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ストレスチェックで高ストレスと出たら|看護師が面接指導を申し出る前に知っておくこと
目次
- 01仕事で強いストレスを感じる事柄がある人は、多数派
- 02「高ストレス」とは、どう決まるのか
- 03ストレスチェックの結果は、職場の誰にどこまで伝わるのか
- 04面接指導を申し出るときの手順
- ステップ1: 結果の通知で、申出の窓口と方法を確かめる
- ステップ2: 期限内に申し出る
- ステップ3: 面接では、勤務の状況を具体的に伝える
- ステップ4: 医師の意見と、就業上の措置
- 05職場にストレスチェックがないとき
- 06面接指導を申し出たくないとき
- 07失敗例・よくあるNG
- NG1: 結果を見ずに放置する
- NG2: 「申し出たら辞めさせられる」と不安になって動けない
- NG3: 原因が職場の人間関係なのに、自分の問題として抱え込む
- 08よくある質問
- Q. ストレスチェックは、受けなくてもいいのですか?
- Q. 師長に結果を知られますか?
- Q. 面接指導を受けたら、異動させられますか?
- Q. 面接指導で話した内容は、職場に残りますか?
- 09措置を試しても負担が変わらないとき
- 10まとめ
看護師がストレスチェックで高ストレスと出ても、面接指導を申し出るかは本人が選べます。ストレスチェックの結果は、検査をした医師や保健師などから本人に直接届きます。個人の結果は、本人の同意がなければ、職場(事業者)に提供されません。ただし、申し出ると、結果が職場に提供されたものとして扱われることがあります。申し出たことを理由とする不利益な取扱いは、法律で禁止されています。
通知に「高ストレス」「面接指導の対象です」と書かれている。夜勤を減らしたい気持ちはあるが、師長や同僚に知られるのは避けたい。いつまでに返事をすればよいのかも分からない。そんな状況の人もいるでしょう。この記事では、結果がどこまで誰に伝わるのかを条文と指針で整理し、申し出る場合の手順と期限を順番にまとめます。
ストレスの状態や心身の不調の判断は、医師に相談してください。この記事は制度と手続きだけを扱います。条文・指針・統計は2026年10月3〜4日に確認しました。
仕事で強いストレスを感じる事柄がある人は、多数派
仕事や職業生活で強い不安・悩み・ストレスを感じる事柄がある労働者の割合(全産業・令和7年)。およそ3人に2人67.5%
厚生労働省「令和7年労働安全衛生調査(実態調査)」(2025年)
全産業の労働者の3人に2人が、仕事で強いストレスを感じる事柄があると答えています。前回(令和6年)の68.3%とほぼ同じ水準で、多くの人が抱える負担です。その内容(主なもの3つ以内、そう答えた人のうち)は、仕事の量と、仕事の失敗・責任の発生等がともに39.5%、対人関係(セクハラ・パワハラを含む)が32.9%でした。仕事の量や責任は、夜勤の回数や担当の見直しなど、面接指導のあとの措置の対象になりうる負担です。人間関係やハラスメントが原因のときの扱いは、後半の「失敗例・よくあるNG」にまとめています。
「保健師、助産師、看護師」の精神障害による労災も、請求369件、支給決定105件(令和7年度)で、職種別に2番目に多い件数です(厚生労働省「過労死等の労災補償状況」)。これは労災として請求・認定された件数で、看護職の不調の全体ではありません。それでも、仕事のストレスで悩むのは特別なことではなく、高ストレスという結果は、あなただけの弱さを示すものではありません。
「高ストレス」とは、どう決まるのか
「高ストレス」は、質問票の点数による選定で、医師の診察を経た判断ではありません。
ストレスチェックは、1年以内ごとに1回、仕事の負担の原因、心身の自覚症状、周囲の支援の3領域を質問票で尋ねる検査です(労働安全衛生規則52条の9)。厚生労働省の指針は、次のどちらかに当たる人を高ストレス者として選ぶとしています。
- 自覚症状の点数が高い人
- 自覚症状が一定以上で、負担の原因と周囲の支援の点数が著しく悪い人
具体的な基準は、職場が衛生委員会などで話し合って決めます。
面接指導の対象になるのは、高ストレス者のうち、検査をした医師や保健師など(実施者)が「面接指導を受ける必要がある」と認めた人です(同規則52条の15)。結果の通知に面接指導の案内があれば、この対象に入っています。次の手順は、この案内がある人向けです。
