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転職ガイド

整形外科看護師への転職ガイド|仕事内容・身につくスキル・職場タイプの選び方

ナースひとやすみ 編集部10分で読めます
目次

整形外科は、一般病院7,003施設のうち4,838施設(69.1%)が標榜する、内科・リハビリテーション科に次いで3番目に多い診療科です(厚生労働省「令和6(2024)年 医療施設(動態)調査・病院報告の概況」)。ただし求人票の「整形外科」は中身が3つに分かれます。急性期の手術病棟、外来中心のクリニック、そして回復期です。この記事では、患者データから実務の正体を明らかにしたうえで、3つの職場タイプの選び分けと未経験から埋めるギャップを整理します。


整形外科は「3番目に多い科」——だから求人は全国にある

一般病院の標榜科目を数の多い順に並べると、次のようになります。

注目したいのは、整形外科のすぐ上にリハビリテーション科があることです。80.5%の一般病院がリハ科を標榜しており、整形外科とリハが同じ建物にある病院が大半だということを意味します。整形外科看護は、理学療法士・作業療法士と日常的に同じ患者さんを見る仕事になります。

もう一つ、推移を見ると整形外科の位置づけがはっきりします。整形外科を標榜する一般病院は2008年の5,085施設から2024年の4,838施設へ約5%減りましたが、同じ期間に一般病院そのものが7,714施設から7,003施設へ約9%減っています。結果として標榜率は65.9%から69.1%へ上がりました。病院が減るなかで、整形外科は残る側の科だということです。

患者データが示す、整形外科の実務の正体

「整形外科=手術とギプス」というイメージで入ると、現場との差に戸惑います。厚生労働省「令和5(2023)年 患者調査の概況」の推計患者数(令和5年10月の1日あたり)を見てください。

領域入院外来
筋骨格系及び結合組織の疾患73.6千人805.1千人
骨折(損傷・中毒等のうち再掲)96.3千人98.1千人
参考: 循環器系の疾患182.5千人842.2千人
参考: 精神及び行動の障害213.1千人244.6千人

出典: 厚生労働省「令和5(2023)年 患者調査の概況」統計表2・統計表3(推計患者数、傷病大分類別)

整形外科が主に扱う2つの領域を足すと、入院だけで約17万人。外来では筋骨格系の805.1千人が、循環器系の842.2千人に迫る規模です(消化器系はう蝕・歯周疾患を含むため歯科診療所分が大半を占めます)。さらに総患者数で見ると筋骨格系及び結合組織の疾患は985.6万人で、うち女性が664.2万人と約3分の2を占めます。

75歳以上の骨折患者の平均在院日数。全傷病の平均28.4日を大きく上回り、整形外科病棟の時間の使い方を決めている45.2日

厚生労働省「令和5(2023)年 患者調査の概況」表6(2023年)

そして、実務の中身を最もよく表すのが在院日数です。

同じ骨折でも、35〜64歳は19.1日で退院するのに対し、75歳以上は45.2日。2.4倍の差があります。この差を生んでいるのは、手術そのものの難易度よりも、退院後の生活が整うまでにかかる時間だと考えられます。

つまり整形外科病棟の実務は、手術の前後だけで完結しません。転倒の原因を探り、認知機能や生活環境を評価し、家族やケアマネジャーと退院先を調整する——高齢者医療そのものが業務の中心にあります。「オペ出し・オペ迎えの科」と思って入ると、最も時間を使うのが退院調整だったという現実に直面します。逆にいえば、病棟での退院支援の経験がそのまま強みになる科でもあります。

「整形外科」の求人は、中身が3種類あります

急性期の手術病棟か、外来中心のクリニックか、回復期か。同じ科名でも1日の動き方はまったく違います。配属先の実態は、内部を知る担当者に聞くのが確実です。

病棟・クリニック・回復期——同じ「整形外科」でも中身が違う

比較軸急性期の整形外科病棟整形外科クリニック回復期リハビリテーション病棟
主に向き合う場面周術期管理、疼痛コントロール、早期離床外来処置、検査・リハビリの案内、装具の説明日常生活動作の再獲得、退院先の調整
時間の流れ手術日を軸にした数日〜2週間単位1人あたり数分〜十数分の回転数週間〜数か月単位
夜勤あり原則なし(施設により当番)あり
多職種との距離医師・リハ職・MSWと日常的に連携医師と少人数のスタッフリハ職・MSW・ケアマネジャーが中心
応募前に確認すること年間手術件数と術式の種類、術後1日目の受け持ち人数1日の外来患者数、処置の範囲、レントゲン撮影の担当在宅復帰率の目標値、カンファレンスの頻度

