本文へスキップ

PR当サイトはアフィリエイトプログラムに参加しています

ノウハウ

看護師の退職代行|使う前に知る条文の範囲と、自分で辞める手順との比較

ナースひとやすみ 編集部約17分で読めます
目次

看護師が退職代行に会社との交渉まで頼むなら、条文の面で安全なのは、弁護士か、組合員のために交渉できる労働組合です。伝えるだけなら、期間の定めのない民間の雇用では、民法627条により退職は本人の意思表示で進むので、書面で自分で伝える方法もあります。

退職代行を使うかどうかは、頼みたいことが「退職の意思を伝えるだけ」か、「有給・未払い賃金・奨学金など、会社との交渉を含む」かを目安に考えます。弁護士法72条は、弁護士でない者が報酬を得て法律事務を業とすることを禁じています。

この記事は、退職を決めている人向けです。対面で伝える手順は看護師の退職の伝え方にまとめています。ここでは、それが難しいときの選択肢を比べます。特定の業者の評判や料金、体験談は載せません。

辞め方をめぐる相談は、毎年たくさん届いている

師長の顔を見ると声が出ない。引き止められて、次の面談が怖い。もう顔を合わせずに済ませたい。

1年間に労働局へ寄せられた「自己都合退職」の相談(内容別の延べ件数・全産業)。辞め方をめぐる相談は、毎年これだけ届く38,386件

厚生労働省「令和7年度個別労働紛争解決制度の施行状況」(2025年)

厚生労働省の「令和7年度個別労働紛争解決制度の施行状況」では、総合労働相談は119万8,010件でした。そのうち民事上の個別労働関係紛争の相談は27万7,053件で、1回の相談で複数の内容にまたがる場合は内容ごとに数えるため、内容別の延べ件数は32万7,359件になります。次のグラフは、そのうち辞め方に関わる項目の抜粋です。

「自己都合退職」は延べ件数の11.7%(前年度比7.5%減)、「退職勧奨」は7.9%です。辞める側からの相談も、辞めるよう迫られる側からの相談も、毎年これだけあります。最多の「いじめ・嫌がらせ」が原因で辞めるなら、記録の取り方と相談先を看護師のパワハラ対処法で先に整理してください。

次の表は、医療・福祉の「辞める人の規模」と、退職代行の民間調査です。出典ごとに数える対象が違うので、数字どうしは直接比べないでください。

指標値読み方
医療,福祉の離職率(令和7年、厚労省「雇用動向調査」)14.3%(産業計13.7%)産業計より0.6ポイント高く、辞める人は一定数います。退職の申出は、職場にとって珍しい出来事ではありません
正規雇用看護職員の離職率(2024年度、日本看護協会「病院看護実態調査」)11.0%(既卒採用者は16.1%)病院で毎年1割前後が辞めています。経験者として入職した既卒採用者は16.1%で、入ってくる人も辞める人も毎年いるのが病棟の日常です
医療,福祉の労働組合推定組織率(2025年6月、厚労省「労働組合基礎調査」)5.3%(全産業15.9%)組合に入っていない人が9割を超えるので、労働組合型の代行は、新たな加入が前提の人が多くなります
退職代行の利用率(民間調査、パーソル総合研究所・2025年)5年以内に正社員を離職した人の5.1%(約20人に1人)利用経験者は52人のモニター調査で、看護職に限りません。看護師の利用率としては読めません

同じ民間調査で、利用者が前の職場に抱いていた不満は、「直属の上司との関係」が約7割、「直属の上司からのハラスメントを受けた」が約4割でした(利用者52人)。「言い出せない」の背景に、上司との関係がある人が多いと読めます。ただし、看護職の数字ではありません。

法律が決めていること、決めていないこと

退職代行が必要になるのは、「法律上辞められないから」ではなく、「自分で伝える・やり取りするのがつらいから」「会社と調整すべき事柄があるから」です。民間の雇用では、退職の効力は会社の承認ではなく、民法の定めで決まります。以下は2026年10月時点の条文にもとづきます。

