本文へスキップ

PR当サイトはアフィリエイトプログラムに参加しています

キャリア

男性看護師の転職|118,068人のデータで見る働き先の偏りと年収の実際

ナースひとやすみ 編集部約14分で読めます
目次

男性看護師は全国で118,068人、就業看護師の8.7%です(厚生労働省「令和6年 衛生行政報告例(就業医療関係者)の概況」2024年末現在)。10年前の73,968人から1.6倍に増えました。ただし、増えた人がどこにいるかは均等ではありません。男性看護師の80.9%は病院で働いており、診療所にいるのは3.2%だけです。女性看護師の分布(病院64.3%・診療所15.3%)とはかなり違います。この偏りを知らずに求人を探すと、「求人はあるのに自分に合う条件が見つからない」という状態になりやすい。この記事では、公的統計で確認できることだけを使って、働き先・雇用形態・年収の実際を整理します。

男性看護師は10年で1.6倍。ただし増え方は緩やかになっている

男性看護師(就業看護師の8.7%)118,068人

厚生労働省「令和6年 衛生行政報告例(就業医療関係者)の概況」(2024年)

男性看護師の人数の推移(各年末現在)

平成26年(2014)
73,968人(6.8%)
28年(2016)
84,193人(7.3%)
30年(2018)
95,155人(7.8%)
令和2年(2020)
104,365人(8.1%)
4年(2022)
112,164人(8.6%)
6年(2024)
118,068人(8.7%)

出典: 厚生労働省「令和6年 衛生行政報告例(就業医療関係者)の概況」表1。( )内は就業看護師に占める割合

※ 差が見えるようグラフの起点は0人ではありません。最大と最小の差は44,100人で、バーの長さの比ほど離れていません。

10年で44,100人増、1.60倍です。ただし直近2年(令和4年→6年)の伸びは5,904人で、構成割合は8.6%から8.7%へ0.1ポイントしか動いていません。「男性看護師が急増している」という段階は一度終わり、緩やかな増加に移っていると読むのが正確です。

看護職のなかでも、資格によって男性の比率はかなり違います。

資格男性総数男性の割合
看護師118,068人1,363,142人8.7%
准看護師17,691人233,022人7.6%
保健師2,076人63,536人3.3%
助産師—38,721人—

出典: 厚生労働省「令和6年 衛生行政報告例(就業医療関係者)の概況」表1(2024年末現在)

助産師の欄が空いているのは統計の不備ではありません。保健師助産師看護師法3条が助産師を「厚生労働大臣の免許を受けて、助産又は妊婦、じよく婦若しくは新生児の保健指導を行うことを業とする女子をいう」と定義しているためです。看護職のなかで、法律が性別を要件にしているのは助産師だけです。キャリアの選択肢を考えるとき、ここは制度上の制約として押さえておく必要があります。

就業場所の偏り——男性の80.9%が病院にいる

ここが、この記事でいちばん重要なデータです。厚生労働省の統計表から、就業場所別に男女を並べます。

就業場所男性女性その場所の男性比率男性全体に占める割合
病院95,541人800,403人10.7%80.9%
訪問看護ステーション9,029人81,993人9.9%7.6%
介護保険施設等6,129人101,855人5.7%5.2%
診療所3,808人190,857人2.0%3.2%
看護師等学校養成所・研究機関1,589人15,201人9.5%1.3%
社会福祉施設1,287人26,806人4.6%1.1%
事業所152人5,727人2.6%0.1%
保健所・都道府県・市区町村128人10,667人1.2%0.1%
総数118,068人1,245,074人8.7%100%

※ 表は主な就業場所の抜粋(助産所・その他を除く)で、各列の合計は総数の行と一致しません。

出典: 厚生労働省「令和6年度 衛生行政報告例」統計表 第10表-1 就業看護師数,性・雇用形態・就業場所別(2024年末現在、e-Stat)。右2列は当サイトが算出

読みどころを3つ挙げます。

1つ目。男性の80.9%が病院にいます。 女性は64.3%なので、16.6ポイントの差です。男性看護師の働き先は、実質的に病院にかなり集中しています。

2つ目。診療所の男性比率は2.0%しかありません。 実数で3,808人。女性看護師が190,857人いるのに対して、50分の1です。「日勤のみ・残業が少ない職場」としてクリニックを候補にする方は多いのですが、男性が実際に働いている数はきわめて少ない。この数字は、応募時に想定しておいたほうがよい前提です。

