかを、先に知っておくと判断が早くなります。

通信制は「免許取得後5年以上」——2026年9月時点の要件

働きながら進学するときの本命が通信制です。ただし入学資格が他の2ルートと違います。

保健師助産師看護師学校養成所指定規則4条2項1号は、2年課程の入学資格を「免許を得た後3年以上業務に従事している准看護師又は高等学校若しくは中等教育学校を卒業している准看護師」と定めたうえで、ただし書きでこう続けます。

通信制の課程においては、免許を得た後五年以上業務に従事している准看護師であることを入学又は入所の資格とするものであること。

通信制だけは実務経験5年以上が必須です(2026年9月時点。この要件は過去に段階的に短縮されてきた経緯があるため、出願前に必ず最新の募集要項で確認してください)。

実際の入学者データもこれを裏づけています。2025年度の通信制入学者1,930人は、准看護業務歴が全員5年以上でした。全日制では「業務歴なし」が1,764人(43.3%)いるのと対照的です。全日制・定時制には高校卒業の准看護師が業務経験なしで入れるルートがあるためです。

学歴の内訳も見ておきます。通信制入学者の最終学歴は高校卒1,535人(79.5%)、短大卒180人、大学卒104人、中学卒111人。大学・短大を出ていなくても入れる課程だということが、数字から確認できます。

なお通信制の学校は全国に15校しかありません。全日制120校・定時制65校と比べると選択肢は限られますが、通信制は面接授業(スクーリング)と病院実習を除けば自宅学習が中心なので、居住地から遠くても選べる場合があります。この点は学校ごとに大きく異なるので、スクーリングの日数と実施場所は最初に確認すべき項目です。

働きながら進学する3つの手順

1. 自分がどのルートの入学資格を満たすかを先に確定する

  • 手順: ①准看護師免許の登録年月日を免許証で確認する → ②そこから今日までの「業務に従事した期間」を職場ごとに書き出す → ③3年以上なら全日制・定時制、5年以上なら通信制も対象になる → ④高校・中等教育学校を卒業している場合は、業務歴がなくても全日制・定時制に出願できる
⚠️ つまずきやすい落とし穴:「働いていた期間」と「業務に従事した期間」を同じだと思い込む

在籍していた年数と、准看護師として業務に従事した年数は別物です。産休・育休の期間、介護職として勤務していた期間、資格を使わない仕事に就いていた期間は、原則として業務従事期間に含まれません。学校によっては証明書の様式が決まっていて、過去の勤務先すべてに記入を依頼する必要があります。ここで足りないことが出願直前に判明すると、その年は受けられません。 退職した職場が閉院している場合、証明書の発行を誰に頼むかという問題も起きます。免許証の登録日を確認したら、その日から今日までの職歴を1枚の紙に書き出して、証明書を出してもらえる先があるかどうかを先に点検してください。出願の半年前には始めておくと安全です。

2. スクーリングと実習の日程を、勤務シフトの前に押さえる

  • 手順: ①志望校のスクーリング日数・実施場所・時期を募集要項で確認する → ②臨地実習の日数と、自施設で実施できるかどうかを確認する → ③そのカレンダーを職場の上司に見せて、2年分の勤務調整を相談する → ④有給休暇の残日数と、職場の研修支援制度(就学支援金・シフト配慮)の有無を確認する
⚠️ つまずきやすい落とし穴:入学してから職場に相談する

通信制であっても、面接授業と臨地実習では決まった日に決まった場所へ行く必要があります。これは有給休暇や公休の調整だけでは吸収しきれないことがあり、シフト勤務の職場では「その週だけ夜勤を外してもらう」といった調整が要ります。入学が決まってから相談すると、職場は年度の勤務計画をすでに組み終えていて、調整の余地が小さくなります。逆に、出願前に相談すれば、職場側が「進学を前提にした配置」を組める可能性が残ります。 看護職員の確保に苦労している職場ほど、進学を支援して残ってもらうほうが合理的だと考えます。学費の一部補助や勤務配慮の制度を持つ職場もあるので、「制度があるか」ではなく「前例があるか」を聞いてみてください。

3. 2年間の収支を、学費だけでなく勤務時間の減少分まで含めて出す

  • 手順: ①志望校の学費(入学金・授業料・実習費・教科書代)を募集要項から合計する → ②スクーリング・実習で減る勤務日数を月あたりで見積もる → ③その分の給与減を12か月×2年で計算する → ④交通費・宿泊費を加える → ⑤日本学生支援機構の奨学金や都道府県の修学資金貸与制度の対象になるかを確認する
⚠️ つまずきやすい落とし穴:学費の総額だけを見て「払える」と判断する

学費は学校ごとに大きく違うため一概に言えませんが、見落とされやすいのは学費以外のコストです。スクーリングが遠方なら往復交通費と宿泊費が数十回分かかります。実習期間中は勤務を減らすことになり、収入が下がります。「学費は貯金で払えるから大丈夫」と考えていた方が、2年目の後半に生活費で苦しくなるのはよくある流れです。先に見たとおり看護師と准看護師の年収差は97.2万円ですから、資格取得後に取り戻せる金額ではあります。ただし取り戻せるのは卒業したあとです。2年間の「谷」を越えられる計画になっているかを、月単位のキャッシュフローで確認してください。都道府県や病院団体の修学資金には、卒業後に一定期間その地域・施設で働けば返還が免除されるものがあります。条件を確認したうえで使うかどうか決めると、選択肢が広がります。