  • 期間の定めのない雇用(民間の正職員の多く): 民法627条1項により、申入れの日から2週間で終了します。厚生労働省「確かめよう労働条件」は、使用者が認めなくても原則2週間で終了し、就業規則で期間を大幅に伸ばしても無効とされる、と説明しています。一方で実務では、就業規則の予告期間(1か月など)に沿って進めるのが現実的で、食い違いの扱いは事情で判断が分かれます。日程の組み方は看護師の円満退職のコツにあります
  • 期間の定めのある雇用(契約職員・パートに多い): 民法628条のやむを得ない事由が必要です。ただし、労働基準法附則137条により、契約期間が1年を超える契約は、初日から1年後にいつでも退職できます(高度の専門的知識等を持つ人、満60歳以上の人の契約は除く)
  • 公立病院などの公務員: 民法の表のとおりとは限りません。地方公務員法58条1項は、同法の職員(一般職)に労働組合法を適用しないと定めており、区分によって扱いが違います。採用時の書類(辞令や労働条件通知書)で身分を確かめ、不明なら人事に聞いてください

退職代行そのものを定めた法律はありません。どこまでが頼める範囲かは、次の3型と条文で読みます。

退職代行の3つの型と、条文が決めている範囲

「退職代行」は法律上の言葉ではなく、運営している主体によって、頼める範囲が変わります。

型根拠になる条文退職の意思を伝える会社との交渉(退職日・有給・未払い賃金・損害賠償への対応)確かめること
弁護士・弁護士法人弁護士法3条: 依頼を受けて、一般の法律事務を行うことを職務とするできるできる(代理人として。訴訟も含む)費用の内訳と、依頼できる範囲
労働組合労働組合法6条: 組合員のために、使用者と労働協約の締結その他の事項に関して交渉する権限を持つできる組合員の労働条件などについて、団体交渉として行える。使用者は正当な理由なく拒めない(同法7条2号)加入が前提。公務員は区分で扱いが違う
民間企業弁護士法72条: 弁護士でない者は、報酬を得る目的で、法律事件に関して代理・和解その他の法律事務を取り扱うことを業とできない依頼の範囲によって判断が分かれる条文上は、頼めない前提で選ぶのが安全頼む内容が「伝達」にとどまるか

弁護士でない人が弁護士の仕事を行うことを、非弁活動といいます。72条に違反すると、同法77条で2年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金です。

どこまでが法律事務にあたるかについて、日本弁護士連合会は、個別の事案が非弁活動にあたるかを日弁連が判断することはできず、最終的には裁判所が証拠に基づいて判断する、と説明しています。調べた範囲では、厚生労働省や労働局が退職代行の線引きを個別に示した資料は見つかりませんでした。「伝えるだけなら問題ない」「交渉すれば違法」といった断定は、公的な資料からは確かめられないということです。だから、民間企業の代行を選ぶときは、頼みたい内容が伝達にとどまるかを契約前に確かめてください。

パーソル総合研究所の調査(利用経験者52人)では、利用した代行の運営主体は、民間企業が約4割、労働組合が約3割、弁護士が15.4%でした。この52人では民間企業型が最多です。条文上は、民間企業型が頼める範囲を最も読みにくい型なので、運営主体の確認から始めてください。

「伝える」と「交渉する」で、依頼したい事柄を振り分ける

退職代行を選ぶ前に、頼みたい事柄を1つずつ書き出し、次の表で振り分けます。「会社と揉めやすさ」は、この記事の編集上の整理で、公的な分類ではありません。

頼みたい事柄根拠・公的な説明会社と揉めやすさ向く窓口
退職の意思を伝える民法627条1項。厚労省は、退職届を出すなど申入れをすれば原則2週間で終了と説明低い自分(書面・メール)/弁護士・労働組合。民間企業は範囲を確認
退職日を決める・早める就業規則の予告期間との関係は判断が分かれる高い弁護士か労働組合。自分で話すなら労働局に相談
有給休暇を退職日までに使う労働基準法39条5項。会社は事業の正常な運営を妨げる場合に限り、休暇の日を別の日に変える(時季変更)ことができるが、大阪労働局は、退職日を越えて変更はできないと説明中〜高申請は自分でも可。拒まれたら弁護士か労働組合、労働局
未払い賃金・残業代を請求する労働基準法23条: 請求があれば7日以内に支払う。争いがある部分は異議のない分だけ先に支払う高い弁護士か労働組合。争いのない賃金は、自分で書面で請求もできる
退職証明書・源泉徴収票を求める労働基準法22条1項。所得税法226条(退職の日以後1か月以内に交付)低い自分(郵送先を書面で伝える)/弁護士・労働組合。民間企業は範囲を確認
離職票を求める雇用保険法施行規則7条・16条・17条。事業主が離職証明書を添えて資格喪失届を出し、離職票そのものはハローワーク(公共職業安定所長)が交付低い自分(郵送先を書面で伝える)/弁護士・労働組合。民間企業は範囲を確認
奨学金の返還・損害賠償のやり取り労働基準法16条(違約金・賠償額の予定の禁止)。民法628条高い弁護士(組合員なら労働組合も)。まずお礼奉公の記事で契約を確認
制服・名札・ロッカーの私物の返却法令の定めは確認できず、職場の取り決め低い自分(郵送)/弁護士・労働組合。民間企業は範囲を確認