3つ目。訪問看護ステーションの男性比率9.9%は、病院の10.7%に次いで高い。 男性看護師9,029人が在籍しており、病院に次ぐ受け皿になっています。しかも興味深いのは、この内訳です。

訪問看護ステーション男性女性男性比率
管理者2,344人11,246人17.3%
従事者6,685人70,747人8.6%

出典: 同 第10表-1。男性比率は当サイトが算出

管理者の男性比率17.3%は、従事者8.6%のおよそ2倍です。訪問看護ステーションは開設・運営の単位が小さく、管理者になる機会が病院より早く来る場でもあります。数字が示しているのは「男性に向いている」ということではなく、男性看護師が実際に管理者として多く在籍している場が存在するという事実です。

働き先の分布を知ってから、求人を絞りませんか

男性看護師が実際に働いている職場と、そうでない職場には大きな差があります。内部の在籍状況を知っている転職サービスに確認してもらうのが早道です。

雇用形態も違う——男性の95.8%が正規雇用

同じ統計表から雇用形態を取り出すと、もうひとつ大きな差が見えます。

雇用形態男性割合女性割合
正規雇用113,067人95.8%1,002,476人80.5%
非正規雇用4,709人4.0%237,376人19.1%
派遣292人0.2%5,222人0.4%
(再掲)短時間労働者907人0.8%62,761人5.0%

出典: 厚生労働省「令和6年度 衛生行政報告例」統計表 第10表-1(2024年末現在)。割合は当サイトが算出

男性の正規雇用率95.8%に対し、女性は80.5%。非正規雇用は男性4.0%・女性19.1%で、5倍近い開きがあります。短時間労働者にいたっては男性0.8%・女性5.0%です。

この数字は、男性看護師の転職を考えるときに2つの意味を持ちます。1つは、「正社員以外の働き方」の前例が少ないこと。時短やパートで働きたい場合、職場に男性の先例がない可能性が高く、制度はあっても運用の実績がないという状況が起こりえます。もう1つは、キャリアの中断が想定されていないこと。統計上は男性看護師のほぼ全員がフルタイムの正規雇用で連続的に働いています。育児等で働き方を変えたいときに、どういう形が可能かを事前に確認する意味は、女性以上に大きいかもしれません。

年収552.0万円。ただし平均年齢が3.4歳若い

厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査」(産業計・企業規模10人以上)の男女別データです。

項目男性女性差
平均年齢39.1歳42.5歳男性が3.4歳若い
平均勤続年数9.1年9.8年男性が0.7年短い
きまって支給する現金給与額385,600円363,300円22,300円
所定内給与額344,300円331,800円12,500円
年間賞与その他特別給与額892,800円851,600円41,200円
推定年収(月額×12+賞与)552.0万円521.1万円30.9万円

出典: 厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査」(職種)第1表 職種(小分類)、性別きまって支給する現金給与額、所定内給与額及び年間賞与その他特別給与額。数値は企業規模計(10人以上)の集計。年収は当サイトが算出。なお同調査の対象産業に「公務」は含まれません

男性のほうが30.9万円高い。ただし注意が必要です。平均年齢は男性のほうが3.4歳若く、勤続年数も0.7年短いにもかかわらず、金額は上回っています。若くて勤続が短いほうが高いというのは、年功で説明がつかない構造です。

差の中身を見ます。「きまって支給する現金給与額」の差は22,300円ですが、そこから超過労働分を除いた「所定内給与額」の差は12,500円。残る9,800円、つまり月額差の44%は所定内給与の外——夜勤や時間外の分から生まれています。前章で見たとおり男性の80.9%は病院勤務で、正規雇用率も95.8%です。夜勤を含むフルタイムの比率が高ければ、平均額は上がります。

この読み方は、転職判断に直結します。「男性看護師の平均は552万円」という数字をそのまま自分の相場だと思うと、夜勤を減らす転職で大きくずれます。 自分の給与明細から夜勤手当・時間外手当を除いた額を出し、そこを基準に比べてください。

「男性に向いている診療科」を示す公的データは存在しない

「男性看護師は精神科・手術室・救急に多い」という説明を見たことがあるかもしれません。この記事ではその主張を扱いません。診療科別の看護師の男女比を集計した公的統計が見当たらないためです。

厚生労働省の衛生行政報告例は就業場所(病院・診療所・訪問看護ステーション等)までは性別に集計していますが、病院内の診療科までは分けていません。したがって「◯科は男性が多い」という数字は、公的統計からは確認できません。

