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看護師の時短勤務はいつまで?|3歳までと3歳以降の制度、給料の減り方を数字で

ナースひとやすみ 編集部約12分で読めます
目次

時短勤務は、職場のご厚意ではありません。3歳に満たない子を育てている人に対して、事業主が措置を講じなければならないと法律が定めているものです(育児・介護休業法23条1項)。省令は「1日の所定労働時間を原則として6時間とする措置を含むものとしなければならない」と、内容まで決めています。

迷いやすいのはその先です。3歳を過ぎたら何が使えるのか。夜勤はどうなるのか。給料はどれだけ減るのか。結論から言うと、3歳以降の選択肢は2025年10月に大きく変わりました。 そして給料は、所定労働時間の短縮分に加えて「夜勤手当が消える分」が効いてきます。この3つを、条文と公的調査の数字で順に整理します。

3歳までは「請求すれば使える」制度

育児・介護休業法23条1項は、3歳に満たない子を養育する労働者(育児休業をしていない人)について、申出に基づいて所定労働時間を短縮する措置を講じなければならないと定めています。施行規則73条が、その措置に「1日の所定労働時間を原則として6時間とする」ものを含めるよう求めています。

押さえておきたい例外が2つあります。

  • もともと所定労働時間が短い人は対象外: 1日の所定労働時間が6時間以下の労働者は、この措置の対象から外れます(施行規則72条)
  • 労使協定で除外できる人がいる: 勤続1年未満の人、業務の性質や実施体制に照らして短縮措置が困難と認められる業務に従事する人などは、労使協定があれば対象外にできます(法23条1項ただし書)

そして重要なのが、申出をしたこと、措置が講じられたことを理由とする解雇その他の不利益な取扱いは禁止されているという規定です(法23条の2)。評価や処遇への影響が気になるときは、この条文が出発点になります。

3歳を過ぎたら——2025年10月に変わった枠組み

ここが、いま最も情報が古くなりやすいところです。2024年に成立した改正法により、2025年10月1日から、3歳から小学校就学の始期に達するまでの子を養育する労働者について、事業主は次の5つのうち2つ以上の措置を講じなければならないことになりました(法23条の3第1項)。

  • 始業時刻変更等の措置(時差出勤やフレックスタイム制)
  • 在宅勤務等の措置
  • 育児のための所定労働時間の短縮措置(こちらも原則6時間を含む)
  • 養育両立支援休暇を与えるための措置
  • そのほか厚生労働省令で定める措置(保育施設の設置運営等)

労働者は、勤め先が用意した2つ以上の中から自分で選んで申し出るかたちになります。あわせて、子の年齢ごとに使える制度を1枚に並べると、全体像はこうなります。

子の年齢所定労働時間の短縮残業の免除(所定外労働の制限)深夜業の免除
0〜3歳未満措置を講じる義務(原則6時間・法23条1項)請求できる(法16条の8)請求できる(法19条)
3歳〜小学校就学前5つの措置のうち2つ以上を用意する義務があり、その中に含まれていれば選べる(法23条の3)請求できる(法16条の8)請求できる(法19条)
小学校就学後法律上の義務はなく、職場の制度による——

出典: 育児・介護休業法(e-Gov法令検索)の現行条文より作成。残業免除は2025年4月1日から対象が小学校就学前まで拡大、3歳以降の柔軟な働き方の措置は2025年10月1日施行(2026年9月時点で施行済み)

「残業の免除」と「深夜業の免除」は、時短とは別の請求です。 どちらも制限開始予定日の1か月前までに、期間の初日と末日を明らかにして請求する決まりで、期間は残業免除が1か月以上1年以内、深夜業の免除が1か月以上6か月以内です。夜勤を外したいのに時短だけを申し出て、夜勤がそのまま残ったというすれ違いは、この違いから起きます。