失敗例・よくあるNG

NG①:「通信制なら通わなくていい」と考えて出願する

通信制にも面接授業と臨地実習があります。自宅学習が中心なのは事実ですが、決まった日に決まった場所へ行く日程は必ずあります。募集要項のスクーリング欄を読まずに出願すると、入学後に勤務との両立が破綻します。

NG②:職場の「資格取得支援制度」を条件を読まずに使う

学費補助や貸与制度には、卒業後に一定期間その職場で働くことを条件とするものがあります。制度そのものは正当なものですが、途中で退職した場合の返還額と期間は契約書で確認してください。進学後に働き方を変えたくなる可能性も含めて判断する必要があります。看護師免許を取ったあとのキャリアの広がりは認定看護師・専門看護師は何人いる?でも整理しています。

NG③:「准看護師はいずれなくなるから」という理由だけで急ぐ

公益社団法人日本看護協会は、自らのウェブサイトで「准看護師制度が創設された当時から、一貫して准看護師養成の停止に取り組んでいます」と明記しています。一方で、2025年度も准看護師課程には172校・3,603人が入学しており、制度そのものは現に存続しています。「いつ廃止されるか」を予測して動くより、自分が何歳までどんな働き方をしたいかから逆算するほうが確実です。 焦りではなく計算で決めてください。

Q&A

Q. 准看護師と看護師は、法律上どこが違うのですか?

A. 保健師助産師看護師法5条は看護師を「傷病者若しくはじよく婦に対する療養上の世話又は診療の補助を行うことを業とする者」と定義し、免許は厚生労働大臣が与えます。同法6条の准看護師は、同じ業務を行いますが「医師、歯科医師又は看護師の指示を受けて」行う者と定められ、免許は都道府県知事が与えます。業務の種類ではなく、指示を受ける必要があるかどうかが条文上の違いです。

Q. 何歳からでも進学できますか?

A. 年齢の上限を定めた法令はありません。2025年度の入学者を年齢階級で見ると、全日制は40歳以上が1,726人(42.4%)、通信制は40歳以上が1,359人(70.4%)で、通信制では24歳以下の入学者がゼロで、25〜29歳も74人(3.8%)でした(厚生労働省「令和7年度 看護師等学校養成所入学状況及び卒業生就業状況調査」)。40代・50代の進学が主流のルートが実在する、というのが数字の示すところです。ただし入学資格として通信制は実務経験5年以上が必要なので、免許取得年を先に確認してください。

Q. 進学せずに准看護師のまま働き続けるのは不利ですか?

A. 「不利」と一言では言えませんが、データには押さえておくべき差があります。年収では看護師524.7万円に対し准看護師427.5万円(令和7年賃金構造基本統計調査)。就業者数では准看護師が10年で31.5%減り、55歳以上が51.8%を占めます。一方で、准看護師の就業場所は診療所76,541人(32.8%)・病院76,223人(32.7%)・介護保険施設等59,272人(25.4%)と分散しており、とくに介護分野では働き先が確保されています(厚生労働省「令和6年 衛生行政報告例」表2)。長く働きたい年数と、働きたい分野の両方から考えるのが現実的です。

進学するかどうかで、選ぶべき職場も変わります

スクーリングや実習に配慮のある職場、准看護師の求人が多い分野——条件が絞れているほど、求人の探し方は変わります。まずは選択肢を並べてみましょう。

まとめ

  • 入口は広い: 2年課程3ルートの競争率は1.0〜1.1倍、充足率は59.4〜69.4%。全国で4,129人分の席が空いています。難関なのは入試ではなく、2年間の生活設計です
  • 通信制は実務経験5年以上(2026年9月時点): 指定規則4条2項1号ただし書。2025年度の通信制入学者1,930人は全員が業務歴5年以上、40歳以上が70.4%でした
  • 年収差97.2万円: 看護師524.7万円・准看護師427.5万円。准看護師のほうが平均年齢は9.7歳上、勤続も3.8年長いうえでの差です
  • 准看護師は10年で31.5%減: 55歳以上が51.8%を占めます。あと何年働くつもりかが、判断の軸になります

看護職全体の年齢構成から自分の位置を確かめたい方は看護師は何歳が多い?、資格取得後のキャリアの選択肢は認定看護師・専門看護師は何人いる?、転職そのものの段取りは看護師の転職の流れで解説しています。

参考文献

  1. 厚生労働省「令和6年 衛生行政報告例(就業医療関係者)の概況」表1・表2・表3(2024年末現在)(2026-09-20 閲覧)
  2. 厚生労働省「令和7年度 看護師等学校養成所入学状況及び卒業生就業状況調査」第13表・第16表・第19表・第22表(2025年度入学、e-Stat)(2026-09-20 閲覧)
  3. 厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査」(職種)第1表 職種(小分類)別きまって支給する現金給与額、所定内給与額及び年間賞与その他特別給与額(e-Stat)(2026-09-20 閲覧)
  4. 保健師助産師看護師法(昭和23年法律第203号)第5条・第6条・第21条・第22条(e-Gov 法令検索)(2026-09-20 閲覧)
  5. 保健師助産師看護師学校養成所指定規則(昭和26年文部省・厚生省令第1号)第4条第2項(e-Gov 法令検索)(2026-09-20 閲覧)
  6. 厚生労働省 法令等データベース「保健師助産師看護師学校養成所指定規則」(2026-09-20 閲覧)
  7. 公益社団法人日本看護協会「准看護師制度について」(2026-09-20 閲覧)