かわりに、公的データから言えることを整理します。

  • 男性看護師の受け皿として実数が大きいのは、病院(95,541人)と訪問看護ステーション(9,029人)
  • 男性比率が高いのは病院10.7%、訪問看護ステーション9.9%、看護師等学校養成所・研究機関9.5%
  • 男性比率が低いのは保健所・都道府県・市区町村1.2%、診療所2.0%、事業所2.6%
  • 訪問看護ステーションでは管理者の男性比率が17.3%と、従事者8.6%の2倍

診療科を軸に考えるより、「その職場に男性看護師が何人いるか」を個別に確認するほうが確実です。これは面接で聞ける事実であり、統計を探すより早く答えが出ます。

転職で確認すべき3つのこと

1. 応募先に男性看護師が何人いるかを、数字で聞く

  • 見本: 「看護職員のうち男性は何名いらっしゃいますか」「そのうち、いま管理職やリーダー職に就いている方はいますか」「男性の更衣室・仮眠室は独立して確保されていますか」
  • 手順: ①求人票で職場の規模(病床数・職員数)を確認する → ②面接で男性看護職員の実人数を聞く → ③配属予定の部署に何人いるかまで確認する → ④設備(更衣室・仮眠室・トイレ)の運用を確認する
⚠️ つまずきやすい落とし穴:「男性も活躍中」という求人票の文言を、人数の確認なしで信じる

求人票の「男性看護師活躍中」は、在籍人数を保証する表現ではありません。診療所の男性比率は全国で2.0%——200人に4人という水準です。小規模な職場であれば、在籍ゼロのほうが普通だと考えたほうが実態に近い。確認すべきは文言ではなく実数です。「何名いますか」と聞けば、面接の場で必ず答えが返ってきます。あわせて設備も具体的に聞いてください。男性用の更衣室や仮眠室が独立していない職場では、夜勤の休憩時に不便が生じます。これは働き続けられるかどうかに直結する条件で、入職前にしか確認できません。応募先を数か所に絞る前の段階で、まとめて聞いておくと比較しやすくなります。

2. 夜勤・時間外を除いた金額で、年収を比べる

  • 手順: ①直近12か月の給与明細から、夜勤手当と時間外手当の合計を出す → ②年収からその合計を引き、「所定内で得ている年収」を出す → ③応募先の提示額から、同じ条件で所定内部分を試算する → ④賞与の支給月数を確認して年額に戻す
⚠️ つまずきやすい落とし穴:統計の平均額を自分の相場だと思い込む

賃金構造基本統計調査の男性看護師552.0万円は、平均年齢39.1歳・正規雇用が中心・病院勤務が多数という集団の平均です。同じ調査で女性は521.1万円ですが、平均年齢は42.5歳。年齢も働き方も違う集団の平均額を、自分の交渉材料にはできません。 さらに、男女差22,300円(月額)のうち所定内給与の差は12,500円で、残りは超過労働分から生じています。夜勤回数を減らす転職では、この部分が真っ先に消えます。転職後に「思ったより下がった」と感じる原因は、ほぼここです。比べるべきは総額ではなく、所定内の水準と賞与の月数。この2つを揃えて並べれば、提示額の意味が正確に読めます。

3. 「正規雇用以外の働き方」を使う予定があるなら、先に制度を確認する

  • 手順: ①育児休業・短時間勤務・所定外労働の制限について、就業規則の該当条項を見せてもらう → ②直近3年でその制度を使った男性職員がいるかを聞く → ③夜勤免除の運用(申請方法・期間の上限)を確認する → ④復帰後の配属の考え方を聞く
⚠️ つまずきやすい落とし穴:制度の有無だけを確認して、運用の実績を聞かない

統計上、男性看護師の正規雇用率は95.8%、短時間労働者は0.8%です。女性の短時間労働者5.0%と比べて6分の1以下で、つまり男性が時短で働いている前例は、職場によっては1件もないという状況が普通に起こります。育児・介護休業法に基づく制度は事業主に義務づけられているので、規程そのものは整備されているはずです。問題は運用のほうです。前例がないと、シフトの組み方も、復帰後の配置も、その場で考えることになります。だからこそ「制度はありますか」ではなく「使った人はいますか、何人ですか」と聞いてください。答えが「まだいません」でも、それ自体は応募をやめる理由にはなりません。前例がないと分かったうえで入るのと、あると思い込んで入るのとでは、あとの選択肢がまったく違うということです。