注: この表の区分と各欄の記述は、公的統計ではなく求人の実態を踏まえた編集部の整理です。「応募前に確認すること」は面接でそのまま使えるよう質問項目の形にしています

夜勤なしを最優先するならクリニックですが、外来の回転と処置の範囲は施設によって大きく違います。日勤のみの働き方全般は日勤のみのクリニック転職でも整理しています。

規模も判断材料になります。日本看護協会「2025年 病院看護実態調査」(回答3,440病院)によると、2024年度の正規雇用看護職員の離職率は病床規模が小さいほど高く、99床以下13.1%・100〜199床12.6%に対し、400〜499床10.1%・500床以上10.0%でした(全体11.0%)。整形外科は中小規模の病院・診療所にも広く置かれる科だからこそ、規模と離職率の関係を頭に入れて選ぶ意味があります。病院ごとの見方は病院の離職率の見方にまとめています。

未経験から整形外科へ移るときに埋める3つのギャップ

1. 「動かす看護」への発想の切り替え

多くの科では安静が基本ですが、整形外科では早期離床が回復の前提になります。痛みを理由に動かさないことが、そのまま在院日数の延長につながります。

  • 手順: ①離床前に鎮痛のタイミングを確認する → ②「どこまで動かしてよいか」を術式ごとの指示で確認する → ③実施した動作と、そのときの痛みの訴えを具体的な言葉で記録する
⚠️ つまずきやすい落とし穴

「痛がっているから今日はやめておきましょう」という判断を繰り返すと、数日後には可動域が落ち、リハの進みが止まります。一方で、禁忌肢位を確認せずに動かすと、脱臼や転倒という取り返しのつかない結果になります。必要なのは「動かすか動かさないか」の二択ではなく、鎮痛と可動域の指示を前提にした条件付きの実施です。術式ごとに禁忌肢位が違うため、自分の勤務する病棟で扱う術式を一覧にし、それぞれの禁忌と離床開始時期をメモにまとめてください。これは入職1か月以内にやっておくと、その後の判断が明らかに速くなります。

2. 転倒を「起きたあと」ではなく「起きる前」で扱う

75歳以上の骨折の平均在院日数45.2日が示すのは、入院そのものが転倒から始まっているケースの多さです。院内での再転倒は、それをもう一度繰り返すことを意味します。

  • 見本: 入院時に「転倒したときの状況(時間帯・履物・つかまるものの有無・直前の行動)」を本人と家族から聞き取り、そのまま院内の環境調整に反映させる
⚠️ つまずきやすい落とし穴

転倒リスクのスコアだけを付けて満足してしまうのが典型的な失敗です。スコアは高リスクの人を見つける道具であって、その人が「いつ・なぜ」動こうとするかは教えてくれません。夜間にトイレへ行こうとして転ぶ人に必要なのは、リスク評価の点数ではなく、排泄のタイミングに合わせた声かけと導線の確保です。聞き取った具体的な状況を、そのまま看護計画と申し送りに落とし込んでください。整形外科病棟では、この一手間が在院日数と患者さんの予後を直接左右します。

3. 退院先の調整を、看護の仕事として引き受ける

在院日数の年齢差は、医学的な回復の差ではなく、帰る場所が決まるまでの時間の差です。

  • 手順: ①入院時点で「入院前はどこで・誰と・どんな家に住んでいたか」を確認する → ②リハの進み具合と、自宅の段差・手すりの有無を突き合わせる → ③退院先の候補が動きそうなら、早い段階でMSW・ケアマネジャーに共有する
⚠️ つまずきやすい落とし穴