妊娠中から産休・育休にかけての制度は妊娠したときの働き方にまとめています。

制度が「ある」ことと「使える」ことは別です

時短の受け入れ実績や、3歳以降にどの措置を選べるかは、外から確認できます。動く前に比較材料を持っておいてください。

制度はあるのに、短時間正職員は40人に1人

では実際に、どれだけの人が短い所定労働時間で働いているのでしょうか。

雇用形態が「短時間正職員」の看護職員の割合(正職員は88.1%)2.5%

日本医療労働組合連合会「2022年 看護職員の労働実態調査」問7(2022年)

回答35,933人のうち、正職員が88.1%を占め、短時間正職員は2.5%でした。40人に1人という水準です。法定の時短措置は期間限定なので、この数字は「制度を使っている人の数」そのものではありませんが、短い勤務時間のまま正職員で働き続ける形が主流ではないことは読み取れます。

一方、病院側の用意は進んでいます。

看護職員(正職員)の確保のために導入している働き方(病院 n=3,502・複数回答)

日勤のみ
54.7%
夜勤回数・時間・曜日が選択できる
44.1%
短時間勤務(法定を除く)
39.3%
希望の専門領域・部署へ配属
38.7%
夜勤のみ
31.2%
兼業・副業を可能
26.6%
定時をずらした勤務
23.4%
2交代か3交代を選択できる
17.2%

出典: 日本看護協会「2025年 病院看護実態調査」図表15(主な項目を抜粋)(2025年)

注目したいのは3番目です。「短時間勤務(育児・介護休業法に定める場合を除く)」を導入している病院が39.3%——法定の枠を超えて独自に短時間勤務を用意している病院が約4割あります。法定の措置は子が3歳になるまでですが、その後も短い時間で働ける職場は探せば存在する、ということです。「夜勤回数や夜勤時間、曜日が選択できる」44.1%も、夜勤をゼロにできなくても回数を抑える道があることを示しています。

給料はどれだけ変わるか

いちばん知りたいのはここだと思います。時短勤務中の賃金をいくらにするかは法律が決めておらず、就業規則の定めによります。 実務では所定労働時間に応じて按分する扱いが一般的なので、その前提で試算してみます。

前提として、日本看護協会「2025年 病院看護実態調査」の2025年度実績では、勤続10年(非管理職)の平均基本給与額は254,286円でした。1日8時間勤務をベースに、6時間へ短縮した場合を並べます。

なお夜勤手当には、読むときに区別が要る2つの数字があります。病院が定める1回あたりの額(二交代で平均11,470円・2025年)と、実際に受け取った月額(2025年1月の支給実績で平均32,192円)です。ここでは後者を使います。

項目8時間・夜勤あり6時間・夜勤なし差
基本給(平均基本給与額を所定労働時間で按分)254,286円約190,715円(75%)約 −63,571円
夜勤手当(月額の支給実績の平均)32,192円0円−32,192円
合計の目安約286,478円約190,715円約 −95,763円

出典: 基本給は日本看護協会「2025年 病院看護実態調査」の勤続10年(非管理職)の平均基本給与額254,286円。夜勤手当は同会「2024年度 看護職員の賃金に関する実態調査」表207(正規雇用フルタイムの病院勤務者が2025年1月に支給された夜勤手当額の平均32,192円)。按分と手当の扱いは就業規則により異なるため、あくまで試算

減る額のおよそ3分の1は、夜勤手当です。 時短そのものより、夜勤が外れる影響が大きく出るケースがあることが見えてきます。逆に言えば、時短は使わずに夜勤の回数だけ減らす、あるいは時短は使うが夜勤は月1〜2回残すという組み立てで、収入の落ち方は変わります。同じ調査では、実際の夜勤回数は二交代で月4.2〜4.4回、三交代で準夜3.9回+深夜3.7回でした。1回減らすごとに手当がいくら動くかは、給与明細の夜勤手当を回数で割れば出せます。

ちなみに病院が定める二交代の夜勤手当は、2010年の10,745円から2025年の11,470円へと、15年で約725円しか動いていません。手当の増額を待つより、回数の設計で考えるほうが現実的です。手取りの計算方法は手取りの計算と給与明細の読み方で扱っています。

