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針刺し事故の報告と労災の手続き|受傷直後から発症したときまでの5つの順番
目次
- 01受傷から請求までの全体の流れ
- 02針刺しは、看護の業務の流れの中で起きている
- 03労災で何が対象になるのか
- 元の患者が陽性だった例
- 医療現場の感染は、実際に労災として記録されている
- 04受傷から請求までの5ステップ
- ステップ1: 院内の手順どおりに報告する
- ステップ2: 受診するときは「労災で」と伝える
- ステップ3: 事業主の証明をもらって提出する
- ステップ4: その後の検査も、毎回労災で受ける
- ステップ5: 陽性が分かったとき・発症したとき
- 手続きが終わったと言える状態
- 05この手順が当てはまらない場合
- 06失敗例・よくあるNG
- NG1: 勤務先が費用をもつと言われ、労災の手続きをしない
- NG2: 元の患者が分からないから、と報告しない
- NG3: 退職が決まっているから、と請求をあきらめる
- 07よくある質問
- Q. 針刺しのあとの処置や検査の費用は、自己負担になりますか?
- Q. 針刺しが自分の不注意で起きても、労災になりますか?
- Q. パートや非常勤でも、針刺しの労災を受けられますか?
- Q. 針刺しを報告すると、評価に響きませんか?
- Q. 針刺しの労災の手続きが分からないときは、どこに聞けばいいですか?
- 08次の職場で確かめておきたいこと
- 09まとめ
厚生労働省の通達は、ウイルスに汚染された血液等が付いた注射針などでの受傷を「業務上の負傷」としています。受傷した部位の洗浄・消毒は労災の療養の範囲で、その後の検査は医師が必要と認めた場合に限って対象になります。受診するときは保険証(マイナ保険証・資格確認書)を出さず、労災であることを伝えてください。
刺した直後は、「自分の不注意だから」と報告や手続きを後回しにしたくなるかもしれません。たとえば夜勤の明け方、抜針した翼状針を廃棄ボックスに入れようとして、指先をかすめたとします。血はほとんど出ていません。結果が出るまでの数か月は、それだけで落ち着かないものです。そこに検査費用の心配まで重ねないために、労災の手続きを、受傷直後から請求書の提出、その後の検査、発症したときまで順番に整理します。
前提は、病院などに雇われて労災保険の対象になっている人です。パートや非常勤も含みます。地方公務員として働く人は制度が変わります(後半で説明します)。労災として認められるか、検査や治療が給付の対象になるかは、個別の事情を見て労働基準監督署が判断します。洗浄の方法や検査・予防投与の要否といった医療上の判断は、勤務先のマニュアルと医師の指示に従ってください。この記事は手続きだけを扱い、通達・条文・統計は2026年10月2〜3日に確認しました。
受傷から請求までの全体の流れ
先に、5つの手順を1枚にまとめます。
| 手順 | すること | 相手・出す先 | いつまで |
|---|---|---|---|
| 1. 報告 | 日時・場所・器材・場面・元の患者を報告する | 師長、感染管理の担当者 | 受傷した日。夜勤中なら勤務明け |
| 2. 受診 | 保険証を出さず「労災で」と伝える | 受診する医療機関の窓口 | 受診のとき |
| 3. 請求書 | 事業主の証明をもらい、様式第5号か第7号(1)を出す | 医療機関(第5号)、労働基準監督署(第7号) | 第7号は、費用を払った日の翌日から2年 |
| 4. 経過の検査 | 毎回、労災で扱われているかを会計で確かめる | 受診する医療機関の窓口 | 医師が必要と認める間 |
| 5. 陽性・発症のとき | 主治医に業務での受傷だと伝え、休業するなら様式第8号を出す | 主治医、労働基準監督署 | 賃金を受けない日の翌日から2年 |
出典: 厚生労働省 基発第619号、主要様式ダウンロードコーナー、労災保険に関するQ&A 7-5
針刺しは、看護の業務の流れの中で起きている
職業感染制御研究会の「エピネット日本版サーベイランス(JES)」には、参加施設から報告された針刺し・切創が集計されています。
報告された針刺し・切創の半数は看護師の受傷(職種の記載がある2,279件中1,149件)50.4%
職業感染制御研究会「エピネット日本版サーベイランス 針刺し・切創 2023年度」(2023年)