この表の読み方は、次の3つです。

  • 「中〜高」「高い」の行が1つでもある: 弁護士か労働組合を中心に考えます
  • 「低い」の行だけで、自分で伝えられる: 自分で書面を送る方法でも足ります
  • 「低い」の行だけで、伝えること自体がつらい: 弁護士・労働組合に頼むか、民間企業の代行なら頼める範囲を契約前に確かめます

自分で辞める手順と、自分・労働局・退職代行の比較

自分で辞める場合の流れを、メールで伝える形で示します。

  1. 契約を確かめる: 労働条件通知書で契約期間を見ます。就業規則の退職の項目、奨学金の契約書も手元に出します
  2. 退職の意思をメールか書面で伝える: 退職日を明記し、「退職の申入れ」と分かる書き方にします。退職日は、就業規則の予告期間と、有給と引き継ぎに必要な日数の長いほうに合わせます
  3. 有給の残日数を確かめて申請する: 申請の日付と日数は、メールに残します
  4. 貸与物・私物・書類の受け渡し方を決める: 郵送を希望するなら、送り先を書面で伝えます
  5. 受理されない・連絡が止まる場合: 総合労働相談コーナーに相談します(全国378か所。無料・予約不要)

メールの見本です。

件名: 退職のご連絡(◯◯病棟・氏名)

師長 ◯◯様

私事で恐縮ですが、◯月◯日付で退職いたします。
本メールを退職の申入れとしてお送りします。

残っている有給休暇は◯日です。◯月◯日から退職日までの勤務日に充てる有給休暇の取得を申請します。
制服・名札などの貸与物は、◯月◯日までに郵送します。
離職票・源泉徴収票は、下記の住所への郵送をお願いします。

〒◯◯◯-◯◯◯◯ ◯◯県◯◯市◯◯
氏名

⚠️ つまずきやすい落とし穴 「退職を考えています」「辞めたい気持ちがあります」とだけ書いて、退職日を入れないまま送ると、つまずきやすくなります。厚生労働省は、退職願は会社が承諾するまで効力が生じない合意退職の申込みと扱われることもあり、確実に一定の日で辞めたいなら、任意退職の申入れと分かる「退職届」の形で意思を明記するのが無難だと説明しています。相談の書き方だと、会社に「検討中」と受け取られ、面談の日程調整だけが続いて、いつ辞められるのかが決まりません。退職日を書く、送った日時をメール履歴や書留の控えで残す、の2点を最初から入れておけば、後から「聞いていない」と言われたときも確かめられます。就業規則の予告期間が長いときは、その日数も踏まえた退職日にしてください。

3つの方法を並べると、次のとおりです。

方法向く状況限界
自分で書面・メールを送る交渉事項が少ない。受理さえされれば足りる会社から電話や面談の連絡が続くと、対応は自分になる
労働局(総合労働相談コーナー)に相談引き止めや受理拒否で困っている。無料で相談したい助言・指導などの制度で、本人に代わって会社と交渉する窓口ではない
退職代行(弁護士・労働組合・民間企業)会社と直接やり取りするのが難しい型によって頼める範囲が違う。費用は事業者ごとに異なる(この記事では金額を扱わない)