ストレスチェックの結果は、職場の誰にどこまで伝わるのか
「職場に知られるのでは」という不安に答えるために、場面ごとに誰が何を知るかを整理します。
| 場面 | 誰が知るか | ポイント | 根拠 |
|---|---|---|---|
| 検査の結果 | 本人と実施者(医師・保健師など)、検査の事務に従事する人。本人の同意なく事業者には提供されない | 結果は本人のもの | 労働安全衛生法66条の10第2項 |
| 検査の事務 | 解雇・昇進・異動に直接の権限を持つ監督的地位の人は、実施の事務に従事できない | 師長や看護部長があたるかは職場の体制による | 労働安全衛生規則52条の10第2項 |
| 部署などの集団ごとの集計・分析 | 事業者(個人の結果ではなく、集団ごとの集計。実施は努力義務) | 個人の結果ではない | 規則52条の14 |
| 面接指導の申出 | 事業者。申し出た人は、結果の提供に同意したものとして扱われることがある(あらかじめ周知が必要) | 「知られる」と「見直しの検討」はセット | 規則52条の16、施行通達(基発0501第3号) |
| 面接指導の内容 | 面接する医師。事業者は、確認した勤務・心理的な負担・心身の状況と医師の意見を含む記録を作り、5年間保存する | 話した内容の要点が記録に残る | 規則52条の17・52条の18 |
| 就業上の措置 | 事業者は医師の意見を聴き、本人の意見も聴いたうえで措置を決める | 夜勤の回数や部署の希望は、このときに伝える | 法66条の10第5項・第6項、指針 |
出典: 労働安全衛生法、労働安全衛生規則、厚生労働省「ストレスチェック指針」「ストレスチェック制度実施マニュアル」
「検査の事務」の行にある「直接の権限を持つ監督的地位」に看護部長や師長があたるかは、職場の体制によります。あたる人は、検査の事務には関われません。
「面接指導の申出」と「面接指導の内容」の行のとおり、面接指導を申し出ると、結果が職場に提供されたものとして扱われることがあります。面接指導は職場が医師に依頼して行うもので、措置を取るには職場が状況を知る必要があるからです。申し出るかどうかは、「職場に知られる」ことと、「医師が必要と認めれば、職場が勤務の見直しを検討する」ことを、セットで考える選択です。
迷うときの目安は次のとおりです。
- 負担の原因が、夜勤の回数や時間外労働のように勤務で変えられるもの → 申し出る意味が大きい
- 原因が人間関係やハラスメント → 面接指導だけでは解決しにくいので、後半の「失敗例・よくあるNG」の相談先も使う
- 眠れない、食べられないといった体の変化が続いている → 面接指導を待たず、医療機関に相談する
面接指導を申し出るときの手順
ステップ1: 結果の通知で、申出の窓口と方法を確かめる
指針は、結果と一緒に、面接指導の申出窓口と申出方法を知らせることが望ましいとしています。結果の通知や院内の案内で、次の点を確かめます。
- 申出の窓口(産業医、保健師、衛生管理の担当部署など)
- 申出の方法(書面、メール、院内システムなど)
- 申出の窓口以外に、結果について相談できる窓口があるか
指針は窓口と方法を知らせることを「望ましい」としているだけなので、通知に書かれていない職場もありえます。分からないまま放置すると、期限の目安(概ね1か月)が過ぎてしまいます。産業医、保健師、衛生管理の担当部署に問い合わせてください。申出が結果の提供への同意として扱われる職場もあるため(通達は事前の周知を求めています)、申し出る前に、窓口へ「申し出た場合、結果は誰に渡るか」を聞いておくと安心です。申出の方法が書面やメールなら、日付を確かめられるよう控えを残しておきます。
ステップ2: 期限内に申し出る
申出は、結果の通知を受けたあと「遅滞なく」行うものとされています(規則52条の16)。厚生労働省の施行通達は、この「遅滞なく」を概ね1か月以内としています。申出を受けた職場は、申出から概ね1か月以内に面接指導を行う必要があります。申出の文例です。
⚠️ つまずきやすい落とし穴ストレスチェックの結果、面接指導の対象と通知されました。医師による面接指導を希望します。夜勤のある勤務のため、日程は勤務表と調整させてください。