2023年度に参加65施設(平均実稼働病床627床)から報告された2,294件で、職種の記載がある2,279件の半数が看護師でした。医師は24.7%、研修医は12.2%です。
いちばん多い場面は、患者に使っている最中(29.4%)です。器材を持っていたのが受傷した本人だった例は70.3%でした。7割は、受傷した本人が器材を持っているときに起きています。そのため、「自分のミスだから」と報告をためらう人が出やすいのだと考えられます。
この数字は参加施設の自主報告をまとめたもので、全国の発生率ではありません。
労災で何が対象になるのか
針刺し後の扱いを定めているのは、厚生労働省の通達「C型肝炎、エイズ及びMRSA感染症に係る労災保険における取扱いについて」(平成5年10月29日 基発第619号、平成22年9月9日 基発0909第1号で改正)です。
通達は、医療従事者等が、ウイルスに汚染された血液等を含む注射針等(感染性廃棄物を含む)で手指等を受傷したときを「業務上の負傷」としています。既存の傷や目に血液等が付いたときも同じです。そのうえで、療養の範囲を次のように分けています。
| 何をしたか | 労災の対象になる条件 | 通達の該当箇所 |
|---|---|---|
| 受傷部位の洗浄・消毒等の処置 | 業務上の負傷の治療として、当然に療養の範囲 | 基発第619号 記1(3)イ(ロ)a |
| 受傷後の検査(直後の検査を含む) | 医師が必要性を認めた場合に限り対象。受傷前から感染していたと分かった場合、その後の検査は対象外 | 同 記1(3)イ(ロ)b、記2(3)イ(ロ)b |
| 抗HIV薬の投与 | HIV感染の有無が確認されるまでの間で、感染の危険に対し有効と認められる場合 | 同 記2(3)イ(ロ)c(基発0909第1号で追加) |
| 発症した後の検査・治療 | 業務起因性が認められた場合(C型肝炎は5要件、HIVは3要件) | 同 記1(3)ロ、記2(3)ロ |
出典: 厚生労働省 基発第619号(改正 基発0909第1号)
検査は「受けたら自動的に労災」ではありません。 医師が必要と認めた検査であることが条件です。会計の窓口で、その日の検査が労災で処理されているかを確かめてください。
B型肝炎について、通達は、C型肝炎がA型・B型肝炎と同じく「ウイルス肝炎」として業務上の疾病に当たる(労働基準法施行規則 別表第1の2 第6号)と説明しています。ただ、B型肝炎の予防処置の扱いを定めた個別の通達の本文は、今回確認できませんでした。予防処置を受けた場合は、労災で扱えるかを事業場を管轄する労働基準監督署に聞いてください。
元の患者が陽性だった例
JESでは、針刺しの元になった患者が特定できた例が88.4%ありました。その患者の検査結果です。
- HCV抗体: 陽性122件(回答のあった1,879件中、約15件に1件)
- HBs抗原: 陽性67件(同1,922件中、約29件に1件)
- HIV抗体: 陽性15件(同1,865件中、約124件に1件)
分母は、元の患者が「未検査」だった件数も含みます。
これは元の患者が陽性だった件数で、受傷した人が感染した件数ではありません。それでも、元の患者が陽性と分かれば、その後の検査や処置が続くことがあり、費用の扱いを確かめる必要が具体的に出てきます。
医療現場の感染は、実際に労災として記録されている
厚生労働省「業務上疾病発生状況等調査」(令和6年)では、休業4日以上の「病原体による疾病」のうち、新型コロナを除いた442件の81.9%(362件、編集部で計算)が、病院や社会福祉施設を含む保健衛生業でした。針刺しの件数ではありませんが、感染症の労災は、医療職にとって例外的な制度ではありません。
受傷から請求までの5ステップ
ステップ1: 院内の手順どおりに報告する
洗浄などの処置は、勤務先のマニュアルに従います。そのうえで、受傷した日のうちに師長や感染管理の担当者に報告します。夜勤中で報告の相手がいなければ、メモを残して勤務明けに報告します。報告に入れる項目の見本です。
- 日時と場所(病室・手術室・処置室など)
- 器材の種類(注射針・翼状針・縫合針・メスなど)
- どの場面で受傷したか(使用中・処置の合間・廃棄時など)
- 元の患者が特定できるか、できないか
- 手袋の有無と、受傷した部位
- 受けた処置と、受診した医師