「退院調整はソーシャルワーカーの仕事」と線を引くと、情報が出てくるのが遅れます。家の構造や家族の介護力を最初に聞けるのは、多くの場合ベッドサイドにいる看護師です。逆に抱え込みすぎて、制度や費用の説明まで自分で担おうとするのも危険です。必要なのは、気づいた情報を早く正確に渡すことであって、調整そのものを担うことではありません。入職時に「どの情報を、誰に、どのタイミングで渡すのが標準か」を確認しておけば、この線引きで迷わなくなります。

整形外科と相性がよい人・しんどくなりやすい人

逆に「急変対応の緊張感にやりがいを感じる」「腰痛や肩の不調をすでに抱えている」という人は、急性期の手術病棟より外来中心のクリニックを選ぶ、あるいは移乗補助機器の導入状況を面接で確認してから決めることをおすすめします。相性は興味の問題だけでなく、自分の身体を何年もたせるかの問題でもあります。

整形外科への転職でよくある失敗例

  • 失敗例1: 「整形外科」の一語で応募先を決めた → 急性期病棟・クリニック・回復期で1日の動き方がまったく違います。求人票の科名ではなく、病棟の機能と平均在院日数を確認してください。
  • 失敗例2: 身体的な負担を見積もらなかった → 移乗・体位変換の頻度は科によって差が出ます。移乗補助機器やリフトの導入状況、夜勤帯の人員配置を数字で聞いてください。
  • 失敗例3: 手術件数だけを見て選んだ → 件数が多くても、術後1日目の受け持ち人数が多ければ負担は跳ね上がります。件数と人員配置はセットで確認するものです。
  • 失敗例4: 「整形外科は楽」という評判を信じた → 75歳以上の骨折患者の平均在院日数は45.2日。退院調整と生活支援が業務の中心で、処置が少ないことと業務量が少ないことは別の話です。

よくある疑問 Q&A

Q. 整形外科は未経験でも転職できますか?

A. 採用は行われています。整形外科を標榜する一般病院は4,838施設と全国に広く分布しており、経験者だけでは埋まらない領域です。応募時には、受け持ち人数と、術式ごとの離床手順をどう教えてもらえるかを確認してください。

Q. 整形外科で身につくスキルは、他の職場で活きますか?

A. 早期離床、疼痛コントロール、転倒予防、退院支援はいずれも高齢者医療に共通する技術です。回復期リハビリテーション病棟、介護保険施設、訪問看護のいずれでも直接評価されます。

Q. 整形外科は「きつい」と言われますが本当ですか?

A. 身体的な負担は一定量あります。移乗・体位変換・歩行介助が日常業務に含まれるためです。ただしその程度は病棟の機能と人員配置、補助機器の有無で大きく変わるため、「整形外科だからきつい」とは一概に言えません。面接で夜勤帯の人員と機器の導入状況を確認するのが実質的な判断材料になります。

Q. 整形外科クリニックなら夜勤なしで働けますか?

A. 外来中心のクリニックは原則として日勤のみです。ただし外来の回転数や処置の範囲は施設差が大きいため、1日の患者数と担当業務の範囲を確認してください。夜勤なしの選択肢全体は看護師が夜勤なしで転職する方法で比較しています。

Q. 整形外科の給料は他の科より高いのですか?

A. 診療科別の平均年収を公表した公的統計はありません。厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査」が示すのは看護師全体の平均年収524.7万円という職種単位の数字です。判断材料になるのは、応募先の基本給・賞与月数・夜勤回数という個別の条件だけです。

同じ科名でも、病棟の機能で働き方が変わります

平均在院日数、術後1日目の受け持ち人数、移乗補助機器の有無。求人票に載らない項目ほど差が出ます。複数のサービスに同じ質問を投げて比べてみてください。

まとめ

  • 整形外科は一般病院の69.1%が標榜する3番目に多い科。病院が減るなかで標榜率は65.9%から69.1%へ上がっており、求人は全国に分布している
  • 実務の中心は手術ではなく高齢者医療。75歳以上の骨折患者の平均在院日数は45.2日で、35〜64歳の19.1日の2.4倍。時間の大半は退院先の調整に使われる
  • 求人票の「整形外科」は急性期病棟・クリニック・回復期の3種類。科名ではなく病棟の機能と人員配置で選ぶ

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