申し出るまでの3手順

手順1: 自分の職場の「制度の中身」を先に読む

法律は最低ラインです。実際に使える形は就業規則と労使協定で決まります。

  • 確認する場所: 就業規則(育児・介護休業規程として別冊になっていることが多い)
  • 見る項目: 短縮後の所定労働時間の選択肢/申出の期限と様式/賃金の取扱い(按分方法・手当の扱い)/賞与と退職金の算定への反映/3歳以降にどの措置を用意しているか
  • 入手方法: 就業規則は職場に周知義務があります。総務・人事に「育児・介護休業規程を見たい」と伝えれば足ります
⚠️ つまずきやすい落とし穴

師長に口頭で聞いて終わりにしてしまうのが、最も多い遠回りです。師長は現場の勤務を組む人であって、賃金規程の設計者ではありません。「たぶん8割くらいになると思う」といった記憶ベースの答えが返ってきて、それを前提に生活設計を立ててしまう——後から「賞与は別の計算だった」と分かるパターンがここから生まれます。規程の条文を自分の目で読むのが確実です。そのうえで、読んでも分からない箇所(賞与の算定期間の扱いなど)を総務に文書で質問してください。口頭で聞いた内容は、日付と担当者名をメモに残しておくと後で照合できます。

手順2: 時短の申出と、夜勤・残業の請求を分けて出す

制度が違えば書類も別です。ここを1枚で済ませようとすると漏れます。

申出の文例

1月に3歳になる子を養育しているため、育児・介護休業規程に基づき、所定労働時間を6時間とする短縮措置の適用を申し出ます。あわせて、深夜業の制限を◯月◯日から◯月◯日まで請求します。

⚠️ つまずきやすい落とし穴

「時短にすれば当然夜勤は外れる」と考えて、深夜業の制限を請求しないまま時短だけを申し出るケースが目立ちます。ところが制度としては別物で、短い所定労働時間のまま夜勤に入る勤務表が組まれることも起こりえます。深夜業の制限(法19条)は小学校就学の始期に達するまでの子を養育する人が請求できるもので、制限開始予定日の1か月前までに、期間の初日と末日を示して請求する決まりです。期間は1か月以上6か月以内なので、切れ目が出ないよう更新の時期を手帳に入れておいてください。残業の免除(法16条の8)も同じく1か月前までの請求で、こちらは1か月以上1年以内です。

手順3: 3歳の誕生日の前に、その先を決めておく

法定の短縮措置は3歳になるまでです。切れる日が分かっているのですから、その前に次を組み立てます。

  • 職場に確認する: 3歳以降の「柔軟な働き方を実現するための措置」として、勤め先が5つのうちどの2つ以上を用意しているか
  • 選ぶ: 用意された措置の中から、自分の生活に合うものを選んで申し出る
  • 合わない場合: 残業免除(法16条の8)と深夜業の制限(法19条)は小学校就学前まで請求できます。時短が使えなくても、この2つで組み立て直せることがあります
⚠️ つまずきやすい落とし穴

3歳の誕生日を迎えてから相談に行くと、選択肢が「フルタイムに戻る」か「パートになる」の二択に見えてしまいます。実際には、勤め先は2つ以上の措置を用意する義務を負っていて、その中に短時間勤務が含まれていれば継続できる可能性があります。独自に短時間勤務を設けている病院も39.3%ありました。確認は誕生日の半年前を目安にしてください。規程上の申出期限があり、勤務表の編成サイクルもあるため、ぎりぎりで動くと選べたはずの措置が「次の期からで」と先送りになります。

よくある失敗

失敗1: 「迷惑をかけるから」と請求せずに退職を決める

時短も夜勤免除も、事業主に義務や制限が課されている制度です。請求を検討する前に退職を決めてしまうと、使えたはずの選択肢を自分から閉じることになります。

失敗2: 収入の減少を基本給だけで見積もる

前述のとおり、減額の大きな部分は夜勤手当です。基本給の按分だけで計算すると、実際の手取りとのズレが大きくなります。

失敗3: 転職先の「時短可」を言葉のまま受け取る

求人票の「時短勤務可」は、法定の措置を指しているだけのこともあります。3歳以降も使えるのか、夜勤はどうなるのかまで確認してください。子育てと両立できる職場の選び方は子育てと両立して夜勤なしで働く方法にまとめています。