「自分のミスだし、血もほとんど出ていないから」と、報告をしないまま勤務を続けてしまう人がいます。受傷の事実が記録にないと、後から検査や治療の費用を労災として請求するときに、受傷したこと自体を示しにくくなります。通達がC型急性肝炎やHIVを業務上と判断する要件には、「血液等に接触した事実が認められること」が入っています。一方、要件の中に本人の過失の有無は入っていません。院内の報告書の様式があればそれを使い、控えをもらっておきます。様式がなければ、上の項目を書いたメモの写しを手元に残してください。
ステップ2: 受診するときは「労災で」と伝える
受診の窓口では、保険証(マイナ保険証・資格確認書)を出さずに「業務中の針刺しなので労災でお願いします」と伝えます。使う請求書は、受診先で変わります。
| 受診先 | 使う請求書 | 窓口での支払い |
|---|---|---|
| 労災保険の指定医療機関 | 様式第5号(療養の給付請求書) | 原則なし。請求書は受診した医療機関に出す |
| 指定医療機関以外 | 様式第7号(1)(療養の費用請求書) | いったん全額を払い、労働基準監督署に請求する |
勤務先の病院が指定医療機関なら、院内で受診して第5号を出せます。指定医療機関かどうかは、医事課か総務の担当者に聞けば分かります。様式は厚生労働省の「主要様式ダウンロードコーナー」から入手できます。
⚠️ つまずきやすい落とし穴院内で受診すると、いつもの外来と同じ流れで、つい保険証を出してしまいがちです。業務上のケガは、健康保険の給付の対象外です(健康保険法1条)。保険証を出してしまったときは、次の順で進めます。
- 受診した病院に、労災への切り替えができるかを聞く(厚生労働省のリーフレットの案内)
- 切り替えできれば、様式第5号を病院に出す。窓口で払った分が返ってくる
- できなければ、健康保険が負担した分を保険者に返し、医療費の全額をいったん自分で負担して、様式第7号(1)を労働基準監督署に出す
診療報酬明細書が保険者に届くまでに2〜3か月ほどかかるため、返還の通知はそれより後になることがあります。返還が難しいときは、返還が終わる前でも労災に請求できると厚生労働省のQ&Aは案内しています。
ステップ3: 事業主の証明をもらって提出する
請求書には、事業主が災害の発生状況などを証明する欄があります。上司か総務の担当者に記入を頼みます。様式第5号は受診した医療機関に出し、様式第7号(1)は医師の証明も受けてから、事業場を管轄する労働基準監督署に出します。
災害の発生状況の欄は、ステップ1の報告の項目をもとに書いてもらいます。記入の見本です。
⚠️ つまずきやすい落とし穴2026年10月◯日 14時ごろ、◯◯病棟の病室で、入院患者の点滴の抜針後、翼状針を廃棄ボックスに入れる際に、左手示指を受傷した。元の患者は特定できている。受傷後、流水で洗浄し、院内の医師の診察を受けた。
発生状況の欄が「業務中に誤って針を刺した」の一行だけで出されてしまうと、器材や場面、元の患者が特定できているかといった情報が請求書に残りません。後で発症したときに業務との関係を確かめる材料として、この欄と院内の報告書が役に立ちます。記入を頼むときは、報告書の控えを一緒に渡して、器材・場面・元の患者の特定の有無まで書いてもらってください。提出する前に写真かコピーで控えを取っておくと、退職後に検査が続いた場合にも内容を確かめられます。なお厚生労働省のQ&Aは、事業主の証明が得られない場合でも労災保険の請求はできるとしています。その場合は労働基準監督署に事情を伝えて相談してください。認否を決めるのは、事業主ではなく労働基準監督署長です。
ステップ4: その後の検査も、毎回労災で受ける
針刺しの検査は、受傷直後だけで終わらないことがあります。通達は、受傷直後の検査も含めて、医師が必要と認めた検査を対象にしています。
- 2回目以降の検査では、会計の窓口で労災として処理されているかを聞く
- 受診先を変えるときは、労災の指定病院等(変更)届が必要かを新しい受診先に聞く
- 検査の予定日と結果の受け取り日を、手帳やメモに書いておく
受傷直後は労災で受けたのに、数か月後の検査を健康保険や自費で受けてしまうことがあります。担当者が替わったり、別の外来で検査を受けたりすると、労災の扱いが引き継がれないためです。会計で窓口負担を求められたら、その場で「針刺しの労災の続きです」と伝えてください。期限にも気をつけます。療養(補償)等給付は、療養の費用を払った日ごとに請求権が生まれ、その翌日から2年で時効になります(労働者災害補償保険法42条、厚生労働省Q&A 7-5)。後から気づいた立て替え分は、早めに様式第7号(1)で請求してください。