「明日から行かない」で辞められるか|伝えてから退職日までの出勤

「明日から行かない」で辞められるかは、次のとおり条件で変わります。

  • 有給が残っている: 退職日までの勤務日数以上に残っていれば、その勤務日に充てて、出勤しない形にできます。大阪労働局は、退職日を越えて休暇の日を変えることはできないと説明しています。退職日が予告期間で決まる場合は、有給で足りない日が残ることが多く、その日の扱いは下の段落のとおり、事前に確かめてください
  • 会社が出勤しない形に合意した: 欠勤や特別休暇などの扱いを、メールなど記録に残る形で確かめます。次の2つは、合意がなくても使える根拠です
  • 入職時に明示された労働条件が、実際と違っていた: 労働基準法15条により、即時に退職できます(厚労省「確かめよう労働条件」は、働き始めたときや初めての給料を受け取ったときに、当初約束された条件と実際が違う場合と説明)
  • 期間の定めのある契約でやむを得ない事由がある: 民法628条により、直ちに解除できます

どれにも当てはまらず、有給が足りない、またはないまま出勤しない場合、足りない日を会社が欠勤として扱うことがあります。その扱いは就業規則や事情で変わり、この記事では結論を示せません。決める前に、総合労働相談コーナーで確かめてください。

体調がつらく出勤自体が難しいときは、うつ・メンタル不調で転職を考えるときの進め方の、休職や傷病手当金を先に読んでください。

看護師が使う前に確認する4点

看護職は、次の4点で確認が増えます。

  1. 奨学金・修学資金: 返還の条件は、都道府県の制度、病院独自の制度、日本学生支援機構などで違います。返還免除の条件は契約書にあり、「辞めたら一括返還」とは限りません。契約の読み方はお礼奉公の記事、返還が苦しいときの制度は奨学金の返還がきつい看護師へにあります。返還条件のやり取りは、民間企業の代行では頼める範囲を超えるおそれがあります
  2. 契約期間: 期間の定めのある契約(契約職員・パートに多い)は、民法628条や労基法附則137条のルールがかかります。契約書で期間と更新条件を見てください
  3. 公立病院・自治体の職員: 公務員は区分によって労働組合法の扱いが違うので、労働組合型の代行が使えるかを、人事で確かめます。独立行政法人化した病院など、身分は設置者によっても違います
  4. 貸与物・私物・患者さんの情報: 制服、名札、ロッカーの鍵、院内の連絡機器は、返す日と方法を書面で決めます。患者さんに関わる引き継ぎ事項は、院内の様式と手順に沿って、院内で作成して渡します。患者さんの情報の写しは持ち帰らず、辞めた後も手元に残しません(保健師助産師看護師法42条の2により、看護師の守秘義務は、職場を辞めても、看護師でなくなった後も続きます)。辞めた後に問い合わせが来たら、引き継ぎ書をいつ・誰に渡したかを伝えます

退職代行を使うと決めたときの確認リスト

⚠️ つまずきやすい落とし穴 いちばん避けたいのは、頼む範囲を決めないまま、「全部お願いします」と依頼することです。たとえば「有給を使い切って辞めたい」「奨学金の返還条件も相談してほしい」と頼んだとします。民間企業の代行は、会社と調整が要るこうした内容を扱えない、または扱うと弁護士法72条の問題になるおそれがあります。すると、会社が「本人から直接連絡を」と求めても、代行は先に進めず、依頼者が会社と話すことになります。「頼んだのだから任せられる」と思っていると、会社からの電話に出ないまま、手続きが止まるおそれがあります。契約前に、頼みたい事柄を書き出して「これは対応できますか」と1項目ずつ聞き、できないと言われた項目は、弁護士・労働組合に頼むか、自分で書面で進める、と決めておきます。

退職後に残る事務は、代行を使っても自分の手続き

退職代行を使っても、退職後の事務はなくなりません。賃金は請求から7日以内、源泉徴収票は退職の日以後1か月以内が期限です(上の表)。離職票は、事業主の資格喪失届の提出期限が、被保険者でなくなった事実のあった日の翌日から起算して10日以内です(雇用保険法施行規則7条)。届くまでの間に動く手続きの順番は看護師の失業保険と退職後の手続きにまとめています。

失敗例・よくあるNG

次の2つは、条文から想定される場面です。看護職に限った頻度を示す統計はなく(全業種・利用者52人の民間調査は、下のよくある質問にあります)、契約前に確かめれば避けられます。

失敗例1: 退職後の書類の送り先を伝えていなかった 退職の連絡だけをして、離職票や源泉徴収票の送り先を書かないままだと、書類が届くまでの連絡がまた会社とのやり取りになります。送り先は、書面かメールで明記します。