よくある質問

Q. 看護師の時短勤務は何歳まで使えますか?

A. 育児・介護休業法23条1項に基づく所定労働時間の短縮措置は、子が3歳に達するまでが対象です。3歳から小学校就学の始期に達するまでについては、2025年10月1日施行の23条の3により、事業主が5つの措置のうち2つ以上を用意する義務を負い、その中に短時間勤務が含まれていれば選べます。小学校就学後は法律上の義務がなくなり、職場の制度次第になります。なお、残業の免除と深夜業の免除は、いずれも小学校就学の始期に達するまで請求できます。

Q. 時短にすると給料はどのくらい減りますか?

A. 時短勤務中の賃金は法律が定めておらず、就業規則の定めによります。所定労働時間に応じて按分する扱いが一般的で、8時間から6時間なら基本給は75%が目安です。加えて夜勤が外れる場合はその手当が減ります。正規雇用フルタイムの病院勤務者が2025年1月に受け取った夜勤手当は平均32,192円(日本看護協会「2024年度 看護職員の賃金に関する実態調査」表207)でした。賞与や退職金の算定にどう反映されるかは職場ごとに異なるため、規程の確認が必要です。

Q. 時短勤務にすると評価や昇進に影響しますか?

A. 育児・介護休業法23条の2は、短縮措置の申出をしたこと、または措置が講じられたことを理由とする解雇その他の不利益な取扱いを禁じています。ただし、評価制度の運用は職場によって異なり、個別のケースが不利益取扱いにあたるかは事情によって判断されます。気になる場合は、評価基準が時間あたりの成果で見られるのか、総量で見られるのかを事前に確認しておくと、見通しが立てやすくなります。都道府県労働局の雇用環境・均等部(室)では、この法律に関する相談を受け付けています。

3歳以降も働き方を選べる職場を探す

法定を超える短時間勤務を用意している病院は約4割。条件を数字で伝えれば、合う求人だけを絞り込めます。

まとめ

  • 3歳までは事業主の義務: 所定労働時間の短縮措置は「原則6時間」を含む形で講じなければならない(育児・介護休業法23条1項、施行規則73条)
  • 3歳以降は2025年10月から新しい枠組み: 5つの措置のうち2つ以上を用意する義務があり、その中から選んで申し出る(法23条の3)
  • 夜勤と残業の免除は別の請求: 深夜業の制限(法19条)も残業免除(法16条の8)も小学校就学前まで。制限開始予定日の1か月前までに請求する
  • 減る額のおよそ3分の1は夜勤手当: 勤続10年の平均基本給与額254,286円を6時間へ按分すると約190,715円。加えて月額平均32,192円の夜勤手当が消える計算

制度は使えるのに、運用が追いつかない職場もあります。両立の選択肢は子育てと両立して夜勤なしで働く方法に、夜勤そのものを外す進め方は夜勤なしで転職する方法にまとめています。あわせて読みたい記事は以下の通りです。

参考文献

  1. 育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律 第16条の8・第19条・第23条・第23条の2・第23条の3/e-Gov法令検索(2026-09-20 閲覧)
  2. 同法施行規則 第72条・第73条(1日の所定労働時間を原則6時間とする措置)/e-Gov法令検索(2026-09-20 閲覧)
  3. 厚生労働省「育児・介護休業法のあらまし(令和7年4月1日、10月1日施行対応)」(2026-09-20 閲覧)
  4. 日本看護協会「2025年 病院看護実態調査」結果(図表13 夜勤手当、図表15 人材確保のために導入している働き方、2025年度の平均基本給与額)(2026-09-20 閲覧)
  5. 日本看護協会「2024年度 看護職員の賃金に関する実態調査」報告書(表207 2025年1月に支給された夜勤手当額、表209 夜勤回数)(2026-09-20 閲覧)
  6. 日本医療労働組合連合会「2022年 看護職員の労働実態調査」報告集(問7 雇用形態・回答35,933人)(2026-09-20 閲覧)