ステップ5: 陽性が分かったとき・発症したとき
万一、肝炎などを発症した場合は、主治医に業務中の針刺しが原因の可能性があることを伝え、受診は引き続き労災で受けます。療養のために休んで賃金が出ない日があれば、休業(補償)等給付を様式第8号で請求します。業務上の疾病かどうかは、労働基準監督署が判断します。通達は、C型急性肝炎について次の5つの要件をすべて満たすものを、原則として業務に起因するとしています。
- C型急性肝炎の症状があること
- ウイルスに汚染された血液等を扱う業務に就き、血液等に接触した事実があること
- 感染したと推定される時期から発症までの間隔が、潜伏期間(おおむね2〜16週間)と一致すること
- 発症以後にHCV抗体またはHCV-RNAが陽性と診断されていること
- 業務以外の原因によるものでないこと
HIVは、接触の事実、推定される感染時期から6〜8週間を経て抗体が陽性と診断されたこと、業務以外の原因でないこと、の3要件です。
⚠️ つまずきやすい落とし穴発症が受傷から数週間〜数か月後になると、その間に異動や退職をして、受傷した当時の記録をたどれなくなることがあります。要件の2つ目は「血液等に接触した事実」、3つ目は受傷から発症までの間隔です。どちらも、受傷した日付と状況が分からなければ確かめにくくなります。ステップ1の報告書とステップ3の請求書の控え、受傷直後の検査結果は、少なくとも経過観察が終わるまで同じ場所にまとめて保管してください。異動や退職の前には、労災の請求書の控えがあるか、院内の報告書がどこに保管されているかを感染管理の担当者に聞いておくと安心です。
手続きが終わったと言える状態
この手順が当てはまらない場合
次の人は、窓口や制度が変わります。
- 地方公務員として働く人: 自治体が直接運営する病院の常勤職員などは、労災保険ではなく公務災害補償の制度になることがあります。同じ公立病院でも運営の形で扱いが分かれるため、勤務先の担当部署に聞いてください
- 実習中の看護学生: 労災保険は、事業主に雇われて賃金を得ている人が対象です。実習中の受傷は学校が加入している保険などの扱いになることがあるため、学校の担当者に聞いてください
- 派遣で働く人や委託業者の人: 雇用主はその人を雇っている会社(派遣元・委託先)で、手続きの窓口もそちらになることが多いため、まず雇用主に聞いてください。通達は、感染性廃棄物を扱う労働者も「医療従事者等」に含めています
- 業務と関係のない場面での受傷: 労災の対象にはなりません
失敗例・よくあるNG
NG1: 勤務先が費用をもつと言われ、労災の手続きをしない
JESには、公労災(労災保険・公務災害)を申請したかどうかの欄があります。
| 項目 | 件数 |
|---|---|
| 申請した | 169件(記入のあった487件の34.7%) |
| 申請していない | 318件(同65.3%) |
| 申請した中で、認定の結果の記入があったもの | 96件(うち認定95件) |
出典: 職業感染制御研究会「エピネット日本版サーベイランス 針刺し・切創 2023年度」
この欄に記入があったのは2,294件のうち487件で、全体の申請率とは言えません。認定の結果の記入も申請169件のうち96件だけで、全体の認定率を示すものでもありません。それでも、記入のあった中では、申請したのは3件に1件でした。
勤務先が費用をもつと言われたときは、数か月後の検査や、退職後に検査が続いた場合も同じ扱いになるかを、その場で聞いておいてください。報告書の控えは、どちらの場合も手元に残します。
NG2: 元の患者が分からないから、と報告しない
廃棄ボックスからはみ出していた針などで受傷すると、誰の血液か分かりません。通達は「感染性廃棄物を含む」注射針等による受傷を業務上の負傷としています。元の患者が分からなくても、日時・場所・器材を記録して報告してください。対象になるかは労働基準監督署が判断しますが、元の患者が不明なことだけで手続きを見送る理由にはなりません。
NG3: 退職が決まっているから、と請求をあきらめる
労災保険の給付を受ける権利は、退職しても変わりません(労働者災害補償保険法12条の5)。退職後に受ける検査も、労災の対象かを確かめたうえで請求できます。退職前に事業主の証明欄の記入を頼み、請求書の控えを持っておくと、退職後の請求が進めやすくなります。