失敗例2: 条件を残す余地があるのに、代行を先に使った 配置や勤務の調整で続けられる可能性があるのに代行を使うと、上司と直接話す機会が減り、条件を調整する余地も小さくなります。迷いが残るなら、先に看護師が辞めたいと思ったときの対処法で出口を整理してください。

使うべきでない場合と、ほかの相談先

  • 会社の対応を無料で確かめたい: 総合労働相談コーナーは全国378か所(2026年4月1日現在)で、専門の相談員が対応します。公務員は、所属先の人事や職員向けの窓口もあわせて確かめてください
  • 弁護士に頼みたいが費用が心配: 法テラス(日本司法支援センター)には、弁護士・司法書士の費用を立て替える制度があります。収入や資産が一定の基準以下であることなどの条件と、審査があります
  • 次の職場が決まっていない: 退職日と入職日をそろえる話は看護師の内定後の手続きにあります。退職日が先に決まっても、収入が途切れる期間を見込んでから動きます

よくある質問

Q. 看護師でも退職代行は使えますか?

A. 使えます。看護師が退職代行を使うこと自体を制限する法律は、調べた範囲では確認できませんでした。退職の効力は民法627条などで決まるので、代行の有無にかかわらず進みます。ただし、公務員、有期契約、奨学金があるときは確認が増えます。

Q. 退職代行は、弁護士に頼むべきですか?

A. 交渉を含むなら、弁護士か労働組合が安全です。会社に拒まれたときの有給の消化、未払い賃金、損害賠償、奨学金の返還条件が当てはまります。有給の申請だけなら自分でもできます。「退職を伝える」だけなら、自分で書面を送る方法もあります。民間企業の代行がどこまで頼めるかは、個別の事案ごとに判断されるので、契約前に範囲を確かめてください。

Q. 看護師の退職代行で失敗することはありますか?

A. あります。ただし、看護職に限った公的な統計は確認できませんでした。民間調査(パーソル総合研究所・2025年・全業種・利用経験者52人)では、利用後の勤務先とのトラブルが「なかった」のは46.2%、「金銭トラブル」は23.1%(12人)でした。52人の調査なので、看護師の失敗率としては読めません。想定される失敗は、頼む範囲を決めないまま依頼する、退職後の書類の送り先を伝えない、続けられる余地があるのに先に代行を使う、の3つです。

Q. 退職代行の体験談は、どう読めばいいですか?

A. 広告かどうか、何人の話か、運営主体が弁護士・労働組合・民間企業のどれかを確かめて読みます。この記事には体験談を載せません。体験談は個別の事情や業者ごとの差が大きく、記事の根拠にできないためです。

Q. 退職代行を使うと、離職票は届きますか?

A. 離職票は、代行を使っても、事業主が手続きをする義務のある書類です。事業主は、被保険者でなくなった事実のあった日の翌日から起算して10日以内に資格喪失届を出します(雇用保険法施行規則7条)。離職票の交付を希望しないときは添付しないことができますが、離職の日に59歳以上の人は、希望にかかわらず離職証明書が添付されます。届かないときは、請求の記録を残したうえで、ハローワークに相談してください。

Q. 奨学金があっても辞められますか?

A. 辞められるかどうかは契約期間などで決まり、奨学金の返還は別の約束です。返還の条件は、まず奨学金の契約書で決まります。内容によっては労基法16条との関係が問題になるので、契約書を持って総合労働相談コーナーか法テラスに相談してください。確認の順番は、看護師の奨学金「お礼奉公」がつらいときにあります。

退職の段取りと並行して、次の職場の条件を比べておく

次の働き方の見通しがあると、退職の日程も落ち着いて相談できます。まだ応募先を決めていなくても、条件に合う職場があるかを確認しておくと判断しやすくなります。

まとめ

  • 退職代行を選ぶ前に、頼みたい事柄を「伝える」と「交渉する」に分けます
  • 期間の定めのない民間の雇用なら、退職は民法627条により本人の意思表示で進みます。就業規則の予告期間も踏まえた退職日を書面に明記し、日時が残る形で送れば、自分でも辞められます
  • 会社との交渉が要るなら、条文の面で安全なのは弁護士か労働組合です。民間企業の代行は、頼める範囲を契約前に確かめます
  • 看護職は、奨学金・契約期間・公立病院かどうか・貸与物と患者さんの情報の4点を先に確認します
  • 迷うときは、総合労働相談コーナー(無料・全国378か所)に相談します

次のステップへ