決めきれないまま結果を開いたきりにしていると、通知から1か月が過ぎることがあります。申出の方法や受付期間は、職場の規程や案内で決まっていることがあるので、結果を受け取ったら、まず期限を確かめてください。迷うときは、申出の窓口とは別の相談窓口や、実施者の保健師に「申し出たら何が誰に伝わるか」を先に聞けます。実施者は、対象者に申出を勧める立場です(規則52条の16第3項)。1か月を過ぎていても、あきらめないでください。「概ね1か月」は通達上の目安です。窓口へ連絡して、受け付けてもらえるかを確かめます。
申し出たのに面接指導の日程が決まらないときは、事業者に遅滞なく面接指導を行う義務があります(規則52条の16第2項)。窓口に問い合わせ、それでも動かなければ、産業医、労働基準監督署、総合労働相談コーナーの順に相談できます。
ステップ3: 面接では、勤務の状況を具体的に伝える
面接指導で医師は、勤務の状況、心理的な負担の状況、心身の状況を確認します(規則52条の17)。指針は、職場が医師に、労働時間や深夜業の回数・時間数などの勤務の情報を事前に渡すよう求めています。
看護師なら、次の点をメモにして持っていくと伝わりやすくなります。
- 夜勤の回数(月に何回、連続で入るか)と、夜勤明けの翌日の勤務
- 時間外労働の時間(前残業・記録の残業を含む。勤務表の横に、日ごとの出勤・退勤の時刻を書き出す)
- 負担に感じている場面(急変対応、人員不足、人間関係など)
- 眠れない、食べられないなど、気になっている体の変化
面接の場で「大丈夫です」「みんな同じなので」と負担を小さく話すと、医師は勤務の実態をつかめません。医師は面接の内容をもとに、職場へ就業上の措置の意見を述べます。実態が伝わらなければ「通常勤務でよい」となり、あなたの夜勤の回数や担当が変わらないままになることがあります。指針は夜勤の回数などを職場から医師へ事前に渡すよう求めていますが、前残業のように記録に残らない時間や、負担の感じ方は、自分から話さなければ医師に伝わりません。直近1〜2か月の勤務表と時間外の記録を持っていき、数字で話してください。前残業が記録にない場合は、自分のメモでかまいません。
ステップ4: 医師の意見と、就業上の措置
職場は、面接指導のあと遅滞なく医師の意見を聴きます。指針は、医師の判断を次の3つの区分で示すとしています。
- 通常勤務: 通常の勤務でよい
- 就業制限: 労働時間の短縮、時間外労働の制限、作業の転換、就業場所の変更、深夜業の回数の減少または昼間勤務への転換など
- 要休業: 休暇や休職などで、一定期間勤務させない
職場が措置を決めるときは、あらかじめ本人の意見を聴き、十分に話し合って了解が得られるよう努めることとされています。夜勤の回数を減らしたい、部署を変えたいといった希望は、このときに伝えます。
⚠️ つまずきやすい落とし穴措置の内容を確かめないまま「様子を見ましょう」で終わると、勤務表が元のままになることがあります。医師が就業制限の意見を出していても、夜勤を何回にするのか、いつまで続けるのかが決まらなければ、現場では動きようがないからです。措置の中身(夜勤の回数、日勤への切り替えの有無)と見直しの時期を、話し合いの場で確かめてください。納得できないときは、産業医、労働基準監督署、総合労働相談コーナーの順に相談できます。
完了の目安: 医師の意見が出て、措置の中身(夜勤の回数、日勤への切り替え)と見直しの時期が決まり、勤務表に反映された状態です。
職場にストレスチェックがないとき
クリニックなど、労働者数50人未満の事業場では、ストレスチェックは今のところ努力義務(実施するよう努める義務)です(労働安全衛生法附則4条)。2025年の法改正で義務化が決まり、施行は2028年4月1日です。
医療・福祉では、50人以上の事業場でも実施は79.1%で、全産業(84.7%)を下回りました。医療・福祉の規模別では、100人以上の事業場は調査では100%だった一方、50〜99人は66.7%、10〜29人は29.4%でした。国は、50人未満の事業場の実施割合を2027年までに50%以上にする目標を掲げています(過労死等防止対策大綱)。小さなクリニックや施設で働く人ほど、ストレスチェックを受ける機会がないまま働いている可能性があります。
職場にストレスチェックがなければ、面接指導の申出はできません。不眠や気分の落ち込みが続くときは、医療機関を受診してください。