失敗例・よくあるNG

NG①:クリニックへの転職を、病院と同じ感覚で探す

診療所で働く男性看護師は全国で3,808人、男性比率2.0%です。日勤のみを求めてクリニックを探すこと自体は合理的ですが、母数が小さいことは前提にしてください。選択肢を診療所に限定せず、訪問看護ステーション(男性9,029人)や介護保険施設等(6,129人)も並べたほうが、条件に合う求人に当たる確率は上がります。

NG②:「男性だから重労働を任される」を、確認せずに前提にする

業務分担の実態は職場ごとに違い、公的統計で測られているものではありません。気になるなら、面接で「移乗や搬送の担当はどう分けていますか」「リフトやスライディングシートは配備されていますか」と具体的に聞くほうが確実です。設備の有無は言葉ではなく物として確認できます。

NG③:キャリアの方向を、いまの職場の人事しか見ずに決める

管理職への道は病院の中だけにあるわけではありません。訪問看護ステーションでは管理者13,590人のうち2,344人(17.3%)が男性です。同じ看護師免許で、組織の形が変われば役割の付き方も変わります。在宅分野の入口は訪問看護未経験からの転職で整理しています。

Q&A

Q. 男性看護師が多い職場はどこですか?

A. 実数で最も多いのは病院で95,541人、男性看護師全体の80.9%を占めます。次いで訪問看護ステーション9,029人(7.6%)、介護保険施設等6,129人(5.2%)です。職場内の男性比率で見ると病院10.7%、訪問看護ステーション9.9%、看護師等学校養成所・研究機関9.5%の順になります(厚生労働省「令和6年度 衛生行政報告例」第10表-1)。なお診療科別の男女比を集計した公的統計は見当たらないため、「◯科は男性が多い」という比較はこの記事では扱っていません。

Q. 男性看護師のほうが給料が高いのですか?

A. 厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査」では、看護師の推定年収は男性552.0万円・女性521.1万円で、30.9万円の差があります。ただし平均年齢は男性39.1歳・女性42.5歳で男性のほうが若く、金額差22,300円(月額)のうち所定内給与の差は12,500円にとどまります。残りは超過労働分などに由来するものです。資格や職位による差というより、働き方の構成の違いが大きく効いている数字だと読むのが妥当です。

Q. 男性看護師は転職で不利になりますか?

A. 公的統計から「性別によって採用されにくい」と言える根拠は確認できません。確認できるのは分布の偏りで、診療所の男性比率2.0%のように、母数そのものが小さい領域があるということです。これは不利というより、探す場所を変える必要があるという話です。応募先の在籍状況と設備を個別に確認したうえで、男性看護師が実際に多く働いている領域(病院・訪問看護ステーション・介護保険施設等)も候補に入れると、選択肢は広がります。

在籍状況と設備は、外からは見えません

男性看護職員の人数、更衣室や仮眠室の運用、夜勤免除の前例——求人票に書かれないことほど、働き続けられるかを左右します。複数のサービスを比べて選びましょう。

まとめ

  • 男性看護師は118,068人・8.7%: 10年で1.6倍に増えましたが、直近2年の構成割合の変化は0.1ポイント。急増の段階は終わっています
  • 80.9%が病院、診療所は3.2%: 女性の分布(病院64.3%・診療所15.3%)とはかなり違います。働き先を探す順番を、この偏りに合わせたほうが早い
  • 正規雇用率95.8%: 女性80.5%との差は大きく、短時間勤務の前例がない職場も想定されます。制度ではなく実績を確認してください
  • 年収552.0万円は「平均年齢39.1歳・病院中心・夜勤あり」の平均: 差の半分は所定内給与以外から生じています。自分の所定内の水準で比べてください

年齢から転職のしやすさを確かめたい方は看護師は何歳が多い?、働き先ごとの中身は精神科看護師への転職ガイドやICU看護師への転職ガイド、転職の段取り全体は看護師の転職の流れで解説しています。

参考文献

  1. 厚生労働省「令和6年 衛生行政報告例(就業医療関係者)の概況」表1(2024年末現在)(2026-09-20 閲覧)
  2. 厚生労働省「令和6年度 衛生行政報告例」統計表 隔年報 第10表-1 就業看護師数,性・雇用形態・就業場所別(e-Stat)(2026-09-20 閲覧)
  3. 厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査」(職種)第1表 職種(小分類)、性別きまって支給する現金給与額、所定内給与額及び年間賞与その他特別給与額(e-Stat)(2026-09-20 閲覧)
  4. 厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査 結果の概況」調査の概要(調査の範囲=16大産業)(2026-09-20 閲覧)
  5. 保健師助産師看護師法(昭和23年法律第203号)第3条・第5条(e-Gov 法令検索)(2026-09-20 閲覧)