よくある質問
Q. 針刺しのあとの処置や検査の費用は、自己負担になりますか?
A. 労災として認められれば、受傷部位の洗浄・消毒は療養の範囲で、検査は医師が必要と認めた場合に限って対象になります。労災保険の指定医療機関なら、窓口での支払いは原則ありません。指定医療機関以外では、いったん全額を払い、様式第7号(1)で労働基準監督署に請求します。認否は労働基準監督署が判断します。
Q. 針刺しが自分の不注意で起きても、労災になりますか?
A. 厚生労働省のQ&Aは、労災保険は使用者の無過失責任を原則とし、業務と傷病の間に相当因果関係が認められれば給付が行われると説明しています。通達がC型肝炎やHIVで定める要件にも、本人の過失の有無は含まれていません。ただし、故意に起こした場合は給付されず、重大な過失などがある場合は給付の全部または一部が行われないことがあります(労働者災害補償保険法12条の2の2)。認否は労働基準監督署が判断します。
Q. パートや非常勤でも、針刺しの労災を受けられますか?
A. 厚生労働省のQ&Aは、パートやアルバイトでも、雇用関係があり賃金を得ていれば、就業形態にかかわらず労災保険の給付を受けられるとしています。給付の内容も正規雇用の人と同じです。
Q. 針刺しを報告すると、評価に響きませんか?
A. 報告の扱いは職場によって違い、この記事では判断できません。ただ、報告がないと、後の検査費用や発症時の請求で困るのは本人です。針刺しの報告は、JESのように器材や場面ごとに集計され、再発防止の材料にもなります。
Q. 針刺しの労災の手続きが分からないときは、どこに聞けばいいですか?
A. 事業場を管轄する労働基準監督署か、厚生労働省の労災保険相談ダイヤル(0570-006031、平日9時〜17時、祝日・年末年始を除く)に相談できます。受傷した日、器材、受診先、手元にある書類を伝えると話が早く進みます。
次の職場で確かめておきたいこと
針刺しのあとに困るかどうかは、職場の仕組みにも左右されます。転職や異動を考えるときは、次の点を見学や面接で聞いてみてください。
- 針刺しの報告先と報告書の様式が決まっているか
- その病院が労災保険の指定医療機関で、院内で労災として受診できるか
- 請求書の事業主の証明を、どの部署が書いてくれるか
- 受傷後の検査費用を、労災で処理する運用になっているか
求人票だけでは分からない職場の見分け方は、看護師のブラック病院の見分け方にまとめています。
職場の安全の仕組みも、比べる材料にする
報告の流れや受傷後の手続きを案内してくれる体制は、求人票には載りにくい情報です。まだ転職するか決めていなくても、こうした点を条件に入れて選択肢を比べておくと判断しやすくなります。
まとめ
- 針刺しは業務上の負傷: 洗浄・消毒は療養の範囲。検査は医師が必要と認めた場合、抗HIV薬は感染の危険に対し有効と認められる場合に対象。認否は労働基準監督署が判断する
- 受診時は「労災で」: 指定医療機関なら様式第5号で窓口負担は原則なし。保険証を出してしまったら、まず病院に切り替えができるか聞く
- 記録を残す: 報告書と請求書の控え、検査結果をまとめて保管する。通達の要件に本人の過失の有無は入っていない(故意・重大な過失などは別)
- 期限と退職: 療養の費用を払った日の翌日から2年で時効。退職しても権利は変わらない
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