面接指導を申し出たくないとき
申し出ないことを理由とした不利益な取扱いは禁止されています。申し出ない場合も、次の手は残ります。
- 結果の通知に書かれた、申出窓口以外の相談窓口を使う
- 職場に産業医や保健師がいれば、個別に相談する
- 不眠や気分の落ち込みが続くときは、医療機関を受診する
受診してメンタルの不調と分かった場合の休職や傷病手当金は、看護師がうつ・メンタル不調で転職を考えるときの進め方で整理しています。
失敗例・よくあるNG
NG1: 結果を見ずに放置する
結果を開かないまま日が過ぎると、通知から概ね1か月という申出の目安が過ぎてしまうことがあります。届いた日に、面接指導の案内の有無と申出の窓口だけでも確かめます。
NG2: 「申し出たら辞めさせられる」と不安になって動けない
面接指導の結果を理由にした解雇、雇止め、退職勧奨、不当な動機による配置転換は、指針で禁止されています。ただし、禁止は起きないことの保証ではありません。不利益な扱いを受けたと感じたら、労働基準監督署や総合労働相談コーナーに相談できます。
NG3: 原因が職場の人間関係なのに、自分の問題として抱え込む
高ストレスの原因がパワハラやいじめなら、面接指導だけでは解決しにくいことがあります。記録を残して相談する手順は、看護師のパワハラ対処法にまとめています。患者からの暴言・暴力が原因なら、患者の暴言・暴力に疲れた看護師へも参考になります。
よくある質問
Q. ストレスチェックは、受けなくてもいいのですか?
A. 指針は、労働者に受検の義務はないとしています。受けないことを理由とした不利益な取扱いも禁止されています。ただし、全ての労働者が受検することが望ましいともしています。
Q. 師長に結果を知られますか?
A. 個人の結果は、本人の同意がなければ、職場(事業者)に提供されません。師長が検査の事務に関われるかは、職場の体制によります。ただし、面接指導を申し出ると、結果の提供に同意したものとして扱われることがあります。職場の規程でどう扱われるかは、申出の窓口に聞いてください。
Q. 面接指導を受けたら、異動させられますか?
A. 面接指導を受けただけで異動になるわけではありません。医師が必要と認めた場合に、夜勤の回数の減少や昼間勤務への転換、就業場所の変更などが、措置として検討されることがあります。措置は、医師の意見と本人の意見を聴いたうえで決めるものです。希望があれば、話し合いの場で伝えてください。
Q. 面接指導で話した内容は、職場に残りますか?
A. 事業者は、面接指導の結果の記録を作成し、5年間保存することが義務づけられています(規則52条の18)。記録には、実施日、本人と医師の氏名、確認した勤務・心理的な負担・心身の状況、医師の意見が含まれます。話した内容の全部ではありませんが、状況の要点は職場に残ります。
措置を試しても負担が変わらないとき
措置を試しても夜勤や人員の負担が変わらないときは、職場を変えることも選択肢です。辞めたいと思ったときの出口と判断の順番は、看護師が辞めたいと思ったときの対処法で整理しています。
勤務の調整が難しいときは、働き方の選択肢を比べておく
面接指導や相談を経ても夜勤や人員の負担が変わらないときは、夜勤の少ない職場や負担の違う職場を比べておくと、続けるか変えるかを判断しやすくなります。まずは今の職場で使える手を試し、そのうえでの情報集めとして使えます。
まとめ
- 結果は本人に直接: 個人の結果は、同意がなければ職場に提供されない。解雇・昇進・異動に直接の権限を持つ人は、検査の事務に関われない
- 申し出ると職場に伝わりうる: その代わり、医師が必要と認めれば、夜勤の減少や昼間勤務への転換などの措置が検討される
- 期限は概ね1か月: 結果の通知から概ね1か月以内に申し出る。面接では夜勤の回数や時間外の実態を数字で伝える
- 不利益は禁止: 申出・受検しないこと・面接指導の結果を理由とした解雇や退職勧奨は禁止。困ったら労働基準監督署や総合労働相談コーナーへ
状況別に、次の記事もあわせてどうぞ。
- 不調で休職や転職を考えている → 看護師がうつ・メンタル不調で転職を考えるときの進め方
- 適応障害と診断されたあとの選択肢を知りたい → 看護師が適応障害と診断されたあとの選択肢
- 夜勤のない働き方を比べたい → 看護師が夜勤なしで転職する方法
- パワハラが原因かもしれない → 看護師のパワハラ対処法